Last Updated on 2024-10-28 07:24 by admin
Appleは2024年12月にリリース予定のiOS 18.2において、AIサービスを大幅に強化する。Bloombergの著名なAppleアナリスト、マーク・ガーマン氏の報告によると、今週初めに開始されたiOS 18.2開発者ベータ版で以下の新機能が確認された。
主な新機能
- OpenAIのChatGPTとの統合
- AIを活用した絵文字生成機能「Genmoji」
- 画像編集アプリ「Image Playground」
- ライティングツールの機能強化
- iPhone 16向けの周囲の情報を提供する「Visual Intelligence」
さらに、AppleはGoogleのGeminiなど、複数のチャットボットを統合することを検討している。設定パネルには複数のチャットボットを追加できるスロットが用意されている。
なお、個人のコンテキストや画面分析を活用する大規模なSiriのアップデートは、iOS 18.4まで延期される見込みだ。
Image Playgroundでは、ユーザーのライブラリから写真を使用してカスタム画像を作成し、プリセットのテーマを適用できる。ベータ版の機能へのアクセスは、現時点で限られたテスター数にのみ許可されている。
from:Gurman: Apple gets more intelligent with iOS 18.2, multiple chatbots may join ChatGPT – PhoneArena
【編集部解説】
iOS 18.2で導入される新機能群は、Appleの人工知能戦略における重要な転換点となりそうです。特に注目すべきは、これまで独自路線を貫いてきたAppleが、OpenAIやGoogleといった外部のAIプラットフォームとの連携を積極的に進めている点です。
この動きの背景には、Appleの内部調査でSiriがChatGPTと比較して25%も精度が低く、回答可能な質問数も30%少ないことが判明したという事実があります。つまり、独自開発だけでは競合他社に追いつけないという現実的な判断があったと考えられます。
特筆すべきは、ChatGPTの統合にあたってAppleが採用したアプローチです。OpenAIとの提携により、ユーザーはOpenAIのアカウントを作成することなく、無料でChatGPTの機能を利用できるようになります。これは、プライバシーを重視するAppleユーザーにとって大きなメリットとなるでしょう。
また、「Visual Intelligence」や「Image Playground」といった新機能は、単なるAIツールの統合を超えて、iPhoneの使用体験を根本的に変える可能性を秘めています。例えば、カメラで捉えた物体や文字をリアルタイムで認識し、即座に関連情報を提供する機能は、観光や学習、ビジネスシーンでの活用が期待できます。
ただし、これらの機能はiPhone 15 ProやiPhone 16シリーズなど、最新のデバイスでしか利用できないという制限があります。これは、高度なAI処理には専用のハードウェア性能が必要というテクニカルな理由がありますが、結果としてユーザー間で機能格差が生じることは避けられません。
長期的な展望として、AppleはAI機能を2026年までにすべてのスクリーン搭載デバイスに展開する計画を持っています。これは、iPhoneだけでなく、iPadやMac、さらにはVision Proまでを包含する壮大な戦略であり、デバイス間でのシームレスなAI体験の実現を目指しているといえます。
このような包括的なAI戦略は、テクノロジー業界全体にも大きな影響を与えるでしょう。特に、プライバシー保護とAI機能の両立という新しいスタンダードを示すことで、業界全体のベンチマークとなる可能性があります。