電子廃棄物の危機: 年間1370億ポンドが生成、リサイクルはわずか25%に留まる

Last Updated on 2024-03-21 06:36 by 荒木 啓介

人類は年間1370億ポンドの電子廃棄物（E-waste）を生成しており、そのうちの4分の1しかリサイクルされていない。2022年には、生成されたE-wasteのうち680億ポンドが金属で構成されていた。E-wasteには危険物質が含まれており、不適切な処理により毎年12万5000ポンド以上の水銀が放出されている。E-wasteのリサイクル率が低く、2030年までには33%増加し、リサイクル率は20%に低下する可能性がある。

E-wasteから金属をリサイクルすることで、年間2兆ポンドの鉱石採掘を回避できる。リサイクルは複雑で高コストだが、金属のリサイクル量を増やすことで鉱山への依存度を減らし、環境への影響を軽減できる。

E-wasteの修理は廃棄物削減につながる重要な解決策である。バッテリー交換などの修理可能な部分を対象とし、製造業者による延長生産者責任（EPR）の制度導入が重要である。E-wasteの需要は増加しており、高品質な製品と修理の権利が必要である。

【ニュース解説】

人類は年間約1370億ポンドの電子廃棄物（E-waste）を生み出しており、この量は増加の一途をたどっています。この電子廃棄物には、テレビ、スマートフォン、冷蔵庫、洗濯機など、プラグやバッテリーを持つあらゆる電子機器が含まれます。しかし、この膨大な量のうちリサイクルされているのは4分の1にも満たないという現状があります。

この問題の背景には、経済の発展と消費主義の広がりがあります。特に高所得国では、一人当たりの電子機器の所有数が平均で109台にも上ります。これに対し、低所得国ではわずか4台です。このような状況の中、2022年には、リサイクルされずに廃棄される電子廃棄物から、鉄、銅、金など約620億ドル相当の資源が失われています。

電子廃棄物のリサイクルは、環境への影響を軽減するだけでなく、新たな鉱石の採掘を減らすことにもつながります。実際、リサイクルされた金属は、2022年だけで2兆ポンドの鉱石採掘を回避しています。しかし、電子廃棄物のリサイクルは複雑でコストがかかるため、現在のリサイクル率は低いままです。

さらに、電子廃棄物には水銀や鉛などの有害物質が含まれており、不適切な処理によってこれらが環境に放出されることがあります。特に低・中所得国では、適切な安全装備を持たない非公式のリサイクラーが有害物質を含む金属を抽出しようとすることがあり、これが人々の健康や環境に悪影響を及ぼしています。

この問題に対処するためには、製品の修理を容易にすることが重要です。例えば、バッテリーの交換が可能になれば、製品の寿命を延ばし、廃棄物を減らすことができます。また、製造業者による延長生産者責任（EPR）の制度を導入することで、電子廃棄物の適切な管理を促進することができます。

電子廃棄物の問題は、単にリサイクルを増やすだけでは解決できません。高品質な製品の提供と修理の権利の確保、そして安全で効率的なリサイクルシステムの構築が必要です。これにより、私たちは環境への負担を減らしつつ、電子機器による便利な生活を維持することができるでしょう。

from The World's E-Waste Has Reached a Crisis Point.