島津製作所「Aether clock OC 020」 – 世界初の小型化光格子時計が登場

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島津製作所は、2025年3月5日に世界初の小型化に成功したストロンチウム光格子時計「Aether clock OC 020」の受注を開始しました。この時計は、18桁精度に相当し、100億年に1秒の誤差を実現します。光格子時計は、現在のセシウム原子時計よりも100倍以上の精度を持ち、次世代の「秒」の定義の有力な候補です。装置体積は250リットルに小型化され、各国の標準機関や大学・研究所などで使用可能です。希望販売価格については、情報源により異なりますが、島津製作所の公式情報では5億円(税込)とされています。島津製作所は、国内外で3年間で10台の販売を目指しています。

from:世界初、小型化に成功した光格子時計を発売開始
次世代の時間計測技術の実用化へ

【編集部解説】

光格子時計の原理と精度
光格子時計は、原子を「光格子」と呼ばれる特別なレーザー光で作った格子状の空間に閉じ込め、その振動を測定することで時間を計測します。特に、ストロンチウム原子を使用することで、非常に高い精度を実現しています。例えば、通常のセシウム原子時計は3000万年に1秒の誤差ですが、光格子時計は100億年に1秒の誤差しか生じません。これは、時間計測の精度が桁違いに高くなっていることを示しています。

日本の独自性と強み
この技術は、日本の研究者が中心となって進められています。特に、東京大学の香取秀俊教授が光格子時計の原理を考案し、島津製作所と共同で開発を進めてきました。日本は、光格子時計の小型化や実用化において世界に先駆けており、これが日本の技術力の強みとして注目されています。

将来への影響と潜在的な用途
光格子時計は、地殻変動の観測や重力ポテンシャル測定など、多様な用途で活用可能です。例えば、火山の噴火を予測する際に、地盤の微妙な変動を検知することができます。また、将来的には、時間基準の再定義や測位技術の向上にも寄与する展望があります。

人類の変革への影響
光格子時計の技術は、科学研究や技術開発に大きな貢献を果たす可能性があります。例えば、地球科学や測位技術の分野で、より正確なデータを提供することで、自然災害の予測や防災技術の向上に役立つことが期待されています。また、通信や位置情報サービスの高度化にも寄与することができます。

将来への展望
光格子時計の技術が広く普及することで、時間基準の再定義や測位技術の向上など、社会基盤に大きな影響を与える可能性があります。将来的には、2030年に予定されている「秒」の再定義において重要な役割を果たすことが期待されています。

【用語解説】

光格子時計:
原子を「光格子」と呼ばれる特別なレーザー光で作った格子状の空間に閉じ込め、その振動を測定する高精度な時計。従来の原子時計よりも精度が高い。

ストロンチウム:
光格子時計で使用される元素の一つ。高精度な時間計測に適している。

セシウム原子時計:
現在の「秒」の定義基準として使用されている時計。光格子時計はこれよりも100倍以上の精度を持つ。

【参考リンク】

島津製作所公式サイト(外部)
光格子時計「Aether clock OC 020」の製造元

東京大学公式サイト(外部)
光格子時計の研究に携わる大学

科学技術振興機構 (JST)(外部)
光格子時計の研究を支援する組織

【参考動画】

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