Last Updated on 2024-11-26 16:03 by admin
開発元のXR Gamesは、Meta Quest版を2024年11月14日に発売後、PSVR2版の発売を2024年11月25日から延期することを発表した。
現在、以下の技術的課題への対応を進めている：
– マッチメイキングシステムの不具合
– 同時表示可能な敵の数が5-7体と少ない
– フレンド追加機能の不具合
– ロビーのロック機能の欠如
from Starship Troopers: Continuum Re-Emerges On PlayStation Store Following Late Delay
【編集部解説】
VRゲーム「Starship Troopers: Continuum」の開発状況は、現代のVRゲーム開発が直面する課題を浮き彫りにしています。開発元のXR Gamesは2024年10月に大規模なリストラを実施し、84名の従業員のうち72名が離職するという厳しい状況に直面しています。
このような状況下で、本作は主に2つの大きな課題を抱えています。1つ目は、VRプラットフォームの性能制限による表現力の制約です。Quest版では同時に画面表示できる敵の数が5-7体程度に制限されており、映画の特徴である大規模な戦闘シーンの再現が困難となっています。
2つ目は、オンラインマルチプレイヤー機能の問題です。「Ready」機能の欠如、ロビーのロック機能の不在、フレンド追加機能の不具合など、基本的な機能に課題を抱えています。これらの問題は、プレイヤー間のスムーズな接続を妨げる要因となっています。
市場環境と今後の展望
VR市場全体が苦戦を強いられている中、本作の開発も影響を受けています。PSVR2は発売後すぐに勢いを失い、2023年12月にはソニーのグローバルビジネス責任者がVRを「現在は課題の多いカテゴリー」と表現している状況です。
開発チームは現在、Quest版で指摘された問題点の改善に注力しています。しかし、限られた開発リソースの中で、プレイヤーの期待に応える品質向上を実現できるかが今後の課題となっています。
VR業界の現状と課題
VRゲーム「Starship Troopers: Continuum」の開発状況は、VR業界全体が直面する課題を象徴的に表しています。2024年のVR市場規模は361億ドルと推定され、2034年までに2,840億ドルまで成長すると予測されていますが、現時点では深刻な技術的課題に直面しています。
ハードウェアの制約
現行のVRデバイスには3つの重要な技術的制約があります。1つ目は表示性能の限界です。人間の目が現実として認識するには不十分な解像度、180度未満の視野角による没入感の低下、そしてピクセル間の隙間が見える「フライスクリーン効果」などが挙げられます。
2つ目は電力効率の問題です。高性能な処理による発熱と、約1.5時間という短い稼働時間は、長時間のゲームプレイを妨げる要因となっています。
3つ目はレイテンシー（遅延）の問題です。ユーザーの動きと表示の同期ズレは、特に本作のような高速なアクションゲームにおいて重要な課題となっています。
開発リソースの制約
XR Gamesの事例が示すように、VR開発企業の多くは厳しい経営環境に直面しています。開発費用は3万ドルから15万ドルと高額である一方、限られたユーザーベースによる投資回収の難しさが存在します。
【用語解説】
スターシップ・トゥルーパーズ フランチャイズ
1959年の小説を原作とし、1997年に映画化された軍事SFシリーズ。巨大昆虫型エイリアンとの戦いを描く。
PsyCommander システム
本作の特徴的なゲームシステム。プレイヤーは特殊能力を持つ指揮官として、部下となるトルーパーを育成・指揮しながら戦闘を行う。
【参考リンク】
Sony Pictures Virtual Reality（外部）
ソニー・ピクチャーズエンタテインメントのVR部門。VRゲームの制作・配信を担当。
Meta Quest Store（外部）
Meta Quest向けVRゲームのダウンロード販売プラットフォーム。