Last Updated on 2024-09-05 10:06 by admin
AWSは2023年11月28日、Amazon Bedrock Agentsの一般提供を開始した。Amazon Bedrock Agentsは、eコマース製品レコメンデーションチャットボットなどの生成AIアプリケーションを構築するためのサービスだ。
このサービスは、大規模言語モデル(LLM)を使用して、ユーザーのリクエストを理解し、複雑なタスクを小さなステップに分解する[2]。また、会話を通じてユーザーから追加情報を収集し、企業のAPIを呼び出して行動を起こすことができる。
Amazon Bedrock Agentsは、プロンプトエンジニアリング、メモリ、モニタリング、暗号化、ユーザー権限、API呼び出しを管理する。開発者は、エージェントの推論プロセスを追跡できる新しいトレース機能を使用して、オーケストレーションプロセスの中間ステップを確認できる。
このサービスは、米国東部(バージニア北部)と米国西部(オレゴン)のAWSリージョンで利用可能だ。料金は、エージェントが行う推論呼び出し(InvokeModel API)に対して課金される。
from:Build an ecommerce product recommendation chatbot with Amazon Bedrock Agents
【編集部解説】
Amazon Bedrockの新機能「Agents for Amazon Bedrock」が一般提供されたことは、生成AIアプリケーション開発の世界に大きな変革をもたらす可能性があります。この機能は、複雑なタスクを自動的に小さなステップに分解し、APIを呼び出して実行するという、これまで開発者が手動で行っていた作業を大幅に簡略化します。
特筆すべきは、この機能がコーディングの専門知識がなくても利用できる点です。これにより、AIアプリケーション開発の敷居が大きく下がり、より多くの企業や開発者がAIの力を活用できるようになると考えられます。
また、新しいトレース機能により、AIエージェントの推論プロセスを可視化できるようになりました。これは、AIの「ブラックボックス」問題に一石を投じる重要な進展です。開発者はAIの意思決定プロセスを理解し、必要に応じて調整することができるようになります。
しかし、この技術にはポテンシャルとともにリスクも存在します。例えば、AIが不適切な判断をした場合の責任の所在や、セキュリティとプライバシーの問題などが挙げられます。特に、企業の機密データやユーザーの個人情報を扱う場合には、十分な注意が必要です。
長期的には、この技術は業務プロセスの自動化を加速させ、多くの産業で生産性を向上させる可能性があります。一方で、人間の仕事の一部が代替される可能性も否定できません。
規制の面では、AIの判断プロセスの透明性が求められる中、Amazon Bedrockのトレース機能は規制当局からも歓迎される可能性があります。ただし、AIの判断に基づく行動の責任の所在など、法的な課題は残されています。
今後、この技術がどのように進化し、社会に受け入れられていくかを注視する必要があります。企業はこの技術の導入を検討する際、そのメリットとリスクを慎重に評価し、適切な利用方法を模索していくことが重要です。