リモートワークにより57%のセキュリティ専門家がパッチ管理の複雑化を報告。62%のIT/セキュリティリーダーがパッチ管理を後回しにしている実態が明らかになりました。
パッチ管理の自動化に関する最新動向について、以下の要点をまとめる。
主要な事実
- 公開日:2025年2月20日
- 著者:Louis Columbus(VentureBeat寄稿者)
- 掲載メディア:VentureBeat
重要な統計データ
- セキュリティ専門家の71%がパッチ適用を複雑で面倒な作業と認識している
- 57%のセキュリティ専門家がリモートワークによってパッチ管理が複雑化したと報告
- 62%のITおよびセキュリティリーダーがパッチ管理を後回しにしていると認めている
最新の脅威状況
- 攻撃者は脆弱性の公開から15分以内にスキャンを開始している
- 攻撃者は武器化された大規模言語モデル(LLM)や攻撃アプリを活用している
- 従来の月次パッチサイクルでは、現代の脅威に対応できていない
主要ベンダーの動向
GigaOmのパッチ管理ソリューションレポートで評価された主要ベンダー
- Atera
- Automox
- BMC(Ivantiと提携)
- Canonical
- ConnectWise
- Flexera
- その他10社以上
パッチ管理の成功指標
- 平均パッチ適用時間(MTTP)
- パッチカバー率
- エクスプロイトウィンドウの削減
- リスク削減の影響度
これらの指標は、Gartnerの推奨する最低限の測定基準として示されている。
from:Milliseconds to breach: How patch automation closes attackers’ fastest loophole
【編集部解説】
パッチ管理の自動化に関する最新の動向について、innovaTopiaの視点から解説させていただきます。
サイバー攻撃の進化とパッチ管理の重要性
現在のサイバー攻撃は、AIやジェネレーティブAIの活用により、その速度と複雑さが劇的に向上しています。攻撃者は脆弱性が公開されてからわずか15分以内にスキャンを開始できるようになっており、従来の月次パッチサイクルでは対応が追いつかない状況となっています。
自動化がもたらす変革
パッチ管理の自動化は、単なる効率化ツールではありません。機械学習とAIを組み合わせることで、脆弱性の検出から対応までを継続的に実施し、組織のセキュリティ体制を強化することができます。
リモートワークの影響
コロナ禍以降、リモートワークの普及により、パッチ管理の複雑さは増大しています。57%のセキュリティ専門家がこの課題を指摘しており、分散化された環境での一貫したセキュリティ維持が重要となっています。
新しい指標の重要性
従来のCVSSスコアだけでは、現代の脅威に対応できなくなっています。そのため、平均パッチ適用時間(MTTP)やパッチカバー率、エクスプロイトウィンドウの削減など、より動的な指標の活用が推奨されています。
今後の展望
2027年までにサイバー犯罪による世界的な損失は23兆ドルに達すると予測されています。この状況下で、パッチ管理の自動化は、組織のサイバーレジリエンス強化における重要な要素となっていくでしょう。
日本企業への影響
特に日本企業においては、人材不足と技術的負債の課題が深刻です。パッチ管理の自動化は、これらの課題に対する有効な解決策となる可能性があります。
リスクと課題
自動化にも課題はあります。特にIoTデバイスなど、パッチ適用が困難な環境への対応や、パッチによる予期せぬシステム障害のリスクについては、慎重な検討が必要です。
まとめ
パッチ管理の自動化は、現代のサイバーセキュリティにおいて不可欠な要素となっています。しかし、技術的な導入だけでなく、組織全体でのセキュリティ文化の醸成も同時に進めていく必要があります。
【用語解説】
- パッチ管理(Patch Management)
システムやソフトウェアの脆弱性を修正するための更新プログラムを管理・適用する作業
- MTTP(Mean Time To Patch)
脆弱性が発見されてから修正パッチが適用されるまでの平均時間
短ければ短いほど、セキュリティリスクが低減される
【参考リンク】
【参考動画】
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