Intel Core Ultra 200S:AIパワーとエネルギー効率を両立する次世代デスクトップCPU

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Last Updated on 2024-10-11 07:59 by admin

インテル、デスクトップPC向け最新CPU「Core Ultra 200S」シリーズを発表

インテルは2024年10月10日、デスクトップPC向けの最新CPU「Core Ultra 200S」シリーズを発表した。10月24日から販売開始予定で、5モデルがラインナップされる。

主な特徴は以下の通り:

  1. 最上位モデル「Core Ultra 9 285K」は24コア/24スレッド、最大5.7GHzのブースト周波数を持つ。
  2. 消費電力が大幅に削減され、前世代比で日常的なタスクで最大58%、ゲーミング時で最大165Wの電力削減を実現。
  3. マルチスレッド性能は前世代比で最大14%向上。
  4. デスクトップ向けCPUとして初めてNPU(Neural Processing Unit)を搭載し、AI処理を高速化。
  5. 新しいLGA1851ソケットとIntel Z890チップセットに対応。
  6. DDR5-6400メモリをサポートし、最大192GBまで搭載可能。

価格は最上位の「Core Ultra 9 285K」が589ドル(約88,000円)から、最下位の「Core Ultra 5 245KF」が294ドル(約44,000円)からとなっている。

この新シリーズは、AIワークロードの処理能力向上と消費電力の大幅な削減を両立させ、デスクトップPCにおけるAI時代の幕開けを告げる製品となっている。

from:Intel Core Ultra 200S desktop processor debuts for AI PCs for enthusiasts

【編集部解説】

インテルが発表した新しいデスクトップCPU「Core Ultra 200S」シリーズは、従来のインテルCPUとは大きく異なるアプローチを取っています。これまでのインテルCPUは、性能向上のために消費電力を増やす傾向にありましたが、今回のシリーズでは省電力性に重点を置いています。

この変更は、AMDのRyzenプロセッサーとの競争を意識したものと考えられます。Ryzenプロセッサーは、高性能と低消費電力を両立させることで市場で高い評価を得ていました。インテルは、この新シリーズでAMDに追いつこうとしているのです。

Core Ultra 200Sシリーズの特筆すべき点は、デスクトップCPUとしては初めてNPU(Neural Processing Unit)を搭載したことです。これにより、AI処理を高速化し、電力効率を向上させることができます。ただし、搭載されたNPUの性能は13 TOPSと、MicrosoftのCopilot Plus機能に必要な40 TOPSには及びません。

この選択について、インテルのロバート・ハロック氏は「40 TOPSのNPUを搭載することは技術的に可能でしたが、そうするとCPUコア数やGPUコア数を減らす必要があり、エンスージアスト向け製品として適切なバランスではないと判断しました」と説明しています。

この新シリーズは、デスクトップPCにおけるAI時代の幕開けを告げるものと言えるでしょう。しかし、AIワークロードの処理能力向上と引き換えに、純粋なCPU性能では前世代からの大幅な向上は見られません。

これは、デスクトップPCユーザーの需要が変化していることを示唆しています。従来のような単純な処理速度の向上だけでなく、AI処理能力や省電力性など、より多様な要素が求められるようになってきているのです。

一方で、ハイエンドゲーミングやプロフェッショナルな用途では、依然として純粋な処理性能が重視される場面も多いでしょう。そのため、Core Ultra 200Sシリーズが全てのユーザーのニーズを満たせるわけではありません。

今後、デスクトップCPU市場はより細分化され、用途に応じた製品が登場する可能性があります。AIに特化したモデルや、従来通りの高性能モデルなど、ユーザーの選択肢が増えることが予想されます。

インテルのこの戦略転換は、PC業界全体に大きな影響を与えるでしょう。他のCPUメーカーも同様のアプローチを取る可能性があり、デスクトップPCの設計思想そのものが変わっていく可能性があります。

私たちユーザーは、これらの変化に注目しつつ、自分のニーズに合った製品を選択していく必要があります。Core Ultra 200Sシリーズは、その選択肢の一つとして、デスクトップPCの新たな可能性を示すものと言えるでしょう。

【用語解説】

  1. NPU (Neural Processing Unit):
    AI処理に特化したプロセッサーです。人間の脳の神経細胞をモデルにした計算を高速で行います。通常のCPUがさまざまな計算を行う汎用的な頭脳だとすれば、NPUはAI専門の頭脳のようなものです。
  2. TOPS (Tera Operations Per Second):
    1秒間に実行できる演算回数を表す単位で、1 TOPSは1秒間に1兆回の演算を行えることを意味します。スマートフォンの性能を表す際によく使われます。
  3. LGA1851ソケット:
    CPUをマザーボードに取り付けるための接続部分です。新しい世代のCPUには新しいソケットが必要になることがあります。

【参考リンク】

  1. Intel公式サイト(外部)
    インテル製品の情報や技術資料を提供する公式サイトです。最新のCPU情報も掲載されています。

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