Meta Llamaの軍事転用が発覚 ー 中国軍が独自開発、オープンソースAIの新たな課題に

Meta Llama、中国軍が無断で軍事転用 ー GPT-4比90%の性能を実現、オープンソースAIの新たな課題 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2024-11-02 10:46 by admin

中国の軍事研究機関の研究者らが、Meta社の初期バージョンのLlamaモデルを使用して、軍事用途に最適化されたチャットボット「ChatBIT」を開発していたことが、Reutersの調査で明らかになった(2024年11月1日)。

中国人民解放軍の軍事科学院を含む3つの研究機関から6名の研究者が参加したこの研究は、6月の論文で報告された。ChatBITは、他のAIモデルと比較してGPT-4の約90%の性能を達成したとされている。

研究チームは、わずか10万件の軍事関連の対話データでLlamaモデルを追加学習させ、情報収集、処理、作戦的意思決定支援などの軍事目的に特化した機能を実装した。

Meta社の公共政策ディレクターMolly Montgomeryは「中国人民解放軍による我々のモデルの使用は、許可されておらず、利用規約に明確に違反する」と声明を発表している。

from:Exclusive: Chinese researchers develop AI model for military use on back of Meta’s Llama

【編集部解説】

この問題は、バイデン大統領が2023年10月にAI開発に関する大統領令に署名し、米国が中国のAI開発への投資制限を強化しようとする中で明らかになりました。

特に注目すべきは、わずか10万件という限られたデータセットで軍事特化型AIの開発に成功した点です。これは、大規模な計算資源やデータセットがなくても、既存のAIモデルを効果的に転用できることを示しています。

Meta社の利用規約違反という事実は、オープンソースAIの管理における根本的な課題を提起しています。技術がいったん公開されると、その使用を完全に制御することは極めて困難です。

この事例は、中国の包括的なAI軍事利用戦略の一部と考えられます。中国は2030年までにAI分野での世界的リーダーシップを目指しており、370以上の研究機関がAGI関連の研究を進めています。

【用語解説】

  • ファインチューニング
    既存の大規模AIモデルを特定の目的用に調整する技術。少量のデータでも高い特化性能を実現できます。
  • バイデン大統領のAI大統領令
    2023年10月に署名された行政命令。AIの安全性確保と国家安全保障の観点から、様々な規制や指針を定めています。

【参考リンク】

  1. Meta AI 公式サイト(外部)
    Metaの人工知能研究部門の公式サイト。Llamaなど最新AI技術の詳細情報を提供。

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