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Google、検索・広告部門で自発的退職プログラム実施 – AI投資拡大でコスト削減加速、2万人規模のK&I部門も対象

Google、検索・広告部門で自発的退職プログラム実施 - AI投資拡大でコスト削減加速、2万人規模のK&I部門も対象 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-06-11 08:05 by admin

Googleは2025年6月10日火曜日、知識・情報部門(K&I)および中央エンジニアリング部門、マーケティング、研究、コミュニケーションチームの米国拠点従業員に対して自発的退職プログラム(VEP)を提供した。

K&I部門は検索、広告、コマース事業を統括し約20,000人の従業員を抱える。同部門は2024年10月にニック・フォックスが統括責任者に就任した再編成を実施している。

フォックスは同日のメモで、期待に応えていない従業員には退職プログラムの検討を、成果を上げている従業員には残留を求めた。

この措置は最高財務責任者アナト・アシュケナージが2024年10月に表明したコスト削減方針に基づく。Googleは2023年に12,000人を解雇して以降、段階的な人員削減を継続している。

2025年には既にプラットフォーム・デバイス部門と人事部門でも同様の退職プログラムを実施済みである。一部チームではオフィスから50マイル以内に住むリモートワーカーにハイブリッド勤務への移行も義務付けている。

From: 文献リンクGoogle offers buyouts to employees across the company, including Search

【編集部解説】

今回のGoogleによる自発的退職プログラム(VEP)は、単なる人員削減ではなく、AI時代への戦略的な組織再編の一環として理解する必要があります。この動きは2025年初頭から継続的に実施されており、6月10日の発表は最新の展開に過ぎません。

特に注目すべきは、対象となった知識・情報部門(K&I)がGoogleの収益の中核を担っている点です。同部門が統括する検索・広告事業は、Alphabet全体の売上の大部分を占める基幹事業です。この重要部門での人員調整は、Googleが従来のビジネスモデルから大きく舵を切ろうとしていることを示唆しています。

最高財務責任者アナト・アシュケナージが2024年10月に表明したコスト削減方針の背景には、AI インフラへの大規模投資があります。Googleは生成AI技術の開発とクラウドサービス拡張に巨額の投資を計画しており、これに伴う組織最適化が急務となっています。

統括責任者ニック・フォックスが送付したメモは、この変革期における明確なメッセージを示しています。「期待に応えている従業員には残留を、そうでない従業員には退職プログラムの検討を」という二分化された方針は、高パフォーマンス人材の確保とコスト効率化の両立を狙ったものです。

この組織再編には複数の側面があります。ポジティブな観点では、AI技術の急速な進歩により、従来の検索・広告業務の自動化が進み、より高度な技術開発に人材を集中できる可能性があります。実際、Googleは社内学習プラットフォームをAI活用スキル習得に特化させる方向に転換しています。

一方で、潜在的なリスクも存在します。検索・広告部門の人員削減は、Googleの競争優位性を支えてきた技術的専門知識の流出につながる可能性があります。また、米司法省による独占禁止法訴訟が継続中の状況下で、組織の結束力低下は法的対応にも影響を与えかねません。

長期的な視点では、この動きはテック業界全体のAI シフトを象徴しています。従来の検索技術者からAI専門家への人材転換が業界標準となる中、Googleは先手を打って組織を最適化しようとしているのです。ただし、この急激な変化が同社の企業文化や技術革新力にどのような影響を与えるかは、今後数年間の動向を注視する必要があります。

【用語解説】

知識・情報部門(K&I: Knowledge & Information)
Googleの検索、広告、コマース事業を統括する中核部門である。約20,000人の従業員を抱え、Alphabet全体の売上の大部分を占める重要な収益源となっている。

自発的退職プログラム(VEP: Voluntary Exit Program)
企業が従業員に対して退職金を支払って自主的な退職を促す制度である。強制的な解雇とは異なり、従業員が任意で参加できる仕組みで、通常は最低14週間分の給与保証などの条件が設定される。

ハイブリッド勤務
オフィス勤務とリモートワークを組み合わせた働き方である。Googleでは週3日以上のオフィス出勤を義務付ける方針を採用しており、オフィスから50マイル以内に住む従業員に適用される。

ニック・フォックス(Nick Fox)
2024年10月にGoogleの知識・情報部門(K&I)の統括責任者に就任したエグゼクティブ。AI統合の加速化とプロダクト品質向上を担当している。

アナト・アシュケナージ(Anat Ashkenazi)
2024年7月にGoogleの最高財務責任者(CFO)に就任。AI時代におけるコスト最適化戦略とAIインフラ投資計画を統括している。

【参考リンク】

Google Careers(外部)
Googleの採用情報と企業文化を紹介する公式サイト。働き方や福利厚生について詳細な情報を提供

Google AI(外部)
Googleの人工知能研究と製品開発に関する公式情報サイト。最新のAI技術動向や研究成果を紹介

Alphabet Investor Relations(外部)
Alphabet社の投資家向け情報サイト。財務報告書や決算説明会資料など企業の財務状況を確認可能

【参考動画】

【参考記事】

Alphabet stock pares gains on buyout offers to search and ads employees(外部)
退職プログラム発表を受けたAlphabet株価の反応を分析。ChatGPTとの競争激化の影響を解釈

Google offers buyouts to employees in its Search and ads unit – CNBC
Googleが知識・情報部門を含む複数部門で自発的退職プログラムを実施。米国拠点の従業員が対象で、2023年の12,000人解雇以降の継続的な人員削減策の一環である20

Google offers employee buyouts in Search and other orgs – The Verge
最低14週間分の給与を保証する退職プログラムの詳細と、9月までにオフィス復帰を義務付ける新方針について報告。7月1日が申込締切となっている19

【編集部後記】

今回のGoogleの大規模な組織再編は、SEOからLLMO(大規模言語モデル最適化)への歴史的な変異を象徴する出来事です。従来のキーワード中心の検索最適化から、AI が自然言語で対話し、ユーザーの真の意図を理解する時代への転換点に私たちは立っているのかもしれません。

皆さんの職場でも、従来のSEO戦略からAI対話型の情報提供へとシフトが始まっていませんか?この変化は単なる技術の進歩にとどまらず、情報の価値や流通の仕組み、さらには働き方や企業戦略にも根本的な影響を与えます。

innovaTopiaの読者の皆さんと一緒に、この新しい情報探索・活用の時代にどう適応し、どのような新たなスキルセットが必要になるのか、考えていきたいと思います。SNSでご意見をいただきたく。

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TaTsu
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