advertisements

SnowflakeがGoogle Gemini 3をCortex AIに統合、データ移動なしでエンタープライズAI実現

SnowflakeがGoogle Gemini 3をCortex AIに統合、データ移動なしでエンタープライズAI実現 - innovaTopia - (イノベトピア)

エンタープライズAI導入で最大の障壁となる「データ移動」の問題に、SnowflakeとGoogleが一つの解を示した。データをガバナンス境界内に留めたまま、最新のGemini 3を活用できる統合環境が実現する。


Snowflake(NYSE: SNOW)は2026年1月6日、Google Cloudとの協業を拡大し、GoogleのGemini 3をSnowflake Cortex AI内でネイティブに提供開始すると発表した。顧客はプラットフォーム間でデータを移動せずに、Geminiによって実現されるインテリジェントなData Agentsを含む生成AIアプリケーションをSnowflake内で直接開発、デプロイ、スケールできる。BlackLineやFivetranなどの企業が既にGoogle Cloud上のSnowflake AI Data Cloudを活用している。

協業の拡大により、両社は共同販売機会の拡大とGoogle Cloud Marketplaceを通じた取引を可能にする。サウジアラビア王国におけるGoogle Cloud上でのSnowflakeのローンチに続き、2026年初頭にはオーストラリア・メルボルンでの展開を予定している。

また、Google Cloud AxionベースのC4A VMマシン上でのSnowflake Gen2 Warehousesが本番稼働を開始した。

From: 文献リンクSnowflake Enables Enterprise-Ready AI by Bringing Google’s Gemini 3 to Snowflake Cortex AI

【編集部解説】

今回の発表で最も重要なのは、「データを動かさずにAIを使える」という点です。従来、企業が最先端のLLMを使おうとすると、データをクラウドベンダーのAPI環境に送信する必要がありました。しかし、Snowflake Cortex AI内でGemini 3がネイティブ動作することで、データはSnowflakeのガバナンス境界内に留まったまま、Googleの最新AIモデルの恩恵を受けられます。

この統合によって提供されるGeminiモデルには、複雑な推論タスクに対応するバージョンと、高速処理に最適化されたバージョンが含まれるとされています。Geminiファミリーの最新モデルは数学的推論や複雑なマルチモーダル理解に優れており、GPQA Diamondで91.9%のスコアを記録しています。高速版は従来モデルより約3倍高速で、トークン使用量も約30%削減されており、リアルタイム応答が求められる用途に最適化されています。

エンタープライズAI統合のコストは通常$70,000から$100,000以上かかりますが、データ移行や複雑なミドルウェア開発を回避できれば、大幅なコスト削減が可能になります。BlackLineやFivetranのような企業が既に採用している背景には、こうした経済合理性があります。

ただし、注意すべき点もあります。Snowflakeは2025年にCortex AI Search Serviceの権限管理に関する問題が指摘され、適切な設定を行わないと意図しない情報漏洩のリスクがあることが明らかになりました。エンタープライズAIは生産性を大きく向上させる一方、最小権限の原則に基づいた慎重な展開が求められます。

Snowflakeのデータガバナンス機能を使用した保護データへのクエリは150%近く増加しており、企業がセキュリティとAI活用を両立させようとしている傾向が見て取れます。今回のGemini 3統合は、この流れをさらに加速させる可能性があります。

【用語解説】

Snowflake Cortex AI
Snowflakeが提供するAI機能統合プラットフォームで、データを移動せずに機械学習モデルやLLMをSnowflake環境内で直接実行できるサービスである。データガバナンスとセキュリティを維持したままAI開発が可能になる。

Data Agents
特定のタスクを自律的に実行できるAIエージェントで、データ分析、クエリ実行、レポート生成などを人間の指示に基づいて自動で処理する。Geminiのような大規模言語モデルによって推論能力が強化されている。

LLM(大規模言語モデル)
膨大なテキストデータで学習された自然言語処理AIモデルで、文章生成、翻訳、要約、質問応答などのタスクを実行できる。GeminiやGPTなどが代表例である。

データガバナンス
企業データの品質、セキュリティ、プライバシー、アクセス権限を管理する仕組みで、誰がどのデータにアクセスできるかを制御し、コンプライアンス要件を満たすための枠組みである。

GPQA Diamond
大学院レベルの科学的質問に対する回答能力を測定するベンチマークテストで、物理学、化学、生物学などの専門知識が必要な問題で構成されている。AIモデルの高度な推論能力を評価する指標として使用される。

Google Cloud Axion
Googleが開発したArmベースのカスタムCPUで、エネルギー効率とコストパフォーマンスに優れたクラウドインフラストラクチャを提供する。C4A VMマシンとして提供されている。

【参考リンク】

Snowflake 公式サイト(外部)
AI Data Cloud企業として、クラウドベースのデータウェアハウスとAI統合サービスを提供。Cortex AIを通じて複数のLLMをネイティブ環境で実行可能にしている。

Snowflake Cortex AI 製品ページ(外部)
Snowflakeが提供する生成AIサービスの詳細情報。複数のLLMモデル、ベクトル検索、AIアシスタント機能などを統合したエンタープライズAIプラットフォームである。

Google Cloud(外部)
Googleが提供するクラウドコンピューティングサービスで、AI/ML、データ分析、インフラストラクチャサービスを幅広く展開している。Geminiモデルの開発元である。

BlackLine(外部)
財務・会計プロセスの自動化ソリューションを提供する企業で、CFOオフィス向けにエージェンティックAIを活用した製品を展開している。

Fivetran(外部)
データ統合の自動化プラットフォームを提供する企業で、複数のデータソースからSnowflakeなどのデータウェアハウスへの連携を簡素化するサービスを展開している。

【参考記事】

Snowflake boosts Google partnership, integrates Gemini 3(外部)
SnowflakeとGoogle Cloudの戦略的パートナーシップ拡大について詳細に報じており、Gemini 3がSnowflake Cortex AIで利用可能になったことを解説している。

Gemini 3 Flash vs Pro: Complete Comparison Guide 2026(外部)
Geminiモデルファミリーの性能比較を詳細に解説しており、高速版が従来モデルより約3倍高速でトークン使用量も30%削減されていること、高性能版がGPQA Diamondで91.9%のスコアを記録したことなどの具体的な数値を提供している。

Gemini 3 Flash vs Pro: Full Comparison of Speed, Price, and Performance(外部)
Geminiモデルの技術仕様とユースケースを比較し、高速版がリアルタイム応答に最適化されている一方、高性能版が複雑な推論タスクに優れていることを解説している。

Snowflake Data Governance: Key Features & How to Scale It(外部)
Snowflakeのデータガバナンス機能について詳述し、保護データへのクエリが150%増加している統計データを提供している。エンタープライズAI活用におけるセキュリティとガバナンスの重要性を強調している。

Snowflake Cortex AI Search Service Can Expose Sensitive Data(外部)
2025年に発見されたSnowflake Cortex AI Search Serviceの権限管理に関する問題を報告しており、適切な設定を行わないと意図しない情報漏洩のリスクがあることを指摘している。

The Complete Guide to AI Integration Costs in 2025(外部)
エンタープライズAI統合のコストについて詳細に解説し、通常$70,000から$100,000以上かかることを具体的な数値で示している。データ移行やミドルウェア開発のコスト削減効果について論じている。

【編集部後記】

企業がAIを導入する際、「データをどこまで外部に出せるか」は常に悩ましい問題です。今回のSnowflakeとGoogleの統合は、その課題に一つの答えを示しているように感じます。

皆さんの組織では、データガバナンスとAI活用のバランスをどう取られていますか?特に金融や医療など、規制の厳しい業界で働く方々にとって、このような「データを動かさないAI」は選択肢になり得るでしょうか。ぜひご意見をお聞かせください。

投稿者アバター
TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

読み込み中…

innovaTopia の記事は、紹介・引用・情報収集の一環として自由に活用していただくことを想定しています。

継続的にキャッチアップしたい場合は、以下のいずれかの方法でフォロー・購読をお願いします。