Last Updated on 2024-07-18 07:16 by admin
北朝鮮の国家支援ハッカーが、MacOSユーザーを標的にした新たなサイバー攻撃キャンペーンを展開していることが発覚した。
このキャンペーンでは、偽のビデオ通話サービス「Microtalk」の悪意のあるバージョンをダウンロードさせることで、更新された「BeaverTail」マルウェアをユーザーのデバイスに仕込む手法が用いられている。
サイバーセキュリティ研究者パトリック・ウォードルによると、攻撃者は仕事面接への参加を促すことで被害者を誘導していた。
このマルウェアは、被害者のデバイスからデータを盗み出すだけでなく、追加のペイロード「InvisibleFerret」も実行する。ウォードルは、北朝鮮のハッカーが社会工学を駆使してMacOSターゲットを攻撃する技術に長けていると指摘している。
【編集者追記】本文には出てこないが知っておきたい用語解説
APT(Advanced Persistent Threat):
高度で持続的な標的型攻撃のことです。特定の組織や企業を長期間にわたって狙い続ける、高度な技術を持つハッカー集団による攻撃を指します。
Lazarus Group:
北朝鮮政府と関連があるとされる有名なハッカー集団です。金融機関や暗号通貨取引所を主な標的としています。
BlueNoroff:
Lazarus Groupの下部組織で、主に金融関連の攻撃を担当しているとされるグループです。
マルウェア:
悪意のあるソフトウェアの総称で、コンピューターに害を与えたり、不正な動作をさせたりするプログラムのことです。
ObjCShellz:
今回発見された新しいmacOS向けマルウェアの名称です。Objective-Cというプログラミング言語で書かれています。
リモートシェル:
遠隔地からコンピューターを操作するためのツールです。
【参考リンク】
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【ニュース解説】
北朝鮮の国家支援を受けたハッカーグループが、MacOSユーザーを狙った新たなサイバー攻撃キャンペーンを実施していることが明らかになりました。この攻撃では、偽のビデオ通話サービス「Microtalk」を装った悪意あるソフトウェアをダウンロードさせることで、ユーザーのデバイスに「BeaverTail」というマルウェアを仕込む手法が用いられています。このマルウェアは、被害者のデバイスから情報を盗み出すだけでなく、さらに別の悪意あるプログラム「InvisibleFerret」を実行する能力も持っています。
この攻撃キャンペーンの特徴は、仕事面接を装って被害者を誘い込む点にあります。つまり、攻撃者は社会工学的手法を駆使して、被害者にマルウェアをダウンロードさせる状況を作り出しています。このような手法は、技術的な脆弱性を突くよりも、人間の心理を利用することに重点を置いており、防御が困難な場合があります。
この攻撃が与える影響は、個人レベルでの情報漏洩にとどまらず、企業や組織にとっても深刻なセキュリティリスクをもたらします。特に、機密情報を扱う企業や、セキュリティが重要視される組織では、このような攻撃により重大な損害を受ける可能性があります。
この技術によって可能になることの一例としては、攻撃者が被害者のデバイスを完全に制御下に置き、さらには内部ネットワークへの侵入口として利用することが挙げられます。これにより、組織全体のセキュリティが脅かされることになります。
ポジティブな側面としては、このような攻撃の発覚がセキュリティコミュニティに警鐘を鳴らし、防御策の強化やユーザー教育の重要性を再認識させる機会となることです。一方で、潜在的なリスクとしては、攻撃手法の進化により、今後さらに巧妙な攻撃が増加する可能性があります。
規制に与える影響としては、このようなサイバー攻撃の増加が、国際的なサイバーセキュリティ基準の強化や、企業に対するセキュリティ対策の義務付けを促す可能性があります。また、将来への影響としては、サイバーセキュリティ技術の進化とともに、攻撃手法も進化し続けるため、セキュリティ対策の継続的な更新と教育がより一層重要になるでしょう。
長期的な視点では、企業や組織は、技術的なセキュリティ対策だけでなく、従業員の教育や意識向上にも力を入れる必要があると言えます。また、国際的な協力による情報共有や、サイバー攻撃への迅速な対応が、今後のサイバーセキュリティ環境を守る上での鍵となるでしょう。
from DPRK Hackers Tweak Malware to Lure MacOS Users into Video Calls.