Blackmagic Design社は、Apple Vision Pro向けの没入型ビデオカメラ「Blackmagic URSA Cine Immersive」の予約受付を2024年12月から開始した。価格は29,995ドル(約440万円)。
主な仕様
– 180度の視野角
– 90フレーム/秒の撮影速度(毎秒50億画素以上の処理能力)
– 8K解像度(8160×7200ピクセル、レンズあたり5870万画素)
– 立体視3D対応
– HDR(ダイナミックレンジ16ストップ)
– 空間オーディオ対応
– 8TB内蔵ストレージ(8K 90FPSで約2時間の撮影が可能)
– デュアルアンテナ搭載高速Wi-Fi、10ギガビットイーサネット対応
from Blackmagic’s $30K Apple Immersive Video Camera Now Available To Preorder
【編集部解説】
Apple Vision Proの発売から約1年が経過しようとしていますが、これまで没入型ビデオコンテンツの制作は、Appleと直接契約を結んだ一部の制作会社にしか許されていませんでした。今回のBlackmagic URSA Cine Immersiveの発表により、独立系制作会社やクリエイターにもApple没入型ビデオの制作の門戸が開かれることになります。
この没入型カメラの特筆すべき点は、毎秒50億画素以上を処理できる驚異的な性能です。これは、ブロックバスター映画の撮影に使用される最高級デジタルカメラと同等のダイナミックレンジを持っています。
Blackmagic DesignのCEOであるGrant Petty氏は、2025年後半までは限られた制作会社とのみ協力して、ワークフローの最適化を進めていく方針を示しています。これは慎重なアプローチであり、高品質なコンテンツ制作環境の構築を重視している表れと言えるでしょう。
価格は約440万円と、個人クリエイターには高額ですが、プロの制作会社にとっては投資に見合う価格設定といえます。従来の映画用カメラと比較しても、没入型ビデオという新しい領域を切り開くための装置としては妥当な価格帯です。
特筆すべきは、撮影から編集までのワークフローを一貫して提供できる点です。DaVinci Resolve Studioとの連携により、2D画面での編集作業とApple Vision Proでの確認作業をシームレスに行えます。
このカメラの登場により、コンサート、スポーツイベント、ドラマなど、様々なジャンルで没入型コンテンツの制作が活発化すると予想されます。特に、視聴者を作品の世界に没入させたい映画やドキュメンタリーの制作者にとって、新しい表現の可能性が広がるでしょう。
ただし、現時点では再生デバイスがApple Vision Proに限定されている点は、コンテンツ制作者にとって検討すべき課題となります。今後、他社の没入型デバイスへの対応や、より手軽な価格帯のカメラの登場が期待されます。