インテルは2025年2月24日、次世代のデータセンター向けプロセッサー「Intel Xeon 6」を発表した。新プロセッサーは、パフォーマンスコア(P-コア)を搭載し、前世代と比較してAI処理性能が2倍に向上している。
無線アクセスネットワーク(RAN)の処理能力は2.4倍に向上し、AMDのEpycプロセッサーと比較して、3分の1少ないコア数で1.5倍のAI推論性能を実現した。また、5年前のサーバーと比較して5:1の統合が可能で、総所有コスト(TCO)を最大68%削減できる。
採用企業にはAT&T、Verizon、Cisco、Dell Technologies、Samsung、Ericsson、HPE、Lenovo、Microsoft、Vodafoneなどが名を連ね、500以上の設計採用が進行中だ。
from:Intel launches Xeon 6 processors with performance cores for 2X AI processing
【編集部解説】
インテルの新しいXeon 6プロセッサーは、現代のデータセンターが直面している3つの重要な課題に対応しています。AIワークロードの処理能力向上、消費電力効率の改善、そして総所有コストの削減です。
特に注目すべきは、AMX(Advanced Matrix Extensions)技術の進化です。従来のAVX-512と比較して16倍のMAC(Multiply Accumulate)演算を実現できるようになりました。これにより、生成AIや機械学習の処理が大幅に効率化されます。
市場への影響
IDCの予測によると、2027年までに企業のジェネレーティブAI支出は1,530億ドルに達する見込みです。この成長市場において、インテルは「世界最高のAI向けCPU」というポジショニングを明確に打ち出しています。
興味深いのは、AMDのEpycプロセッサーと比較して、3分の1少ないコア数で1.5倍のAI推論性能を実現している点です。これは単純なコア数の競争から、効率性重視への転換を示唆しています。
データセンターの未来
新製品は5年前のサーバーと比較して5:1の統合が可能で、特定用途では10:1まで達成できます。これは、データセンターの物理的なスペース効率と運用コストに大きな影響を与えるでしょう。
特筆すべきは、マルチソケットシステムへの継続的な対応です。AMDがシングルまたはデュアルソケット構成のみを提供する中、インテルは4ソケット以上の構成を維持しています。これは大規模なデータベース環境において重要な差別化要因となっています。
今後の展望
CXL(Compute Express Link)メモリ拡張デバイスの登場により、マルチソケットシステムの必要性は徐々に低下する可能性があります。しかし、インテルのシニアフェローであるRonak Singhal氏が指摘するように、大規模システムにおいては依然としてマルチソケット構成への需要が存在します。
価格設定も興味深く、8コアモデルの765ドルから86コアモデルの10,400ドルまで、幅広い選択肢を提供しています。これは、様々な規模の企業がAI処理能力を手に入れやすくなることを意味します。