ソフトバンクロボティクス、AutoStore最新4種を国内発売|AIの中核は傘下企業

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ソフトバンクロボティクスが9月7日、AutoStoreの最新ソリューション4種を国内で発売しました。うち価格が公開されているのは1つだけです。そしてリリースには書かれていない事実がもう一つあります。AIピッキングの中核を作っているのは、ソフトバンク傘下の企業でした。

ソフトバンクロボティクスは2026年9月7日、高密度自動倉庫システム「AutoStore」の最新ソリューション「VersaAI」「CarouselAI」「AutoCase」「Pio」を国内で発売した。

VersaAIは注文準備やSKUの集約を行うワークステーション、CarouselAIはAIとロボットアームによるピースピッキング用ワークステーション、AutoCaseはケース単位の入出庫、Pioはサブスクリプション型のパッケージ自動倉庫である。同社は9月8日から11日の国際物流総合展2026に出展し、パレット搬送ロボット「TUSK ROBOTS T10」を日本初公開する。

ロボット160台、ビン6万5,000個、ポート28台で構成するSBフレームワークス川崎事業所の導入事例動画も公開した。

From: 文献リンクAutoStoreの最新4ソリューションを本日販売開始、「国際物流総合展2026」で紹介

【参考動画】

SBフレームワークス川崎事業所 AutoStore導入事例
2026年9月7日のリリースで公開が告知された動画。ロボット160台規模の現場で、入荷から出荷までの流れを見られる。

AIロボットピッキング「VersaAI / CarouselAI」
今回のリリースではなく、ソフトバンクロボティクスのVersaAI / CarouselAI製品ページに掲載されている紹介動画。

【編集部解説】

「最新4ソリューション」の中身

4つはいずれも、AutoStoreがノルウェー本社から発表済みの製品です。CarouselAIは2025年3月4日、AutoCaseは2025年10月22日、VersaAIは2026年3月19日。世界での登場時期は1年余りにわたって散らばっています。

それが日本では、同じ9月7日にまとめて販売開始として並びました。過去1年余り分のラインナップが一度に取り扱えるようになった、と読むほうが実態に近いはずです。

VersaAIは世界発表から約5か月半、CarouselAIは約18か月。ただし4製品は日本で同じ日に販売開始されているため、この差だけで日本への投入が速くなったとは言えません。それでも、最新世代の製品が半年足らずで国内の選択肢に入ったことは、記録しておく価値があります。

AIピッキングの中核は、ソフトバンク傘下の技術

VersaAIとCarouselAIについて、ソフトバンクロボティクスの製品ページはリリースより踏み込んだ説明をしています。両者は「BG Core」というAI基盤を共有し、CarouselAIはCarouselPortと、VersaAIはVersaPortと組み合わせた構成である、と。

BG Coreを開発したBerkshire Greyは、ソフトバンクグループの完全子会社です。AI・ビジョン・把持制御を連携させ、商品の認識から把持方法の判断・実行までを一体で制御する技術で、不定形や通気性のある商品に対応する吸着技術「SpectrumGripper」や、商品に合わせて吸盤サイズを自動交換する「Autoswap」を含みます。

Berkshire Greyの名は、川崎事業所の併用機器としてリリースにも登場します。そして製品ページを開くと、今回の新製品2つの中核にも、同じ会社の技術が入っていることがわかります。Berkshire Grey側の製品ページも、CarouselAIとVersaAIをCore搭載製品として掲げています。AutoStore本社も2025年3月の発表で、CarouselAIをBerkshire Greyと共同開発した製品だと説明しています。ノルウェー生まれの自動倉庫に、ソフトバンク傘下の米国企業が育てたAIピッキングが載り、それを日本で売るのがソフトバンクロボティクスという構図です。

2つの製品の関係は、上下ではなく横並びです。CarouselAIは出荷用トートや段ボールへのピースピッキングを担い、VersaAIはそれに加えてオーダー準備、Grid内バッファ、SKU/Binコンソリデーションまで守備範囲を広げます。同じAI基盤に、異なるポートと役割を与えた兄弟と捉えるのが正確です。

VersaAIが夜間や閑散時間に行うのは、複数のビンに分散した同一SKUを1つに集約し、空のビンを生む作業だと説明されています。設備を増やさずに、既存のグリッドの中身を詰め直して容量をつくる。VersaAIが示しているのは、「運ぶ」「拾う」だけでなく、人がいない時間に何を進めておくかまで自動化の対象になってきたことです。

「小さく始める」の実額

4つのうちPioは、製品ページで価格が公開されています。月額834,000円から。いずれも税別で、これに初期費用が別途かかり、最低契約期間は3年です。初期費用にはグリッドやビンのほか、工事費、輸送費、ITインフラなどが含まれます。

Pioはシステム専有面積45平方メートルのP100から、262平方メートルのP600まで4つの標準パッケージで構成されます。保管ビン数は最大1,346個から最大10,267個、処理能力は毎時最大360〜900オーダーライン。個別に設計するAutoStoreと違い、現場の条件に合わせて選ぶ形になります。

同社が9月11日に行うセミナーは「小さく始めて全体最適へ。ソフトバンクロボティクス流、物流現場のAI・ロボット活用」と題されています。その「小さく」に、具体的な価格水準が与えられたことになります。月額だけで投資判断ができるわけではありませんが、中小の3PLやEC事業者が自動倉庫を検討の入口に置くための数字は、これで示されました。

同じ技術が、両端に伸びている

もう一方の端が、同日に公開されたSBフレームワークス川崎事業所の事例です。ロボット160台、ビン6万5,000個、ワークステーション(ポート)28台。現在公表されている構成では、Pioの最大構成P600と並べてもビン数で6倍を超えます。

Berkshire Greyのピッキングロボット、BALYOの自動フォークリフトと組み合わせ、入荷から出荷までを通しで自動化した現場です。

45平方メートルの標準パッケージと、同社が国内最大級とする拠点が、同じグリッドとビンの技術で地続きになっている。Pioで始めて、規模や要件が変われば通常のAutoStoreへの切り替えも含めて対応する、というのが同社の説明です。自動倉庫が「導入するか、しないか」の二択ではなくなりつつあることの、わかりやすい表れです。

田の字パレットという、日本固有の事情

展示会で日本初公開となるTUSK ROBOTS T10(製品ページの表記はTUSK T10-SLAM)は、平置きの「田の字パレット」に対応した搬送ロボットです。

パレットの底面形状は、搬送ロボットの機種選定に実際に効きます。TUSKシリーズでも田の字パレットに対応するのはT10とFL10で、E10とE08は川の字パレットまでです。同じシリーズの中でも分かれる条件が、日本の現場では最初の関門になる。製品ページが「ついに田の字パレット対応モデルが登場」と書いているのは、そういう文脈です。

世界の製品を取り扱うことと、日本の床の上で動かせるようにすることは、別の仕事です。参加型デモや事例動画と並んで、この初公開が同じリリースに置かれているのは示唆的です。

45平方メートルから始まる自動倉庫

自動倉庫は長らく、大規模な物流センターのための設備でした。今回並んだ4つは、その入口をシステム専有面積45平方メートルまで下げる方向と、すでにある箱の中身をAIで賢くする方向の、両方へ伸びています。

9月8日から11日、東京ビッグサイト東2ホール、ブースE2-H26。来場者が指定した手荷物をピッキングロボットが認識して取り出すデモが用意されています。自分の鞄が機械に掴まれるところを見るのは、仕様表を読むよりも早い理解の近道かもしれません。

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【編集部後記】

製品ページの仕様表の末尾に、小さな注記が置かれていました。公開しているスループットはワークステーション全体の値で、製品ごとに算定条件も単位も異なるため、単純に比べられる数字ではない、と。

実際、VersaAIは400 unique picks/h、CarouselAIは650 units/h。大小より、単位が違うことのほうに情報があります。売り手が自ら「比べないでほしい」と書く箇所は、たいてい現場で最初に聞かれる質問と重なります。


【用語解説】

グリッド/ビン/ポート
AutoStoreの基本構成。ビンは商品を入れる専用コンテナ、グリッドはそれを積み上げるアルミ製の立体構造、ポート(ワークステーション)はロボットが運んだビンを人や機械が扱う作業口である。

ピースピッキング
箱やケース単位ではなく、商品を1個ずつ取り出す作業。形状も重さもばらつくため、自動化の難度が高い工程とされる。

SKU
在庫を管理する最小単位。同じ商品でも色やサイズが違えば別のSKUとして数える。

SKU/Binコンソリデーション
複数のビンに分散して保管されている同一SKUを、1つのビンへ集約する作業。ビンの充填率が上がり、空きビンが生まれる。

Grid内バッファ
準備したビンや出荷可能なオーダーを、グリッドの中に一時的に置いておく仕組み。後工程の進み具合に合わせて出すことで、ピーク時の負荷を平準化する。

オーダーライン
注文を構成する明細行。1件の注文に3種類の商品が含まれれば3オーダーラインと数える。

システム専有面積
設備そのものが占める面積。作業スペースや周辺設備を含む実際の必要面積とは異なる。

田の字パレット/川の字パレット
底面の桟の並びによるパレットの区分。日本の物流現場では田の字型が広く使われており、搬送ロボットの機種選定を左右する条件になる。

BG Core
AI、ビジョン、把持制御を連携させ、商品の認識から把持方法の判断・実行までを一体で制御するロボットピッキング技術。

SpectrumGripper/Autoswap
BG Coreを構成する要素技術。前者は吸着と真空により不定形や通気性のある商品を扱う機構、後者は商品に合わせて吸盤サイズを自動で交換する機能である。

CarouselPort/VersaPort
AutoStoreのポートの種類。CarouselAIは前者、VersaAIは後者とBG Coreを組み合わせた構成になる。

3PL
荷主から物流業務をまとめて請け負う事業者。Third Party Logisticsの略。

【参考リンク】

ソフトバンクロボティクス株式会社(外部)
ロボットの導入と運用を手がける事業会社。清掃、配膳、物流など領域別に製品を扱う。

AIロボットピッキング「VersaAI / CarouselAI」(外部)
VersaAIとCarouselAIの構成、BG Coreの技術、両製品の仕様比較表を掲載する公式ページ。

パッケージ型サブスクリプションモデル「Pio」(外部)
Pioの4パッケージの仕様、月額と初期費用の考え方、導入手順とFAQをまとめた公式ページ。

TUSKROBOTS(外部)
パレット搬送AMR「TUSK」の製品一覧。機種別の対応パレットと基本スペックを掲載する。

自動フォークリフト BALYO(外部)
ソフトバンクロボティクスが扱う自動フォークリフトBALYOの製品ページ。

AutoStore(外部)
AutoStore本社の公式サイト。グリッド、ビン、ロボットなど基本構成と最新製品を解説する。

Core Robotic Picking System|Berkshire Grey(外部)
Berkshire GreyのCoreの製品ページ。CarouselAIとVersaAIをCore搭載製品として掲げる。

第17回 国際物流総合展 2026(外部)
2026年9月8日から11日まで東京ビッグサイトで開かれる物流専門展の公式サイト。事前登録制。

【参考記事】

AutoStore Launches CubeVerse™ Platform and AutoStore Intelligence™ with New Fulfillment Innovations(外部)
AutoStoreがVersaAIを含むSpring 2026製品群を発表した公式リリース。2026年3月19日付。

AutoStore Introduces Fall 2025 Product Portfolio(外部)
AutoCaseを中心とするFall 2025製品群の公式リリース。2025年10月22日付の発表。

AutoStore unveils new AI-powered robotics(外部)
CarouselAIを初公開したSpring 2025の公式リリース。2025年3月4日付、提供は同年夏から。

ソフトバンクロボティクス、「AutoStore」最新ソリューション4製品を出展…国際物流総合展2026(外部)
今回の4製品と展示会出展を報じた記事。製品名のカタカナ表記を併記して紹介している。

【参加者募集】サブスク&パッケージ型自動倉庫「Pio」、先行案内セミナーを開催(外部)
Pioの国内先行案内セミナーの告知。AutoStore日本法人との共催で2025年12月に開催。

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山本 達也 代表社員
合同会社デジタルの窓口 代表。ウェブ解析士。生成AI・サイバーセキュリティ・ 宇宙開発領域を中心に執筆。

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