Last Updated on 2024-06-25 14:18 by admin
東京大学とAlternative Machineの研究者たちは、自然言語の命令をロボットの行動に直接マッピングできる人型ロボットシステムを開発した。このロボットはAlter3と名付けられ、GPT-4などの大規模言語モデル(LLM)に含まれる広範な知識を活用して、自撮りをするや幽霊のふりをするなどの複雑なタスクを実行できるように設計されている。これは、基礎モデルとロボティクスシステムを組み合わせた研究の最新例である。
Alter3はGPT-4をバックエンドモデルとして使用し、自然言語で記述された行動や状況に対する指示を受け取る。LLMは「代理フレームワーク」を使用して、目標を達成するためにロボットが取るべき一連の行動を計画する。最初に、モデルは望ましい行動を実行するために必要な手順を決定する計画者として機能する。次に、行動計画はコーディングエージェントに渡され、ロボットが各ステップを実行するために必要なコマンドを生成する。GPT-4はAlter3のプログラミングコマンドにはトレーニングされていないため、研究者はそのインコンテキスト学習能力を利用してロボットのAPIにその振る舞いを適応させる。
言語は物理的なポーズを記述するための最も詳細な媒体ではないため、モデルによって生成された行動シーケンスがロボットで望ましい振る舞いを正確に生み出さない可能性がある。修正をサポートするために、研究者は「もう少し腕を上げて」といったフィードバックを提供できる機能を追加した。これらの指示は別のGPT-4エージェントに送られ、コードを理解し、必要な修正を行い、行動シーケンスをロボットに返す。
Alter3は、自撮りやお茶を飲むなどの日常的な行動や、幽霊や蛇のふりをするなどの模倣動作に加え、行動の複雑な計画を要求するシナリオに対するモデルの能力をテストした。GPT-4の広範な知識は、Alter3のような人型ロボットにより現実的な行動計画を作成することを可能にする。研究者の実験により、恥ずかしさや喜びなどの感情もロボットで模倣できることが示された。
【編集部追記】
Alternative Machine オフィシャルサイト
これは5カ月前のyoutubeです。本日現在、これより新しい動画はアップされていません。
さらに進化したAlter3の挙動を見たいですね。
【ニュース解説】
東京大学とAlternative Machineの研究者たちが開発したAlter3は、GPT-4という大規模言語モデルを活用した人型ロボットです。このロボットは、自然言語で与えられた命令を理解し、それに基づいて様々な行動を実行する能力を持っています。例えば、自撮りをする、幽霊のふりをするなど、複雑なタスクをこなすことが可能です。
この技術の核心は、GPT-4が提供する「代理フレームワーク」にあります。これは、ロボットが目標を達成するために必要な一連の行動を計画するためのものです。自然言語での指示を受けた後、GPT-4はその指示に基づいて行動計画を立て、それをロボットが実行できるプログラミングコマンドに変換します。このプロセスには、GPT-4のインコンテキスト学習能力が活用され、ロボットのAPIに適応させることが可能になります。
しかし、言語による指示は常に明確であるとは限らず、ロボットが期待される振る舞いを正確に実行することが難しい場合があります。この問題を解決するために、研究者たちは人間からのフィードバックを取り入れる機能を追加しました。これにより、行動計画の微調整が可能となり、ロボットのパフォーマンスが向上します。
この技術の応用範囲は広く、日常生活のサポートから、感情を模倣することによる社会的な相互作用まで、多岐にわたります。また、GPT-4の広範な知識を活用することで、ロボットにより人間らしい行動や感情表現を実現することが可能になります。
しかし、この技術にはいくつかの課題も存在します。例えば、自然言語の指示があいまいである場合や、ロボットが物理的な制約により特定の行動を実行できない場合などです。また、人間とロボットの相互作用において、倫理的な問題やプライバシーの懸念も考慮する必要があります。
長期的には、このような人型ロボットの開発と応用は、ロボティクスや人工知能の分野における研究を大きく前進させる可能性を秘めています。また、人間の生活を支援し、豊かにするための新たな道を開くことが期待されています。しかし、その実現には、技術的な進歩だけでなく、社会的な受容や倫理的な基準の確立も必要とされます。