Last Updated on 2024-09-24 23:33 by admin
人気のソーシャルメッセージングプラットフォームDiscordは、2024年9月14日に音声およびビデオ通話のためのカスタムエンドツーエンド暗号化(E2EE)プロトコルを導入すると発表した。
このプロトコルは「DAVE」(Discord’s Audio and Video End-to-end encryption)と名付けられた。
DAVEプロトコルは、DM、グループDM、ボイスチャンネル、Go Liveストリームの音声とビデオに適用される。
ただし、Discordのメッセージは暗号化されず、従来のコンテンツモデレーションアプローチの対象となる。
DAVEプロトコルは公開監査可能で、セキュリティ企業Trail of Bitsによってレビューされている。
このプロトコルは、暗号化にWebRTCエンコードトランスフォームを、グループキー交換(GKE)にMessage Layer Security(MLS)を使用している。
Discordは2025年までに、すべての公式クライアントがDAVEプロトコルをサポートし、エンドツーエンド暗号化対象の音声/ビデオ通話に接続するための必須要件となると発表している。
なお、Discordは2015年5月に設立され、2023年9月時点で月間アクティブユーザー数が約3億人に達している。
【編集部解説】
Discordが発表したDAVEプロトコルは、音声およびビデオ通話のセキュリティを大幅に向上させる画期的な取り組みです。この導入により、ユーザーのプライバシー保護が強化されることが期待されます。
DAVEプロトコルの特筆すべき点は、エンドツーエンド暗号化(E2EE)を採用していることです。これにより、通信内容はDiscord社を含む第三者から完全に保護されます。つまり、会話の内容は参加者以外には一切解読できないということです。
技術的には、WebRTCエンコードトランスフォームとMessage Layer Security(MLS)を組み合わせた独自の方式を採用しています。これにより、高度なセキュリティを維持しつつ、スムーズな通話体験を実現しています。
しかし、注目すべきは、テキストメッセージには暗号化が適用されないという点です。これは、コンテンツモデレーションとユーザーの安全性確保のためです。Discordは、プライバシーと安全性のバランスを慎重に取っているようです。
DAVEプロトコルの導入は、オンラインコミュニケーションの安全性に対する意識の高まりを反映しています。特に、リモートワークやオンライン教育が普及する中、セキュアな通信の重要性は増しています。
一方で、エンドツーエンド暗号化の普及は、法執行機関による犯罪捜査を困難にする可能性があります。これは、テクノロジーの進歩と社会の安全保障のバランスという、より大きな議論につながる可能性があります。
長期的には、DAVEプロトコルのような技術が標準化され、他のプラットフォームにも採用される可能性があります。これにより、インターネット全体のセキュリティレベルが向上する可能性があります。
ユーザーにとっては、より安全なコミュニケーション環境が提供されることになりますが、同時にセキュリティに対する意識も高める必要があります。エンドツーエンド暗号化は強力ですが、端末自体のセキュリティも重要だということを忘れてはいけません。
Discordのこの動きは、テクノロジー業界全体にも影響を与える可能性があります。他の通信プラットフォームも、同様のセキュリティ強化を検討せざるを得なくなるかもしれません。
最後に、DAVEプロトコルの導入は、ユーザープライバシーの保護とプラットフォームの安全性確保の両立という、難しい課題に対するDiscordの挑戦と言えるでしょう。今後の展開に注目が集まります。