株式会社博報堂は、2024年10月10日、OpenAIの共同創業者サム・アルトマン氏が関与する「Worldcoinプロジェクト」の主要企業Tools for Humanityと提携したことを発表した。
Worldcoinプロジェクトは、人間とAIを区別するデジタルID「World ID」を発行し、オンライン上の信頼性を向上させることを目的としている。World IDの取得には、Tools for Humanityが開発した虹彩認証装置「Orb」を使用する。
現在、世界で約600万人以上がWorld IDを認証している。博報堂は2023年12月からTools for Humanityと実証実験を行っており、今回の提携を通じてWorld IDの日本での普及拡大に取り組む。
博報堂は、AI時代における重要なツールとしてWorld IDの認知拡大を目指し、人間とAIが共存できる社会の実現に向けて取り組んでいく。
from:博報堂、サム・アルトマン氏が共同創業者兼会長を務める Worldcoinプロジェクトの主要企業であるTools for Humanityと提携
【編集部解説】
このニュースの背景には、AIの急速な発展に伴う人間とAIの区別の困難さという大きな課題があります。Worldcoinプロジェクトは、この課題に対する一つの解決策として注目を集めています。
World IDは、虹彩認証技術を用いて個人を特定し、デジタル上で「人間である」ことを証明するシステムです。これにより、オンライン上での信頼性が向上し、AIによる不正利用を防ぐことができるようになります。
しかし、この技術には大きな可能性と同時に、重要な課題も存在します。プライバシーの保護や個人情報の管理について、慎重な検討が必要です。実際に、スペインや韓国などの国々では、個人情報保護の観点から調査や停止命令が出されています。
博報堂がこのプロジェクトに参画することで、日本での普及が加速する可能性があります。これは、AIと人間が共存する社会の実現に向けた重要な一歩となるかもしれません。
一方で、このシステムが広く普及した場合、「人間証明」が必要な場面が増える可能性もあります。これは、デジタル社会における新たな「身分証明」の形となり、私たちの日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
また、World IDの普及は、暗号資産であるWLDの価値にも影響を与えています。2024年2月には、OpenAIの新技術Soraの発表をきっかけに、WLDの価格が上昇しました。このように、AIの発展とWorldcoinプロジェクトは密接に関連しています。
長期的な視点では、このプロジェクトはAIと人間の共存という大きなテーマに一石を投じるものです。しかし、技術の発展と個人の権利保護のバランスをどう取るか、社会全体で議論を重ねていく必要があるでしょう。
innovaTopiaの読者の皆さんは、このニュースをきっかけに、AIと人間の関係性について、そして自身のデジタルアイデンティティについて、改めて考えてみてはいかがでしょうか。