Last Updated on 2025-05-24 07:10 by admin
メイヨークリニックの研究により、腕立て伏せが全体的な身体的健康状態を測る有効な指標であることが明らかになった。この研究は2025年5月22日にDaily Galaxyで報告された。
年齢別腕立て伏せ目標回数
25歳:男性28回、女性20回
35歳:男性21回、女性19回
45歳:男性16回、女性14回
55歳:男性12回、女性10回
65歳:男女共に10回
メイヨークリニックの専門家によると、腕立て伏せは単なる上半身運動ではなく、腕、胸、体幹、脚を同時に使用する包括的な運動である。この運動により筋力、協調性、安定性、筋持久力を総合的に評価できる。
ハーバード大学が平均年齢40歳の健康な消防士1,104人を対象に行った研究では、1分以内に腕立て伏せを40回以上できる人は、10回以下しかできない人より、10年後に心血管疾患にかかる危険性が96%低いことが判明した。
しかし、ニューヨーク・ポストやドクティシモで活躍するフィットネスコーチのナタリヤ・アレクセイエンコ(Natalya Alexeyenko)は、長年の指導経験からこのメイヨークリニックの基準について異なる見解を示した。週数回程度の軽い運動しか行わない人にとって、この基準は高すぎる可能性があるとし、以下の調整を推奨している。
女性:目標回数から3〜5回減らす
高いトレーニングレベルの男性:目標回数に5〜10回加える
研究者らは、目標回数を下回ることが必ずしも健康状態の悪化を意味するものではなく、フィットネス向上の機会を示すものであると強調している。
References:
10, 30, 50… How Many Push-Ups Should You Be Able to Do at Your Age?
【編集部解説】
メイヨークリニックが示した年齢別基準の詳細について、元となる記事では中間年齢の詳細が省略されていましたが、25歳(男性28回/女性20回)、35歳(男性21回/女性19回)、45歳(男性16回/女性14回)、55歳(男性12回/女性10回)、65歳(男女共に10回)のように、実際には10歳刻みで細かな指標が設定されています。
ハーバード大学が平均年齢40歳の健康な消防士1,104人を対象に行った10年間の追跡調査では、1分以内に40回以上の腕立て伏せができる男性は、10回未満の男性と比較して心血管疾患リスクが96%低下することが実証されました。この研究は腕立て伏せ能力が単なる筋力測定を超えて、心血管系の健康状態を予測する重要な指標となることを示しています。
この発見は、デジタルヘルス分野における新たな可能性を示唆しています。従来の心血管疾患リスク評価には高価な医療機器が必要でしたが、腕立て伏せという簡単な運動で同等以上の予測精度が得られることが判明しました。ウェアラブルデバイスやスマートフォンアプリを活用した自動測定システムの開発が期待されます。
メイヨークリニックは運動生理学分野でも多くの研究成果を上げており、同機関のネイサン・K・ルブラスール所長は「1日の3%(約30分)を運動に費やすことで長く健康的な生活を送ることができる」と提唱しています。今回の腕立て伏せ研究も、この包括的な健康維持アプローチの一環として位置づけられます。
フィットネスコーチのアレクセイエンコが指摘するように、画一的な基準では個人差を適切に評価できません。将来的には、AI技術を活用して個人の運動歴、体型、生活習慣を総合的に分析し、パーソナライズされた健康指標を提供するシステムの開発が重要となるでしょう。
医療現場での実用化には、標準化された測定プロトコルの確立が不可欠です。正しいフォームの定義、測定環境の統一、年齢・性別以外の補正因子の特定など、多くの技術的課題が残されています。これらの課題解決により、予防医学の新たなスタンダードとして確立される可能性があります。
【用語解説】
メイヨークリニック(Mayo Clinic):
ミネソタ州ロチェスター市を本拠地とするアメリカの非営利総合病院で、医療・研究・教育の分野で世界的に権威を持つ医療機関である。アリゾナ州、フロリダ州にもキャンパスを構え、US News & World Reportによる病院ランキングで全米1位の専門分野を最も多く持つ病院として評価されている。
心血管疾患(Cardiovascular Disease):
心臓と血管に関する病気の総称で、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などが含まれる。日本人の死因第2位を占める重要な疾患群である。
【参考リンク】
メイヨークリニック公式サイト(外部)
アメリカを代表する総合医療機関の公式サイト。医療情報、健康アドバイス、病院情報を提供している。
The Daily Galaxy(外部)
科学、宇宙、テクノロジーに関するニュースを配信するデジタルメディア。宇宙探査や科学的発見に焦点を当てた記事を掲載している。
ハーバード大学公衆衛生大学院(外部)
腕立て伏せと心血管疾患リスクに関する重要な研究を実施した機関。公衆衛生分野の世界的権威である。
【参考動画】
【編集部後記】
腕立て伏せという身近な運動が、これほど多くの健康情報を教えてくれるとは驚きですね。みなさんは普段、どのような方法で自分の健康状態をチェックしていますか?定期健診以外にも、こうした簡単な指標で日々の体調変化を把握できるかもしれません。もしよろしければ、実際に腕立て伏せに挑戦してみて、年齢別基準と比較してみてはいかがでしょうか。きっと新たな発見があると思います。