Last Updated on 2024-12-20 10:52 by admin
2024年12月17日、Check Point Software Technologiesは、Googleカレンダーを悪用した新型フィッシング攻撃を報告しました。攻撃の規模は2週間で2,300件を確認し、4週間後には4,000件以上に拡大。約300の組織・ブランドが被害に遭っています。
攻撃の手法
攻撃者はメールヘッダーを改変し、Googleカレンダーからの正規の招待状に偽装。Google FormsやGoogle Drawingsを経由して偽のreCAPTCHAページへ誘導し、最終的に暗号通貨関連の詐欺サイトへ誘導する手法を取っています。
from:Phishers Spoof Google Calendar Invites in Fast-Spreading, Global Campaign
【編集部解説】
この攻撃手法が特に注目される理由は、Googleカレンダーという私たちの日常的なツールを悪用している点にあります。5億人以上のユーザーを抱えるGoogleカレンダーは、ビジネスシーンでも欠かせないツールとなっています。
攻撃者たちは、セキュリティ製品による検知を回避するため、手法を進化させています。当初は単純な.icsファイルの添付でしたが、Google DrawingsやGoogle Formsを経由する手法に移行したことで、より巧妙化しています。
技術的な特徴と影響
この攻撃の特徴的な点は、送信者ヘッダーの改変技術にあります。これにより、正規のGoogleカレンダー通知と見分けがつきにくい偽装が可能となっています。
特に懸念されるのは、この手法がメールセキュリティの従来の防御ラインをバイパスできる点です。多くの組織で導入されているメールフィルタリングシステムでは、このような正規サービスを経由する攻撃の検知が困難となっています。
今後の展望と対策
この種の攻撃は、テクノロジーの進化とともにさらに巧妙化することが予想されます。Check Pointの研究者らは、AIを活用した自動化された攻撃の増加を警告しています。
企業のIT管理者は、従来のセキュリティ対策に加えて、サードパーティアプリの監視や、AIを活用した異常検知システムの導入を検討する必要があるでしょう。
個人ユーザーにとっても、「既知の送信者」設定の有効化は、攻撃の初期段階で気付くための有効な手段となります。これは、Googleが公式に推奨している対策でもあります。
社会的影響
この事例は、デジタル化が進む現代社会における新たな課題を提示しています。便利なツールほど攻撃者の標的となりやすく、その影響範囲も広大となります。
特に、暗号通貨関連の詐欺に誘導する手法は、フィンテック時代における新たな脅威として認識する必要があります。金融サービスのデジタル化が進む中、このような攻撃手法の出現は、セキュリティと利便性のバランスについて、改めて考える機会を提供しています。