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CoGUIフィッシングキット:中国ハッカーが日本を標的に1億7200万件の攻撃 – 高度な検知回避技術で被害拡大

CoGUIフィッシングキット:中国ハッカーが日本を標的に1億7200万件の攻撃 - 高度な検知回避技術で被害拡大 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-08 17:19 by admin

サイバーセキュリティ企業Proofpointの最新調査によると、「CoGUI」と呼ばれる新たなフィッシングキットが日本を集中的に標的とし、数億件に及ぶ悪意あるメールを送信している。

攻撃の規模と特徴

CoGUIは2024年10月頃から活動を開始し、2025年1月にピークを迎え、1億7,200万件のフィッシングメールが確認された。その後も毎月平均50件のキャンペーンを展開し、各キャンペーンでは数十万から数千万件のメールが送信されている。

攻撃者は主にAmazon、PayPay、楽天、Appleなどの有名企業や日本の国税庁になりすまし、ユーザー名、パスワード、支払いデータの窃取を目的としている。

技術的特徴

CoGUIは高度な検知回避技術を備えており、以下の機能を持つ:

  • ジオフェンシング:特定地域(主に日本)のみを標的
  • ヘッダーフィルタリング:自動スキャナーをブロック
  • ブラウザフィンガープリンティング:被害者のシステムを詳細に分析

攻撃前に被害者のIPアドレス位置、OS、言語設定、ブラウザ種類・バージョン、デバイスタイプ、画面サイズなどを確認する。

最近の動向

日本の金融庁は最近、金融機関を標的としたフィッシング活動の増加について警告を発表した。ただし、Proofpointはこれらの活動とCoGUIとの直接的な関連性は確認できていないとしている。

Proofpointによれば、CoGUIは中国語を話す脅威アクターによって使用されており、複数の攻撃グループが関与している可能性が高い。また、「Darcula」として知られる別のフィッシングキットと技術的な類似点はあるものの、両者は無関係であると結論づけている。

References:
 - innovaTopia - (イノベトピア)‘CoGUI’ Phishing Kit Helps Chinese Hackers Target Japan

【編集部解説】

CoGUIフィッシングキットの出現は、サイバー攻撃の地域特化型進化を示す重要な事例です。検索結果から確認できる通り、このフィッシングキットは2024年10月から活動を開始し、2025年1月にピークを迎え、実に1億7,200万件ものフィッシングメールが確認されています。

特筆すべきは、CoGUIが日本という特定の国に焦点を絞った攻撃を展開している点です。これはサイバー犯罪がグローバルからローカルへと精緻化している傾向を表しています。日本語話者や日本と関連のある組織を標的とするこの手法は、文化的・言語的な障壁を超えて攻撃を仕掛ける能力を持つ攻撃者の存在を示唆しています。

技術的には、CoGUIは単なるフィッシングツールではなく、高度な検知回避機能を備えた洗練されたプラットフォームです。ジオフェンシング、ヘッダーフィルタリング、ブラウザフィンガープリンティングといった技術を駆使し、セキュリティ対策をすり抜けながら標的を絞り込む能力を持っています。

注目すべきは、CoGUIが二要素認証(MFA)の回避機能を持たない点です。これは現代の高度なフィッシングキットとしては珍しい特徴で、攻撃者が量より質を重視している可能性を示唆しています。

金融面での影響も懸念されます。日本の金融庁が警告したように、最近フィッシング攻撃による金融被害が増加しています。ただし、Proofpointはこれらの活動とCoGUIとの直接的な関連性は確認できていないとしています。具体的な被害額は公表されていませんが、潜在的な影響は大きいと考えられます。

この事例は、サイバーセキュリティが国家間の緊張関係と無関係ではないことも示唆しています。地域を特定した攻撃は、単なる犯罪行為を超えて、より複雑な背景を持つ可能性があります。

企業や個人にとっての教訓は明確です。ブランドの信頼性を悪用するこれらの攻撃に対しては、メールのリンクを安易にクリックせず、公式サイトに直接アクセスする習慣が重要です。また、多要素認証の導入も効果的な対策となります。

CoGUIの出現は、サイバー攻撃が地域や文化に適応して進化し続けていることを示す警鐘です。グローバルなセキュリティ対策と同時に、地域特有の脅威に対応できる柔軟な防御戦略の必要性が高まっています。

【用語解説】

フィッシングキット(Phishing Kit):
サイバー犯罪者が偽のウェブサイトを簡単に作成するためのツールセット。本物のウェブサイトに似せたページを作り、ユーザーの個人情報を盗む。

ジオフェンシング(Geofencing):
地理的な境界線を設定し、その範囲内の端末だけにコンテンツを表示する技術。CoGUIでは主に日本のIPアドレスだけを標的にしている。

フィンガープリンティング(Fingerprinting):
ブラウザやデバイスの特徴を収集して識別する技術。CoGUIではユーザーのOS、ブラウザ、画面サイズなどを分析し、セキュリティツールを回避する。

クライムウェア・アズ・ア・サービス(CaaS):
犯罪ツールをサービスとして提供するビジネスモデル。技術的知識がなくても犯罪行為が可能になる。

多要素認証(MFA):
パスワードに加えて別の認証方法(SMSコードなど)を組み合わせるセキュリティ対策。CoGUIはMFA回避機能を持たないが、それでも大量の攻撃を行っている。

【参考リンク】

Proofpoint(外部)
企業や個人をサイバー攻撃から守るセキュリティソリューションを提供している。

PayPay(外部)
スマートフォンで簡単に支払いができるQRコード決済アプリ。登録ユーザー数は6,800万人を超える。

【参考動画】

【編集部後記】

皆さん、普段何気なく受け取るメールの中に、巧妙に仕掛けられた罠が潜んでいるかもしれません。今回のCoGUIのような高度なフィッシングキットは、私たち日本人を特に狙い撃ちにしています。普段からどのようなセキュリティ対策を実践されていますか? メールのリンクを開く前に一呼吸置く習慣や、不審に感じたらURLを直接入力する方法など、皆さんの「デジタル防衛術」をSNSでぜひ共有してください。他の読者の方の知恵も、自分自身の防御に役立つかもしれませんね。

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TaTsu
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