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天津大学と清華大学、世界初の双方向適応型BCI開発:脳とコンピューターの共進化を実現

天津大学と清華大学、世界初の双方向適応型BCI開発:脳とコンピューターの共進化を実現 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-02-25 11:59 by admin

中国の天津大学と清華大学の研究チームが、世界初の双方向適応型脳-コンピューターインターフェース(BCI)を開発した。この成果は2025年2月17日にNature Electronics誌で発表された。

新しいBCIシステムの特徴

効率が従来のデジタルBCIと比べて100倍以上向上
エネルギー消費が1,000分の1に削減
4自由度制御(上下、左右、前後、回転)を実現
10名の被験者による6時間の実験で、従来のBCIと比べて精度が約20%向上

研究チームは、メモリスタチップを使用して二重ループフレームワークを開発。このシステムは、機械学習ループと脳学習ループを組み合わせることで、脳とデバイスの相互学習を可能にした。

天津大学の徐敏鵬教授らは、この技術が将来的にポータブルやウェアラブルなBCIデバイスに統合され、消費者向けや医療用途に適用できる可能性があると述べている。

この研究は、中国が非侵襲的で適応型のBCI技術で大きな進歩を遂げていることを示している。

from:Chinese scientists make brain-computer co-evolution possible for the first time

【編集部解説】

今回のニュースは脳-コンピューターインターフェース(BCI)技術の大きな進歩を示すものです。中国の研究チームによる双方向適応型BCIの開発は、この分野に新たな可能性をもたらしました。

この技術の革新性は、脳とコンピューターが互いに学習し合う「共進化」という概念にあります。従来のBCIが脳の信号を一方的に解読するだけだったのに対し、新しいシステムは脳とデバイスの間で双方向の学習を可能にしています。これにより、長期使用時のパフォーマンス低下という従来の課題を克服し、より安定した制御を実現しています。

特筆すべきは、このシステムが従来のデジタルBCIと比較して効率を100倍以上向上させ、エネルギー消費を1,000分の1に削減したことです。これは、BCIの実用化に向けた大きな一歩と言えるでしょう。

また、4自由度制御を実現したことで、より複雑なタスクの遂行が可能になりました。これは、BCIの応用範囲を大きく広げる可能性を秘めています。例えば、重度の身体障害を持つ方々のコミュニケーション支援や、より直感的な義肢の操作などが考えられます。

一方で、この技術の発展には潜在的なリスクも存在します。脳とコンピューターの直接的な接続は、プライバシーやセキュリティの問題を引き起こす可能性があります。また、人間の思考や意思決定プロセスへの影響も懸念されます。

規制の面では、BCIの医療応用や個人情報保護に関する新たなガイドラインの策定が必要になるかもしれません。各国の規制当局は、技術の進歩に追いつくべく、柔軟かつ迅速な対応を求められるでしょう。

長期的な視点では、BCIは人間の能力拡張や、人工知能との新たな共生関係を生み出す可能性を秘めています。しかし、その実現には倫理的な議論や社会的合意形成が不可欠です。

最後に、この技術革新は中国で起こったものですが、BCIの研究開発は世界中で活発に行われています。各国の研究成果が相互に刺激し合い、さらなる進歩をもたらすことが期待されます。

私たちinnovaTopiaは、これからもBCI技術の発展を注視し、その可能性とリスクを公平に伝えていきます。皆様も、この技術が私たちの未来をどのように変えていくのか、一緒に考えていただければ幸いです。

【用語解説】

  • 脳-コンピューターインターフェース(BCI)
    脳の信号を直接コンピューターに伝える技術。人間の思考を機械に伝えるための「橋」のようなものです。
  • メモリスタチップ
    電気抵抗を記憶できる電子部品。人間の脳のニューロンの働きを模倣しています。
  • 非侵襲的 :
    生体を傷つけたり、身体に負担を与えたりせずに行う方法や技術のことを指します

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TaTsu
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