ーTech for Human Evolutionー

Google Cloud大規模障害でOpenAI・Shopify・Cloudflareが同時停止、クラウド依存リスクが浮き彫りに

Google Cloud大規模障害でOpenAI・Shopify・Cloudflareが同時停止、クラウド依存リスクが浮き彫りに - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-06-13 08:09 by admin

2025年6月12日、Googleのクラウドサービス(Google Cloud Platform)が太平洋時間午前10時51分から大規模な障害を起こし、OpenAI、Shopify、AmazonのTwitch、CoreWeaveのWeights and Biases、Elastic、GitLab、LangChain、MicrosoftのGitHub、Replit、IntuitのMailchimpなど複数のサービスに影響を与えた。

Downdetectorでは11時30分頃に13,000件以上の障害報告があったが、午後には減少した。

Googleのクラウド部門はトーマス・クリアンが率いており、障害は米国、ヨーロッパ、アジアの13のクラウドサービスで発生した。

Cloudflareも影響を受け、株価は5%下落した。OpenAIはシングルサインオンなどのログイン問題を報告し、Shopifyも複数サービスの問題を認識している。Googleは復旧に向けて取り組んでいるが、修正の予定時刻は示していない。(日本時間6月13日:本記事執筆現在)

From: 文献リンクGoogle suffers cloud outage, causing disruptions for OpenAI, Shopify and other services

【編集部解説】

今回のGoogle Cloud障害は、現代のクラウドインフラストラクチャの脆弱性を浮き彫りにした重要な事例です。元記事によると、Googleは「複数のGCP製品でサービス問題が発生している」と発表し、エンジニアリングチームが調査を継続していることを明らかにしました。

特に注目すべきは、Cloudflareという独立したCDN(コンテンツ配信ネットワーク)プロバイダーまでが影響を受けた点です。Cloudflareの広報担当者は「これはGoogle Cloudの障害」と明言しており、限定的なサービスがGoogle Cloudに依存していたことが判明しています。これは、表面上は競合関係にある企業同士でも、実際のインフラレベルでは相互依存関係が存在することを示しています。

今回の障害が示すリスクは深刻です。単一のクラウドプロバイダーの障害が、OpenAI、Shopify、Discordなど、数十の主要サービスを同時に停止させる可能性があることが実証されました。これは「単一障害点(Single Point of Failure)」の典型例といえるでしょう。

記事では、GoogleがAmazon Web ServicesやMicrosoft Azureといった大手ライバルとの競争において、クラウドインフラで歩調を合わせようとしている中での今回の障害が「後退」であると分析されています。トーマス・クリアンが率いるクラウド部門は、近年Googleの中で急速に成長しているセグメントの一つであり、AI製品やサービスの需要から恩恵を受けているだけに、今回の事態は影響が大きいと考えられます。

この事案は、企業のクラウド戦略に重要な示唆を与えています。複数のクラウドプロバイダーを組み合わせることで、単一プロバイダーの障害リスクを軽減できる可能性があります。

長期的な視点では、この種の大規模障害は規制当局の注目を集める可能性があります。特に、クラウドインフラの寡占化が進む中で、システミックリスクへの対応が求められるかもしれません。

一方で、Googleは障害発生後に継続的な調査と復旧作業を行っており、大規模クラウドプロバイダーとしての対応能力を示しています。ただし、記事執筆時点では修正の予定時刻は示されていませんでした。

【用語解説】

Google Cloud Platform(GCP)
Googleが提供するクラウドコンピューティングサービス群の総称。データ管理、AI・ML、ハイブリッドクラウドなど幅広いサービスを提供している。

Firebase
Googleが提供するモバイル・Webアプリケーション開発者向けのクラウドサービス。リアルタイムデータベース、認証機能、ホスティングなど豊富な機能を持つMBaaS(Mobile Backend as a Service)。

Downdetector
SNSの書き込みやWebサイトへの報告を分析し、ネットサービスの障害情報をリアルタイムで提供するサービス。2012年開発、現在はOokla社が運営している。

単一障害点(Single Point of Failure)
システム全体の動作に影響を与える可能性がある単一の構成要素。この部分が故障すると、システム全体が停止するリスクがある。

【参考リンク】

Google Cloud(外部)
Googleのクラウドコンピューティングサービス。AI・ML、データ管理、ハイブリッドクラウドなど20以上の製品を提供。

Cloudflare(外部)
世界270以上の都市にデータセンターを展開するWebセキュリティ・CDNプロバイダー。

OpenAI外部)
ChatGPTを開発したアメリカの人工知能研究機関。人類に有益なAI発展を目指している。

Shopify(外部)
カナダ発のECプラットフォーム。オンラインストア構築からPOSシステムまで包括的なソリューション。

Downdetector(外部)世界で最も人気のあるオンラインサービス状況情報プラットフォーム。月間2500万件以上のレポート。

【参考動画】

【参考記事】

Google Cloud and Cloudflare hit by widespread service outages(外部)
BleepingComputerによるGoogle CloudとCloudflareの大規模障害の詳細報告。復旧状況を時系列で追跡。

Google Cloud named cause of internet outage by Cloudflare rep(外部)
Mashableによる報告。Cloudflareの代表者がGoogle Cloudを障害の原因として名指しした経緯を詳細に解説。

Google Cloud Outage Affects Major Internet Services(外部)
GuruFocusによる分析。Google Cloud障害が主要インターネットサービスに与えた影響と市場への影響を包括的に報告。

【編集部後記】

今回の障害を受けて、皆さんの会社や個人で利用しているサービスがどのクラウドプロバイダーに依存しているか、一度確認してみませんか?

普段何気なく使っているChatGPTやShopifyも、実はGoogle Cloudの上で動いていることが今回判明しました。もし重要なデータやサービスを単一のクラウドに依存している場合、今回のような大規模障害に備えて対策を見直すタイミングかもしれません。

皆さんはこうした「見えない依存関係」について、どのように考えていらっしゃいますか?

クラウドコンピューティングニュースをinnovaTopiaでもっと読む

投稿者アバター
TaTsu
デジタルの窓口 代表 デジタルなことをまるっとワンストップで解決 #ウェブ解析士 Web制作から運用など何でも来い https://digital-madoguchi.com