本体の横幅35cmに対し、通れる通路の最小幅は45cm。その差は公表値で10cmです。ソフトバンクロボティクスが販売を始めた配膳ロボット「Servi Q」は、ロボットに店を合わせるのではなく、ロボットが店に合わせることを目指しました。この発想は、通路の狭い店が多い日本の現場に何をもたらすのでしょうか。
ソフトバンクロボティクスは2026年9月28日、Bear Robotics, Inc.と共同開発した配膳ロボット「Servi Q」を日本国内で販売開始した。本体横幅は35cm、最小通過幅は45cmで、同社はこれを業界最小としている。バック走行にも対応し、360度LiDARで周囲を認識して狭い通路から退出できる。
サスペンション機構でトレイの揺れを抑え、トレイは1〜3段で各段最大10kg、合計最大30kgを積載できる。18.5インチのディスプレイにはメニューや広告を表示できる。同社は全世界での独占販売を掲げ、米国と韓国ではBear Roboticsが販売を担う。
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狭い店舗でも安定、止まらない。次世代配膳ロボット「Servi Q」販売開始
【編集部解説】
「Servi Q」の発表で目を引くのは、性能の数字よりも、開発の出発点にある考え方です。ソフトバンクロボティクスは、ロボットに合わせて店舗を変えるのではなく、ロボットが店舗環境に適応することを目指したと説明しています。
象徴的なのが通路幅です。本体の横幅は35cm、最小通過幅は45cmと公表されています。通過幅とは、ロボットが通り抜けられる通路の最小幅を指し、本体幅との差は公表値の上では10cmです。初代Serviは2021年の発売時に最短60cmと案内されており、公表値の上では15cm小さくなりました。ただし、Serviの案内は利用環境によって必要な通過幅が異なるとしており、両者の測定条件が同じかどうかは示されていません。なお「業界最小」は、発表資料によれば、Bear Robotics, Inc.が2026年9月時点で販売されている自律走行型配膳ロボットを対象に調べた結果に基づく表現です。実際の導入可否は、店舗の動線によっても変わります。
もう一つの柱が、同社が業界初とするバック走行です。狭い通路や袋小路では、前へ進めることに加え、方向転換せずに戻れることも運用上の利点です。Servi Qは360度LiDARで周囲を認識し、方向転換のスペースがない場所でも後退して退出できます。通路幅が100cm以上あれば、複数台が互いにすれ違うこともでき、向かい合った場合は一方が下がって道を譲る動きも取ります。
リリースが挙げる現場課題は、導入と日々の運用、双方の悩みに向き合っている点も見逃せません。通れない、方向転換するスペースがない、ドリンクが安定して運べない、車輪にゴミが絡む。2021年から配膳ロボットの導入を支援してきた経験が、ここに反映されていると読めます。サスペンションでトレイの揺れを抑え、ビールジョッキ6個を載せた状態でも緊急停止や段差の通過でこぼれにくいこと、ゴミを巻き込みにくい車輪構造に加えて、付着したゴミをマットで落とす「クリーニングモード」を備えたことは、日々の運用の手間に向き合った設計です。
表示面の使い方にも変化があります。18.5インチのディスプレイはメニューやキャンペーン、広告を映すサイネージとして使え、別の表情ディスプレイでは愛らしい表情やオリジナルフェイスを表現できます。公開されたビジュアルでは、クリスマスのメニューや鍋料理の販促を映した機体が並び、それぞれ異なる表情を見せています。運ぶ機能に加えて、店の世界観を伝える「顔」の役割も持たせる方向です。
販売体制にも特徴があります。ソフトバンクロボティクスは世界での独占的な販売を掲げ、グローバルネットワークを通じて各国で順次展開します。ただし、米国と韓国では、これまでServiシリーズを販売してきたBear Roboticsが引き続き販売を担います。Servi Qは、Bear Roboticsが2026年5月に米国の展示会「National Restaurant Association Show」で披露済みです。日本の店舗環境に適した機体を目指して共同開発されたServi Qを、両社が各国で展開していく形です。
価格や契約条件は現時点のリリースには示されておらず、導入を検討する店舗にとっては、料金や具体的な条件の案内が判断材料になります。とはいえ、これまでロボットの導入が難しかった環境に、選択肢が一つ増えたことは確かです。走行性能に加えて、現場への適応や店ごとの表現も製品を選ぶ視点として示したことが、Servi Qの特徴です。
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【編集部後記】
Servi Qの通路幅は、日本では45cm、米国では18インチと案内されています。表記は違っても、ほぼ同じ寸法です。
お店の通路は、もともと人が歩くことを前提に設計されているものです。そこに机や椅子の間を縫って走る機械が加わるとき、最初に問われるのは、性能よりも先に寸法なのかもしれません。幅をめぐる悩みは、国が違っても近いようです。
読者のお店では、いちばん狭い通路は何cmでしょうか。
【用語解説】
最小通過幅:ロボットが通り抜けられる通路の最小幅を指す。Servi Qでは、本体横幅35cmに対して45cmと公表されている。初代Serviの案内では、利用環境によって必要な幅が変わるとされている。
LiDAR:レーザー光で周囲の物体までの距離や形状を測るセンサー。Servi Qは360度の周囲認識に使い、後退して退出する際にも周囲を把握する。
サスペンション:車輪と車体の間で、路面からの衝撃や揺れを吸収する機構。Servi Qではトレイの揺れを抑え、ドリンクなどを安定して運ぶために使われる。
サイネージ:画面に文字や映像を表示して、広告や案内を伝える媒体。Servi Qの18.5インチのディスプレイは、メニューやキャンペーンの表示に使える。
【参考リンク】
ソフトバンクロボティクス(外部)
ソフトバンクグループのロボット企業。清掃・警備・配膳・調理・物流など、業務用ロボットの販売から導入支援までを手がけている。
配膳ロボット Servi Q 製品ページ(外部)
Servi Qの製品情報を掲載する、ソフトバンクロボティクスの公式ページ。プレスリリースが案内している製品ページで、特長を確認できる。
Bear Robotics(外部)
米国発の配膳ロボットメーカー。Servi Qをソフトバンクロボティクスと共同開発し、米国と韓国での販売も引き続き担っている。
Bear Robotics「Servi Q」発表ページ(外部)
2026年5月に米国の展示会でServi Qを披露した際の同社の発表。狭い通路向けの小型機と位置づけ、共同開発の経緯も紹介。
【参考記事】
「北海道生まれ 和食処とんでん」配膳・運搬ロボット「Servi(サービィ)」を順次導入 ~ 人とロボットの協働でお客さま満足度の向上を目指します ~(外部)
2021年2月のとんでん11店舗への導入を伝える。初代Serviの最短60cmの通過幅と最大30kgの積載量を紹介している。
料理を運んでくれるロボットが登場。配膳・運搬ロボット「Servi」をソフトバンクロボティクスが発表(外部)
2020年9月の新事業戦略発表会でのServi発表を伝える。約60cmの狭い通路を通り抜けられる初代の特長を紹介している。
Bear Robotics Introduces Servi Q: the Compact Service Robot That Goes Where Others Can’t(外部)
2026年5月、Bear Roboticsが米国の展示会でServi Qを披露。狭い通路向けの小型機として位置づけている。
Bear Robotics Brings Physical AI, Service Robots and Autonomous Cleaning to Restaurants and Hotels(外部)
2026年7月の記事。Servi Qの最小通路幅18インチ、後退走行、18.5インチのディスプレイなどを展示会の話題として紹介。
ソフトバンク、業界最小45cm幅を走れる配膳ロボ「Servi Q」 バック走行も可能に(外部)
Servi Qの日本での発売を伝える報道。通過幅45cm、バック走行、積載量など、ソフトバンクロボティクスの発表内容を整理している。


















