Last Updated on 2024-11-25 12:55 by admin
GoogleのThreat Intelligence Group(TAG)とMandiantは、2024年11月22日、中国のプロパガンダネットワーク「GLASSBRIDGE」の存在を公表した。
GLASSBRIDGEは以下の中国系PR企業で構成されている:
- Shanghai Haixun Technology(600以上のドメインを運営)
- Times Newswire/Shenzhen Haimai Yunxiang Media
- Shenzhen Bowen Media(100以上のドメインを運営)
- DURINBRIDGE(マレーシアを拠点とし、200以上のウェブサイトを運営)
from Google Exposes GLASSBRIDGE: A Pro-China Influence Network of Fake News Sites
【編集部解説】
GLASSBRIDGEの活動は、現代のデジタルプロパガンダの洗練された手法を示す重要な事例です。従来のソーシャルメディアを利用した影響工作から、より巧妙な「合法的」なPR活動を装った手法へと進化していることが特徴的です。
特筆すべきは、これらの企業が単なるニュースサイトの運営だけでなく、正規のニュースワイヤーサービスも活用している点です。World Newswireのような配信サービスを通じて、実在する主要メディアのサブドメインにコンテンツを掲載することで、より高い信頼性を獲得しようとしています。
GLASSBRIDGEの活動範囲は30カ国以上に及び、各地域の言語でコンテンツを提供しています。日本も標的国の一つとされており、日本語のコンテンツも配信されていました。
特に注目すべきは、これらの企業が「デジタルPR会社」として正規のビジネスを展開している点です。通常の商業活動と政治的影響工作が混在することで、その実態の把握や対策が困難になっています。
Fiverrのようなフリーランスプラットフォームを活用し、現地のライターやマーケターを雇用することで、よりローカライズされた信頼性の高いコンテンツを作成していました。
この手法は中国に限らず、ロシアやイランなどの国家アクターも採用しており、グローバルな情報空間における新たな課題となっています。
Storm-2077の出現と合わせて考えると、サイバー攻撃と情報操作の連携が強化されている可能性があります。技術的な侵入と世論形成の両面から、より包括的な影響力行使を目指していると考えられます。
このような状況下で、プラットフォーム事業者による対策だけでなく、メディアリテラシーの向上がますます重要になってきています。特に、地域密着型のニュースを装った情報には、より慎重な判断が必要です。
私たちメディアも、情報源の透明性確保と、正確な事実確認の重要性を改めて認識させられる事例といえるでしょう。
【用語解説】
GLASSBRIDGE
中国のPR企業4社からなるプロパガンダネットワーク。30カ国以上で影響力行使を展開。
Storm-2077
2024年1月から活動を開始した中国の国家支援ハッカー組織。