減塩食でも満足できる味を楽しみたい――そんな願いを叶える革新的なデバイスが、日本企業から誕生しました。キリンホールディングスの『エレキソルト スプーン』が、世界最大級の技術見本市CES 2025で2部門を受賞し、その先進性が国際的に認められました。
過去最多となる3,400件以上の応募の中からの選出で、キリングループとして初のCES Innovation Awards受賞となります。
- 受賞部門:デジタルヘルス部門、アクセシビリティ&エイジテック部門
- 応募総数:3,400件以上(過去最多)
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【編集部解説】
今回の受賞は、日本発の食品テクノロジーが世界的な評価を受けた重要な出来事です。特に、健康技術とアクセシビリティの両面での評価は、この技術が単なるガジェットではなく、社会課題の解決に貢献する可能性を示しています。
エレキソルトスプーンとは?
エレキソルト スプーンは、明治大学の宮下芳明教授との共同研究により開発された革新的な食器型デバイスです。スプーンの先端から微弱な電流を食品に流すことで、塩味やうま味を約1.5倍に増強させる効果があります。
この技術の仕組みは以下の通りです:
- 通常の食事では、塩味の元となるナトリウムイオンが口内で分散している状態です。
- エレキソルト スプーンは、微弱な電流により、これらのイオンを舌の方向に引き寄せ、より強い塩味として感じられるようにします。
- 4段階の強度調整が可能で、様々な料理に対応できます。
特筆すべき点として、この技術は2023年にイグ・ノーベル賞(栄養学賞)も受賞しており、さらに2024年には内閣府「日本オープンイノベーション大賞」で日本学術会議会長賞を受賞しています。
実際の活用例として、最近では博多ラーメンチェーン「一風堂」と協力し、塩分を30%削減した特別メニューの提供も開始しています。これは、「減塩しながらもおいしく食べたい」という消費者ニーズに応える具体的な取り組みの一つです。
キリンホールディングスは今後、スプーン以外の食器類への展開や、減塩食メニューの開発提案を進め、企業や自治体との連携を通じて活用シーンの拡大を目指しています。
革新的技術の国際的評価
エレキソルト スプーンの受賞は、日本発の食品テクノロジーが世界的な評価を得た重要な出来事です。特に、デジタルヘルスとアクセシビリティの両面で評価されたことは、この技術が単なるガジェットではなく、社会的課題の解決に貢献する可能性を示しています。
健康テクノロジーとしての可能性
この技術は、世界的な健康課題である塩分過多の問題に対する革新的なアプローチを提供します。従来の減塩製品とは異なり、電気味覚技術を用いることで、実際の塩分量を減らしながらも満足度の高い味わいを実現しています。
グローバル展開への期待
CESでの受賞と出展は、日本国内での展開にとどまらず、グローバル市場への展開を視野に入れた重要なステップとなります。特に高齢化が進む先進国市場において、健康的な食生活を支援する新しいソリューションとして注目されています。
今後の展望
キリンホールディングスは、スプーン以外の食器類への技術展開や、企業・自治体との連携による普及促進を計画しています。また、病院食や介護食への応用も期待されており、より広範な社会実装を目指しています。