ソニーグループのレイヤー2ブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」が2025年1月14日にメインネットをローンチした。
開発主体のSony Block Solutions Labs(Sony BSL)は、ソニーグループ(90%)とStartale Labs(10%)による合弁会社で、2023年10月にシンガポールで設立された。
テストネット「Soneium Minato」では4ヶ月間で1,400万のウォレットアカウントと4,700万件のトランザクションを記録。インキュベーションプログラム「Soneium Spark」には1,700件以上の応募があり、32のプロジェクトが選出された。
from:Sony’s Layer-2 Blockchain ‘Soneium’ Goes Live
【編集部解説】
Soneiumの登場は、大手テクノロジー企業のWeb3参入という文脈を超えた重要な意味を持っています。
まず注目すべきは、ソニーがOptimismのOP Stackを採用した点です。これは単なる技術選択ではなく、Web3の将来像に対する重要な示唆を含んでいます。CoinbaseのBase、KrakenのInkなど、主要なWeb2企業がOP Stackを選択している流れの中で、ソニーもこの技術基盤を選んだことは、Web3の標準化が進む可能性を示唆しています。
エンターテインメントとWeb3の融合
ソニーの強みは、音楽、映画、ゲームなど多様なエンターテインメントコンテンツを持っていることです。Soneiumは、これらのコンテンツをWeb3で活用する基盤として機能することが期待されます。
特に注目すべきは、NFTを活用したファンエンゲージメントプラットフォームです。従来のファンクラブやポイントシステムとは異なり、ブロックチェーン上でファンの活動を記録・評価することで、より深いエンゲージメントが可能になります。
技術的な特徴と課題
Soneiumの特筆すべき点は、テストネット期間中に1,400万以上のウォレットと4,700万件のトランザクションを記録したことです。これは、一般ユーザーのWeb3サービスへの潜在的な需要を示しています。
しかし、いくつかの課題も存在します。例えば、ミームコインの取り扱いを制限するなど、一部のクリプトコミュニティからは批判の声も上がっています。これは、企業主導のブロックチェーンが直面する「分散化」と「管理」のジレンマを示しています。
今後の展望
2025年2月に予定されているファンマーケティングプラットフォームの開始は、Web3の実用化における重要なマイルストーンとなる可能性があります。特に、ソーシャルログインの導入により、一般ユーザーのWeb3参入障壁を大きく下げることが期待されます。
また、CircleのUSDCステーブルコインの統合は、プラットフォームの実用性を高める重要な要素となるでしょう。これにより、クリエイターとファンの間での円滑な価値交換が可能になります。
リスクと課題
一方で、大企業主導のブロックチェーンプラットフォームには、中央集権化のリスクが付きまといます。ソニーがどのようにして分散性と企業統制のバランスを取るのか、今後の運営が注目されます。
また、既存のソニーのサービス(PlayStation NetworkやSony Music)との統合についても、具体的なロードマップはまだ明らかになっていません。これらの統合がどのように進められるかも、Soneiumの成否を左右する重要な要素となるでしょう。