Last Updated on 2024-09-29 08:58 by admin
Meta社は2024年9月27日、年次開発者会議「Meta Connect 2024」で、ARグラス「Orion」のプロトタイプを発表した。Orionは、マイクロLEDプロジェクターと炭化ケイ素レンズを使用し、70度の視野角を実現している。重量は約100グラムで、音声コマンド、視線追跡、ハンドジェスチャーで操作可能だ。
現在の製造コストは1台約1万ドル(約150万円)で、一般消費者向けの販売は数年先となる見込みだ。Meta社のCTOであるアンドリュー・ボズワースは、価格は高級スマートフォン程度になると予想している。
同時に、Meta社はRay-Ban社と共同開発したスマートグラス「Ray-Ban Meta」の新機能も発表した。299ドル(約45,000円)で販売されているこの製品には、AIアシスタント機能が搭載される予定だ。
Meta社のCEOマーク・ザッカーバーグは、ARグラスの開発に10年以上取り組んでいると述べた。同社のReality Labs部門は2024年第2四半期に45億ドル(約6,750億円)の損失を計上したが、Quest 3の販売は好調だという。
競合他社も同様の技術開発を進めており、Apple社は3,499ドル(約52万円)のVision Proを発表、Google社やSnap社もARグラスの開発を進めている。
from:Meta offers a glimpse through its supposed iPhone killer: Orion
【編集部解説】
Meta社が発表したARグラス「Orion」は、スマートフォンに代わる次世代デバイスとして注目を集めています。しかし、その実現にはまだ多くの課題が残されています。
Orionの最大の特徴は、マイクロLEDプロジェクターと炭化ケイ素レンズを組み合わせた独自のディスプレイ技術です。これにより、70度という広い視野角を実現し、現実世界とデジタル情報を自然に融合させることに成功しています。この技術は、長年ARグラスの開発者たちを悩ませてきた課題を解決する可能性を秘めています。
操作方法も革新的です。音声コマンド、視線追跡、ハンドジェスチャーを組み合わせることで、直感的な操作を可能にしています。これは、キーボードやタッチスクリーンに依存しない新しいインターフェースの形を示唆しています。
しかし、Orionの実用化にはまだ時間がかかりそうです。現在の製造コストは1台約1万ドル(約150万円)と非常に高額で、一般消費者向けの販売は数年先となる見込みです。また、デバイスの小型化や軽量化、バッテリー性能の向上など、技術的な課題も残されています。
Orionの開発は、テクノロジー業界全体に大きな影響を与える可能性があります。Apple、Google、Snapなども同様の技術開発を進めており、ARグラス市場での競争が激化することが予想されます。この競争は技術革新を加速させ、より優れた製品の登場につながるかもしれません。
一方で、プライバシーや安全性に関する懸念も無視できません。常時装着型のカメラやセンサーを搭載したデバイスは、個人情報の収集や監視の問題を引き起こす可能性があります。また、AR技術による現実世界の拡張が進むことで、現実と仮想の境界が曖昧になり、社会や人間関係に予期せぬ影響を与える可能性もあります。