innovaTopia

ーTech for Human Evolutionー

Windows 10 終了の危機をチャンスに変える「End of 10」キャンペーン – 4億台のPCを電子廃棄物から救う挑戦

Windows 10 終末の危機をチャンスに変える「End of 10」キャンペーン - 4億台のPCを電子廃棄物から救う挑戦 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-17 14:13 by admin

「End of 10」は、2025年10月14日にサポートが終了するWindows 10搭載PCを救済するためのキャンペーンです。KDEを含む複数のLinuxコミュニティが協力し、古いPCにLinuxをインストールすることで電子廃棄物の削減を目指しています。このキャンペーンは2025年5月28日に正式にローンチされる予定です。

キャンペーンのウェブサイトでは、世界70カ所以上のLinuxサポート拠点を紹介しており、特にドイツに集中しています。サイトのソースコードはKDEのGitLabでホストされています。

Microsoftは2025年10月14日以降、Windows 10の技術サポートやセキュリティ・信頼性の修正プログラムの提供を終了します。米国政府の分析によると、現在Windows 11のシェアは16.5%、Windows 10は15.5%となっていますが、多くのWindows 10搭載PCはWindows 11にアップグレードできません。調査会社Canalysによれば、約2億4000万台のPCがWindows 11の要件を満たしておらず、これらが廃棄された場合、膨大な電子廃棄物が発生する恐れがあります。

「End of 10」キャンペーンでは、DIYインストールよりもリペアカフェ、Linuxインストールイベント、独立系コンピュータショップなどを通じた対面サポートに焦点を当てています。ChromeOS FlexやUbuntu系ディストリビューション(Ubuntu MATE、Xubuntu、Lubuntu、Kubuntu)、Linux MintなどがWindows 10の代替として推奨されています。

References:
文献リンク The ‘End of 10’ is nigh, but don’t bury your PC just yet

【編集部解説】

Windows 10のサポート終了が迫る中、「End of 10」キャンペーンが注目を集めています。このキャンペーンは単なるLinux推進活動ではなく、環境問題と技術的選択肢の両面から重要な意味を持っています。

まず、Windows 10のサポート終了日は2025年10月14日と明確に設定されています。この日以降、セキュリティアップデートや技術サポートが提供されなくなります。Microsoftは有償の「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」を3年間提供する予定ですが、新機能や非セキュリティ更新は含まれません。中には、Microsoftが土壇場で方針を変更し、サポート期限を延長すると固く信じている向きもあるようですが、その可能性は極めて低いと考えられます。

「End of 10」キャンペーンの背景には、深刻な環境問題があります。調査会社Canalysによれば、約2億4000万台のPCがWindows 11の要件を満たしておらず、これらが廃棄された場合、膨大な電子廃棄物が発生する恐れがあります。一台のデバイス製造におけるCO2排出量の大部分はハードウェア製造段階で発生するため、既存のデバイスを長く使い続けることは環境保全において非常に効果的なアプローチといえるでしょう。

このキャンペーンの特筆すべき点は、単にLinuxの利点を宣伝するだけでなく、実際のサポート体制を構築している点です。世界70カ所以上のサポート拠点を紹介し、ユーザーが地域のリペアカフェやLinuxユーザーグループなどから直接支援を受けられるようにしています。DIYインストールよりも対面サポートに焦点を当てているのは、技術に詳しくない一般ユーザーにとって大きな助けとなるでしょう。

日本においても、このような動きは重要な意味を持ちます。経済産業省の調査によれば、日本国内の企業や公共機関では依然としてWindows 10の利用率が高く、特に中小企業ではハードウェア更新のコストが大きな負担となっています。

技術的な観点からは、2010年以降に製造されたほとんどのPCはLinuxを問題なく動作させることができます。ChromeOS FlexやUbuntu系ディストリビューション、Linux Mintなどは、Windows環境から比較的スムーズに移行できるよう設計されています。

一方で、課題も存在します。業務用ソフトウェアの互換性や、ユーザーの学習コスト、サポート体制の持続可能性などは検討すべき点です。特に企業環境では、単純なOS移行だけでなく、業務プロセス全体の見直しが必要になる場合もあります。

「End of 10」キャンペーンは、テクノロジーの民主化と環境保全という二つの重要な価値を結びつけた取り組みといえるでしょう。これは単にWindowsからLinuxへの移行を促すものではなく、私たちのデジタル生活における選択肢と責任について再考を促す機会となっています。

【用語解説】

KDE:
1996年に設立された国際的なオープンソースコミュニティで、Linux向けのデスクトップ環境やアプリケーションを開発しています。KDE Plasmaは特に人気のあるデスクトップ環境です。

KDE e.V.:
KDEプロジェクトを法的・財政的に代表するドイツの非営利団体。「e.V.」はドイツ語の「eingetragener Verein」(登録協会)の略です。

End of 10:
Windows 10のサポート終了(2025年10月14日)に向けて、古いPCにLinuxをインストールすることで電子廃棄物を減らすことを目的としたキャンペーン。

リペアカフェ:
壊れた家電製品やデバイスを修理するボランティアの集まり。日本では「修理カフェ」とも呼ばれ、物を長く使うことで廃棄物を減らす活動をしています。

ChromeOS Flex:
Googleが提供する軽量OS。古いWindowsやMacのコンピュータに新しい命を吹き込むために設計されており、2010年以降のPCであれば動作可能です。

FOSS:
Free and Open Source Software(自由でオープンソースのソフトウェア)の略。誰でも自由に使用、改変、再配布できるソフトウェアを指します。

ESU(拡張セキュリティ更新プログラム):
Microsoftが提供する有償サービスで、サポート終了後も最大3年間セキュリティ更新を受けられます。Windows 10の場合、2025年10月14日以降に適用されます。

【参考リンク】

End of 10(外部)
Windows 10のサポート終了に対応するためのキャンペーンサイト。Linuxへの移行支援情報を提供している。

KDE(外部)
KDEコミュニティの公式サイト。Plasma、Applications、Frameworksなど多数のオープンソースプロジェクトを展開している。

Chrome OS Flex(外部)
Googleが提供する軽量OSで、古いPCに新しい命を吹き込むためのソリューション。

Ubuntu(外部)
初心者にも使いやすいLinuxディストリビューション。デスクトップ、サーバー、クラウド向けの様々なバージョンを提供している。

Microsoft Windows 10サポート終了情報(外部)
Windows 10のサポート終了に関するMicrosoftの公式情報ページ。

【参考動画】

【編集部後記】

皆さん、お使いのPCはWindows 10ですか?2025年10月14日のサポート終了まで残り約5ヶ月となりました。「買い替えるしかない」と思っていませんか?実は、あなたの手元のPCにはまだ可能性があります。Linuxという選択肢は、単にコスト削減だけでなく、オープンソースの世界への扉を開くきっかけにもなります。初めての方でも参加しやすいオープンソースプロジェクトも増えています。この機会に、持続可能なテクノロジー利用について一緒に考えてみませんか?私たちinnovaTopiaは、あなたの新しい一歩を応援します。

【関連記事】

linuxに関する記事をinnovaTopiaでもっと読む

投稿者アバター
TaTsu
デジタルの窓口 代表 デジタルなことをまるっとワンストップで解決 #ウェブ解析士 Web制作から運用など何でも来い https://digital-madoguchi.com
ホーム » 未分類 » Windows 10 終了の危機をチャンスに変える「End of 10」キャンペーン – 4億台のPCを電子廃棄物から救う挑戦