Last Updated on 2024-10-02 10:33 by admin
近畿大学、生成AI連携チャットボット「SELFBOT」を導入
近畿大学は2024年10月1日から、SELF株式会社が提供する生成AI連携チャットボット「SELFBOT」を導入する。近畿大学では2022年からAIチャットボットを活用しており、これまでに70,000件以上の問い合わせに対応し、窓口での問い合わせ件数を最大5~6割程度削減した。
新たに導入される「SELFBOT」は、ChatGPTと連携しており、ドキュメントやURLから自動学習が可能。これにより、教職員の回答作成の手間を省き、より高度で柔軟な回答が可能となる。
近畿大学とSELF株式会社は、将来的に「SELFBOT」を活用して個々の学生にパーソナライズされた情報提供を目指している。SELF株式会社は、ユーザーの属性情報、メンタル、生活環境などに基づく個別最適化システムを有しており、将来的には学生一人ひとりの特徴や目標、学習到達度を踏まえた教育や支援の提供を目指している。
近畿大学は1925年に設立され、現在15学部49学科を有する。学長は松村到氏で、東大阪キャンパスは大阪府東大阪市小若江3-4-1に位置する。
SELF株式会社は2014年11月に設立され、代表取締役は生見臣司氏。本社は東京都新宿区西新宿8-15-17 住友不動産西新宿ビル2号館 6Fにある。資本金は3億7,600万円(資本準備金含む)で、生成AI、ChatGPT、チャットボットの開発を主な事業内容としている。
from:近畿大学のAIチャットボットが進化! 学生・教職員のニーズに応える新しいサポート体制を構築
【編集部解説】
近畿大学が導入する「SELFBOT」は、生成AIと連携した次世代の高精度チャットボットです。この導入は、大学における学生サポートと業務効率化の新たな一歩として注目に値します。
従来のチャットボットと比較して、SELFBOTの最大の特徴は自動学習能力です。これまでは教職員が想定質問と回答を用意する必要がありましたが、SELFBOTはドキュメントやURLから自動的に学習します。この機能により、人手による回答作成の手間が大幅に削減されるだけでなく、より柔軟で高度な回答が可能になります。
特筆すべきは、SELFBOTがChatGPTと連携している点です。ChatGPTの高度な自然言語処理能力を活用することで、学生からの多様な質問に対して、より適切で詳細な回答を提供できるようになります。これは単なる効率化だけでなく、学生サポートの質的向上にもつながる可能性があります。
また、近畿大学とSELF株式会社が目指す将来的な展開も興味深いものがあります。個々の学生にパーソナライズされた情報提供を目指すという点は、教育のパーソナライゼーションという大きなトレンドに沿ったものです。学生一人ひとりの特徴や目標、学習到達度に基づいた教育支援は、従来の一律的な教育方法を大きく変革する可能性を秘めています。
しかし、このような技術の導入には潜在的なリスクも存在します。個人情報の取り扱いや、AIによる判断の透明性、公平性の確保などは慎重に検討する必要があります。また、人間の教職員とAIの役割分担をどのように設定するかも重要な課題となるでしょう。
長期的な視点で見ると、このような技術の導入は高等教育のあり方自体を変える可能性があります。個別最適化された学習支援が一般化すれば、大学教育の形態や評価方法、さらには大学の役割そのものが再定義される可能性もあります。
SELFBOTの導入は、単なる業務効率化の取り組みを超えて、教育のデジタルトランスフォーメーションの一環として捉えることができます。今後、他の教育機関でも同様の取り組みが広がっていくことが予想され、日本の高等教育の未来に大きな影響を与える可能性があります。