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AIアナリストが数分で投資分析完了 – 元モルガン・スタンレーCEOが語る「人間は不要にならない」理由

AlphaSense「Deep Research」発表、AIアナリストが数分で投資分析完了 - 元モルガン・スタンレーCEOが語る「人間は不要にならない」理由 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-06-11 07:44 by admin

AlphaSenseが2025年6月10日、新しいAIエージェント「Deep Research」をリリースした。

同社CEOのジャック・コッコ氏(元モルガン・スタンレーアナリスト、ウォートン・スクールMBA)は、CNBCの2025年ディスラプター50リストで8位にランクインした発表と同時にこのツールを公開した。

Deep Researchは5億以上のビジネス・金融文書にアクセスし、人間のアナリストが数日から数週間かかる作業を数分で完了する。

AlphaSenseは2011年設立で、ゴールドマン・サックス・グロース・アセット・マネジメントが創設時から投資している。

同社は2024年にTegusを約10億ドルで買収し、25万件のビジネスインタビューライブラリを獲得した。現在S&P 100の88%を含む5,000以上のクライアントを持ち、Amazon、Nvidia、Microsoft、Pfizer、JPMorganなどが利用している。

コッコ氏は、AIがアナリストの仕事を脅かすのではなく生産性を10倍向上させると主張している。

From: 文献リンクFormer Wall Street analyst building market AI on why stock pickers won’t go extinct

【編集部解説】

AlphaSenseの「Deep Research」は、単なるAIツールの域を超えた革新的なプロダクトです。同社が2025年6月10日にCNBCディスラプター50リストで8位にランクインしたタイミングでこのツールを発表したのは、戦略的なマーケティングの意図が見て取れます。

注目すべきは、このツールが5億以上の文書にアクセスできる点です。従来の金融分析では、アナリストが膨大な資料を手作業で精査する必要がありましたが、Deep Researchはこの作業を数分で完了します。これは単なる効率化ではなく、分析の質そのものを変革する可能性を秘めています。

技術的な観点から見ると、AlphaSenseが2024年にTegusを約10億ドルで買収した戦略が功を奏しています。25万件のビジネスインタビューという独自データベースは、他社が簡単に模倣できない競争優位性を構築しています。さらに、同社は2025年3月にCerebras Systemsとの戦略的パートナーシップを発表し、AI処理速度を10倍向上させる技術基盤を確立しました。

しかし、CEOのジャック・コッコ氏の「AIは人間を置き換えない」という主張には慎重な検討が必要でしょう。確かに生産性は向上しますが、エントリーレベルのアナリスト職への影響は避けられません。特に「複数ステップの調査タスクを自動化」する機能は、従来人間が行っていた業務の多くを代替する可能性があります。

規制面では、金融業界でのAI活用に関する議論が活発化する可能性があります。特に投資判断にAIが深く関与する場合、透明性や説明責任の確保が重要な課題となります。

長期的には、このような高度なAIツールの普及により、金融業界の構造変化が加速するでしょう。人間のアナリストには、AIでは代替できない創造的思考や戦略的判断がより強く求められるようになります。

【用語解説】

生成AI(Generative AI)
人工知能の一種で、テキスト、画像、音声などの新しいコンテンツを生成する技術。従来のAIが既存データを分析・分類するのに対し、生成AIは学習したパターンから新しいコンテンツを創造できる。

エージェント型AI(Agentic AI)
単一のタスクではなく、複数のステップを自律的に実行し、目標達成に向けて一連のワークフローを自動化するAI。人間の介入なしに計画立案から実行まで行う。

S&P 100
スタンダード・アンド・プアーズ社が算出するアメリカの代表的な株価指数の一つ。時価総額と流動性が高い100社で構成される。

プライベートエクイティ(PE)
未公開企業への投資や、公開企業を買収して非公開化する投資手法。長期的な企業価値向上を目指す。

ROI(Return on Investment)
投資収益率。投資に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標。

WSE-3(Wafer-Scale Engine)
Cerebras Systemsが開発した世界最大級のAIプロセッサ。従来のGPUと比較して10倍高速なAI処理を実現する。

【参考リンク】

AlphaSense公式サイト(外部)
AIを活用した市場インテリジェンスプラットフォーム。5億以上のビジネス・金融文書にアクセスし、企業の意思決定を支援する検索・分析ツールを提供している。

Tegus公式サイト(外部)
専門家インタビューと金融データを統合したプラットフォーム。投資調査プロセスの各段階で信頼できる専門家の視点と最高の金融データを提供する。

CNBC Disruptor 50(外部)
CNBCが毎年発表する、業界を破壊し重要なビジネス問題を解決する急成長中の革新的な非公開企業50社のリスト。

Cerebras Systems公式サイト(外部)AI専用スーパーコンピューターを開発する企業。世界最大のAIプロセッサWSE-3を製造し、AI推論処理の高速化を実現している。

【参考動画】

【参考記事】

AlphaSense Ranks in the Top 10 of the 2025 CNBC Disruptor 50 List(外部)
AlphaSenseが2025年CNBCディスラプター50リストで8位にランクインし、Deep Researchの正式発表を行ったプレスリリース。

AlphaSense and Cerebras Partner to Power the Future of AI-Driven Market Intelligence(外部)
AlphaSenseとCerebras Systemsの戦略的パートナーシップ発表。WSE-3プロセッサーによりAI処理速度を10倍向上。

AlphaSense CEO Jack Kokko on creating financial AI copilots(外部)
ソフトバンク・ビジョンファンドによるジャック・コッコCEOへのインタビュー記事。金融AIコパイロットの創造と市場インテリジェンスチームへの影響について詳述。

【編集部後記】

AlphaSenseのDeep Researchは、AIが金融分析の世界をどう変えていくかを示す興味深い事例ですね。特に注目すべきは、同社がCerebras Systemsとの提携により処理速度を10倍向上させた点です。

皆さんの業界でも、似たような「人間の専門知識とAIの組み合わせ」が起きているのではないでしょうか?CEOが主張する「AIは人を置き換えない」という楽観論について、実際のところ皆さんの職場ではどんな変化を感じていますか?

生産性向上の恩恵と将来への不安、両方を抱えている方も多いかもしれません。ぜひ体験談をお聞かせください。

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TaTsu
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