スマートフォンメーカーが自社SoCを開発する意味は、ベンチマークの数字だけでは見えてきません。Xiaomiは新型SoC「XRING O3」を発表し、その搭載第1弾として折りたたみスマートフォン「Xiaomi 18 Fold」を9月に中国で投入します。ハードとSoCを同時に設計することで、実機ではどこまで性能を引き出せるのでしょうか。
Xiaomiは2026年8月24日、3nmプロセスのモバイルSoC「XRING O3」を発表した。AnTuTuでは522万点を記録したとしており、10コアCPUと16コアのG2-Ultra NX GPU、LPDDR6を採用する。
メモリ帯域幅は最大113.8GB/s、AI処理では200 TOPSのテンソル演算性能と3.13 TFLOPSのベクトル演算性能を掲げる。Xiaomiは同時に、XRING O3を初搭載する折りたたみスマートフォン「Xiaomi 18 Fold」を2026年9月に中国で発売すると明らかにした。Xiaomi Pad 9 Pro Maxにも同SoCを搭載する予定だ。
Xiaomi 18 FoldはXiaomi 18シリーズの最上位モデルに位置付けられ、中国ではすでに予約受付も始まっている。現時点でグローバル展開や日本発売については明らかになっていない。
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Xiaomi Xring O3 Breaks 5 Million AnTuTu Points as New Flagship Chip Launches
【編集部解説】
XRING O3で最も目を引くのは、Xiaomiのラボにおける低温環境でAnTuTu 5,228,014点を記録したという発表です。Xiaomiは、500万点を突破した初のフラッグシップSoCとしています。
ただし、この数字だけでXiaomi 18 Foldが既存のフラッグシップスマートフォンより高速だと判断することはできません。AnTuTuはCPU、GPU、メモリなど複数の処理性能をまとめて測定する総合ベンチマークですが、単一の結果だけでは、日常利用や長時間ゲーム時の持続性能まで網羅的には判断できないためです。
そこで重要になるのが、XRING O3が単なる技術デモではなく、9月発売のXiaomi 18 Foldへ実際に搭載されることです。Xiaomiは同製品をXiaomi 18シリーズの最上位フラッグシップとして位置付けています。
折りたたみスマートフォンは、薄い筐体の中に大型ディスプレイやバッテリー、ヒンジ機構などを収める必要があります。高性能SoCを搭載しても、発生した熱を十分に逃がせなければピーク性能を維持できません。
つまり、522万点という数字そのものよりも、Xiaomi 18 Foldという実機でその性能をどこまで維持できるかが、XRING O3を評価する最初の大きな材料になります。
XRING O3は3nmプロセスを採用し、10コアCPUを搭載します。Xiaomiによると、前世代のXRING O1と比べてCPU性能は60%向上しています。
GPUには16コア構成のG2-Ultra NXを採用。Xiaomiはピーク性能が85%向上し、同等性能時の消費電力を64%低減したとしています。モバイル端末では性能だけでなく消費電力も重要であり、GPUについては電力面でも大幅な改善が掲げられています。
さらに注目したいのがLPDDR6への対応です。XRING O3は最大113.8GB/sのメモリ帯域幅を備え、XRING O1から48%向上したとされています。
CPUやGPUそのものが高速でも、メモリから十分な速度でデータを供給できなければ性能を引き出せません。ゲームや画像処理、生成AIなど扱うデータ量が増えるなかで、CPU、GPU、メモリを一体として強化していることは、522万点という単独のスコア以上にXRING O3の特徴を示しています。
AI処理についてXiaomiは、XRING O3が200 TOPSのテンソル演算性能と3.13 TFLOPSのベクトル演算性能を備え、端末上のAI性能を45%向上させたと説明しています。
特徴的なのは、AI処理をNPUだけに集中させていないことです。
CPUにはSME2アクセラレーション、GPUには8基のニューラルネットワークアクセラレータを組み込み、ISPにはAIノイズリダクション、DPUにはAI超解像、ADSPにもAIエンジンを配置しています。SoCを構成する複数の処理ユニットへAI処理を広げる設計です。
ただし、200 TOPSという数字がそのままスマートフォン上のAI体験を示すわけではありません。利用するモデル、演算精度、メモリ帯域、ソフトウェア側の最適化によって処理速度や消費電力は変化します。
Xiaomi 18 FoldでどのようなオンデバイスAI機能が提供され、それらがXRING O3の各演算ユニットをどう利用するのか。ここは実機登場後に確認したい部分です。
Xiaomiは2021年から2024年まで中国市場でMIX Foldシリーズを展開してきましたが、今回は従来の「MIX Fold」ではなく「Xiaomi 18 Fold」の名称を採用し、Xiaomi 18シリーズの最上位モデルとして展開します。過去のMIX Foldシリーズは中国市場が中心で、Xiaomi 18 Foldについても現時点でグローバル展開は発表されていません。
端末自体の詳細な仕様はまだ限定的ですが、従来のMIX Foldとは異なる、横幅を意識した形状になる可能性も報じられています。8月に公開されたHyperOS 4の説明画像にも、従来モデルとはアスペクト比の異なるワイド型フォルダブルが描かれていました。
ただ、今回最も重要なのは筐体形状そのものではありません。
スマートフォンメーカーが自社でSoCを設計する利点の一つは、プロセッサ単体ではなく、端末側の冷却、電力制御、カメラ、AI処理、OSなどを含めて最適化できる余地が生まれることです。
XRING O3の評価で見るべきなのも、「AnTuTuで500万点を突破した」という一点ではありません。
Xiaomi 18 Foldという自社の最上位スマートフォンへ自社SoCを搭載し、ピーク性能、発熱、バッテリー消費、カメラ処理、AI機能までをどこまで一体として仕上げられるのか。9月の製品投入によって、XRING O3はベンチマーク上の数字から実際の製品評価へ移ることになります。
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【編集部後記】
XRING O3は、AnTuTu 522万点という数字だけでもかなりインパクトがあります。ただ、低温環境での測定という条件を考えると、むしろ気になるのは実機でどこまでこの性能を維持できるのかという部分です。
CPUやGPUだけでなく、LPDDR6やAI処理までまとめて強化しているのを見ると、Xiaomiがかなり本気で自社SoCを育てようとしているのが伝わってきます。前世代のXRING O1からどこまで完成度を上げてきたのか、実際の端末で試される段階に入ったのが一番面白いところです。
【用語解説】
SoC(System on a Chip)
CPU、GPU、AI処理ユニット、画像処理回路、メモリ制御など、端末に必要な主要機能を1つの半導体チップに統合したもの。スマートフォンでは性能だけでなく、消費電力や発熱にも大きく影響する。
AnTuTu
スマートフォンやタブレットの性能を測定する総合ベンチマーク。CPU、GPU、メモリ、ユーザー体験など複数項目をスコア化する。端末の処理性能を比較する目安になる一方、実際の長時間利用における性能や発熱をそのまま示すものではない。
LPDDR6
スマートフォンやモバイル機器向けの低消費電力DRAM規格。メモリ帯域の拡大により、GPU処理やAI推論など大量のデータを扱う処理でSoCへ高速にデータを供給できる。
TOPS(Tera Operations Per Second)
1秒間に何兆回の演算を処理できるかを表す指標。AIアクセラレータの演算性能を示す際に使われる。ただし、演算精度やモデル構造、メモリ帯域、ソフトウェア最適化が異なるため、TOPSだけで実際のAI処理速度を比較することはできない。
NPU(Neural Processing Unit)
ニューラルネットワークを用いたAI処理に特化した演算回路。画像認識、生成AI、音声処理などをCPUやGPUより効率的に実行する目的でスマートフォン向けSoCにも搭載されている。
【参考リンク】
Xiaomi Global(外部)
Xiaomiのグローバル公式サイト。スマートフォン、タブレット、ウェアラブル、スマートホーム製品など、同社の製品・サービス全体を確認できる。
Xiaomi Japan(外部)
Xiaomiの日本公式サイト。国内で正式販売されているスマートフォンやタブレットなどを確認できる。2026年8月25日時点では、Xiaomi 18 FoldおよびXRING O3搭載製品の日本向け展開は確認できない。
【参考記事】
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【参考記事】
小米玄戒O3处理器详细参数公布|IT之家(外部)
XRING O3のCPU・GPU・AI処理性能、AnTuTuスコア、LPDDR6対応など、Xiaomiの技術説明会で示された主要仕様を確認できる記事。
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XRING O3の発表内容と、Xiaomi 18 FoldおよびXiaomi Pad 9 Pro Maxへの搭載予定を確認できる記事。


















