2021年に4chanやWizardchanで「デッド・インターネット・セオリー」が提唱され、インターネットの大半がAIボットや自動生成コンテンツで構成されていると主張された。2024年3月にはFacebook上でAI生成画像「Shrimp Jesus」が拡散し、現象が再注目された。Impervaの2024年レポートによれば、2024年のインターネットトラフィックの51%がボットによるもので、米国は悪質ボット攻撃の47%を占める最大の標的となった。NewsGuardの監査では、ロシア発のAI生成プロパガンダ記事が2024年に360万本公開され、主要AIチャットボットの33%が虚偽情報を繰り返していた。コペンハーゲン未来研究所のSofie Hvitvedは、インターネットは死んでいるのではなく変容していると指摘している。また、2025年には日本国内で「2025年7月大地震予言」などのフェイクニュースがAIやディープフェイク技術を伴って拡散し、気象庁が公式に否定する事態となった。NTTドコモ モバイル社会研究所の2025年調査では、10代の約半数が『たまに真偽不明なニュースを目にする』と回答し、2割弱が『頻繁に目にする』と答えている(NTTドコモ モバイル社会研究所2025年『若年層情報リテラシー調査』)。
From:
This AI Theory Is Sweeping the Internet. Here’s What You Need to Know
【編集部解説】
デッド・インターネット・セオリーは、AI技術の進化が情報生態系に与える影響を象徴しています。AI生成コンテンツの増加は、利便性や効率化をもたらす一方で、情報の信頼性や多様性の低下、社会的混乱のリスクも高めています。Impervaのレポートが示すように、悪質ボットの増加はセキュリティや社会的混乱のリスクを拡大させています。
日本では、AIやディープフェイクを活用したフェイクニュースが現実の社会不安を煽る事例が増加しています。特に「2025年7月大地震予言」などは、SNSと生成AIの組み合わせによって短期間で拡散し、公的機関が迅速な対応を迫られました。さらに、若年層の情報リテラシー不足が浮き彫りとなり、教育現場での対策や公的なファクトチェック体制の強化が急務となっています。今後は、AIと人間の創造性をどう共存させ、持続可能なデジタル社会を築くかが問われています。
【用語解説】
- デッド・インターネット・セオリー:インターネット上の多くがAIやボットによって自動生成されているとする陰謀論。
- スロパガンダ:AIが生成する大量で低品質な情報(スロップ)を利用したプロパガンダ活動。オランダの研究者によって定義された新しい情報操作手法。
- トークンゲート:ブロックチェーンで情報の出所を検証する技術。
【参考リンク】
【参考動画】
Imperva’s Attack Analytics – YouTube
Impervaの攻撃分析プラットフォームのデモ動画。AIや機械学習を活用し、数百万件のセキュリティイベントを自動で分類・可視化し、重要なインシデントを抽出する仕組みを解説しています。
【参考記事】
【編集部後記】
AIやボットの精密性は日に日に増してきています。便利な反面、それを逆手に取るような出来事、フェイクニュースなど偽情報も存在します。精密故に巧妙な仕上がりになっており「嘘と見抜く」「偽物と見破る」といったことが難しくなっていっています。だからこそ、私たち一人ひとりが情報を鵜呑みにするのではなくいくつかの記事を読み整合性をチェックする。他の人と共有するといった行動をとり、良い社会を作り上げていくことが大切なのではないでしょうか。