Last Updated on 2024-12-03 15:08 by admin
Amazon Web Services(AWS)が新しいセキュリティサービス「AWS Security Incident Response」を発表
Amazon Web Services(AWS)は2024年12月2日、新しいセキュリティサービス「AWS Security Incident Response」を発表しました。このサービスは、同週ラスベガスで開催されるAWS re:Invent 2024カンファレンスに先立って公開されました。
主な特徴は以下の通りです:
- 機械学習を活用し、Amazon GuardDutyやサードパーティ製の脅威検出ツールからのセキュリティアラートを自動分析する
- アカウント乗っ取り、データ侵害、ランサムウェア攻撃などの脅威に対する防御を強化する
- 24時間365日体制のAWSカスタマーインシデントレスポンスチーム(CIRT)によるサポートを提供する
- 平均解決時間(MTTR)などの指標を可視化するダッシュボードを備える
サービスの提供地域:
米国東部2地域(バージニア北部、オハイオ)、米国西部1地域(オレゴン)、アジアパシフィック4地域(ソウル、シンガポール、シドニー、東京)、カナダ1地域(中部)、ヨーロッパ4地域(フランクフルト、アイルランド、ロンドン、ストックホルム)の計12リージョンで利用可能。
このサービスの発表は、AWSのシニアデベロッパーアドボケートであるBetty Zheng氏によって公式ブログで発表されました。
from:AWS Launches New Incident Response Service
【編集部解説】
サイバーセキュリティの現状と課題
国際通貨基金(IMF)の推計によると、サイバー攻撃による世界的な経済損失は2022年の約8.4兆ドルから2027年には23兆ドルまで増加すると予測されています。
さらに深刻なのは、多くの組織でインシデント対応の準備が整っていない現状です。最近の調査では、インシデント対応計画を持っている組織は5社中3社にとどまり、定期的な訓練を実施している組織は約3分の1に過ぎません。
新サービスがもたらす変革
AWSのグローバルサービスセキュリティ部門のVPであるHart Rossman氏が指摘するように、多くの組織では複数のツールやサービス、人員を連携させる必要があり、組織の成長とともにその管理が複雑化していました。
新サービスは、この課題に対して「単一の信頼できる情報源」としての役割を果たします。これにより、セキュリティチームは断片化した対応から脱却し、統合された環境で効率的なインシデント対応が可能になります。
市場への影響
Verified Market Researchの分析によると、グローバルなインシデントレスポンス市場は2023年の216.1億ドルから2030年には890.9億ドルまで成長すると予測されています。
既存のFireHydrant、Rootly、Incident.ioなどの専門企業も同様のサービスを提供していますが、AWSの強みは既存のAWSセキュリティサービスとのシームレスな統合にあります。
今後の展望
このサービスは、セキュリティ対応の「民主化」をもたらす可能性があります。中小企業でも高度なセキュリティ対応能力を手に入れられるようになり、組織の規模に関係なく、効果的なセキュリティ体制を構築できるようになります。
ただし、完全な自動化への依存はリスクも伴います。セキュリティチームは引き続き、重要な判断や戦略的な意思決定において中心的な役割を果たす必要があるでしょう。
日本市場への影響
東京リージョンでもサービスが提供されることで、日本企業にとってもグローバル水準のセキュリティ対応が身近になります。特に、セキュリティ人材不足が課題となっている日本市場において、このサービスは大きな意味を持つと考えられます。
【用語解説】
重要なサービス説明
AWS GuardDuty
24時間365日体制でAWS環境を監視する高度な脅威検出サービス。不審な動きを機械学習で自動検知します。
AWS Security Hub
複数のセキュリティツールからの警告を一元管理する統合セキュリティ管理サービス。