Last Updated on 2024-11-26 17:48 by admin
2024年11月20日、セキュリティ研究機関BleepingComputerは、SpotifyやAmazon関連サービス(Amazon Music、Audible)で、不正なFX取引サイトや海賊版ソフトウェアの宣伝が横行している問題を報告した。
被害状況
影響を受けたプラットフォーム:
- Spotify
- Amazon Music
- Audible
手口の詳細
サイバー犯罪者たちは以下の方法で不正な宣伝を展開:
- プレイリスト名やポッドキャストの説明文に不正なキーワードやリンクを挿入
- 再生時間0秒の偽のポッドキャストエピソードを投稿
- 第三者のポッドキャスト配信サービスを悪用して、複数のプラットフォームに同時に不正コンテンツを配信
主な不正コンテンツ
- EliteMarketMoversなどの無認可FX取引プラットフォーム
- 海賊版ソフトウェアのダウンロードサイト
- 不正なTelegramチャンネル
プラットフォーム側の対応
Amazonは報告された不正リスティングを削除たが、公式な回答は行っていない。ポッドキャスト配信サービスのFirstoryは、スパムアカウントと不正コンテンツへの対策を強化し、ストリーミングプラットフォームと協力して問題に対処していることを表明。
from Spotify, Audible, and Amazon used to push dodgy forex trading sites and more
【編集部解説】
音楽・オーディオブック配信プラットフォームが新たなサイバー犯罪の温床となっている深刻な状況が明らかになりました。特に注目すべきは、第三者のポッドキャスト配信サービスを悪用した攻撃手法です。サイバー犯罪者たちは、Firstoryなどのポッドキャスト配信サービスを利用して、SpotifyやAmazonなど複数のプラットフォームに同時に不正コンテンツを配信しています。これにより、Googleの検索結果で上位表示を狙うSEO攻撃を効率的に展開しています。
Amazonは報告された不正リスティングを削除していますが、根本的な解決には至っていません。Firstoryの共同創設者Stanley Yu氏も、スパムアカウントとコンテンツが継続的な課題であることを認めています。興味深いことに、この問題が表面化したタイミングは、AmazonがSpotifyに対抗してオーディオブック市場での攻勢を強めている時期と重なっています。このような状況下で、プラットフォームのセキュリティ強化と利便性の両立が新たな課題として浮上しています。
この問題は、デジタルプラットフォームの信頼性とユーザーの利便性のバランスをどう取るかという、より大きな課題を提起しています。特に、複数のプラットフォームを横断した不正コンテンツの拡散は、単一のサービス提供者だけでは解決が難しい問題となっています。プラットフォーム事業者間の連携と、より効果的な不正検知システムの導入が今後の課題となるでしょう。
【用語解説】
FX取引(外国為替証拠金取引)
為替レートの変動を利用して利益を得る取引手法。正規の取引所を介さないOTC(相対取引)で行われ、24時間取引が可能です。
Amazonオーディオブック(Audible)
Amazonが展開する世界最大のオーディオブックサービス。プロのナレーターや声優が朗読する20万以上の作品を月額1,500円で聴き放題で提供しています。2014年にAmazonがAudible社を買収し、日本では2015年からサービスを開始しました。