Last Updated on 2024-10-07 12:45 by admin
Google、Microsoft、Amazonなどの大手テクノロジー企業が、データセンターの電力源として原子力発電の採用を検討している。これらの企業は、クリーンエネルギーへの移行を進める中で、原子力発電を選択肢の一つとして考えている。
2024年10月5日、The Vergeの報道によると、GoogleとMicrosoftは小型モジュール炉(SMR)の開発企業と提携を結んでいる。Googleは2023年12月にX-energy社と提携し、MicrosoftはTerraPower社と協力関係にある。
Amazonは2023年9月、原子力発電所からの電力購入に関心を示している。同社は、2025年までに事業運営の100%を再生可能エネルギーで賄うことを目指している。
これらの動きは、データセンターの電力需要が急増していることが背景にある。米国エネルギー情報局(EIA)によると、2022年時点でデータセンターは米国の電力消費量の約2.5%を占めており、2030年までに5%に達する可能性がある。
原子力発電は、二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギー源として注目されているが、放射性廃棄物の処理や安全性の問題など、課題も存在する。
from Big Tech has cozied up to nuclear energy
【編集部解説】
テクノロジー業界大手が原子力発電に注目し始めた背景には、AIの急速な発展に伴う電力需要の増加と環境目標達成の必要性があります。
この動きは業界全体の傾向を反映しており、今後も続くと予想されます。原子力発電は24時間365日安定した電力供給が可能で、運用時の二酸化炭素排出量が極めて少ないという利点があります。
これは常時稼働が必要なデータセンターにとって魅力的です。また、再生可能エネルギーの変動性を補完する役割も期待されています。
しかし、建設コストの高さ、長期の建設期間、安全性への懸念、放射性廃棄物の処理問題など、課題も存在します。特に、過去の事故を考慮すると、慎重な対応が求められます。この動きはエネルギー業界にも大きな影響を与える可能性があります。
また、データセンターの電力消費量増加は、社会全体のエネルギー消費構造にも影響を与えるでしょう。テクノロジー企業による原子力発電の採用は、エネルギー政策、環境政策、技術革新が交差する重要なトピックです。今後の展開を注視し、多角的な視点から議論を深めていく必要があります。
【参考情報】
用語解説:
1. 小型モジュール炉(SMR):従来の原子炉より小型で、工場で製造可能な原子炉。大きな発電所ではなく、必要な場所に必要なサイズの原子炉を設置できる概念です。