レビュー:机の上で虫となって冒険する異色作「Metamorphosis VR」カフカの『変身』がVRで体験可能

 - innovaTopia - (イノベトピア)

海外のVRメディア、UPLOADにて興味深いレビューを発見した。

VRゲーム「Metamorphosis VR」が2024年10月10日、Meta Quest向けに発売された。価格は19.99ドル(約3,000円)だ。

本作は、フランツ・カフカの小説『変身』を基にしたVRパズルプラットフォームゲームである。オリジナル版は2020年8月にPC/コンソール向けにOvid Worksが開発し、VR版はBlack Sun Productionsが手がけた。

ゲーム内容は一人称視点のパズルプラットフォーマーで、プレイヤーは突如虫に変身した主人公グレゴールとなり、友人ヨーゼフの謎めいた逮捕事件を解決していく。操作方法はモーションコントロールとサムスティック操作の両方に対応し、プレイ時間は約6-8時間となっている。

特徴的なのは、虫となって巨大化した日常空間を探索するという設定で、シュールレアリスティックなアートスタイルと独特な没入感を実現している。ただし、Quest 2でのテクスチャ問題やモデルのポップイン現象、音声の不安定さなど、技術面での課題も指摘されている。

from Metamorphosis VR Hands-On: An Unbalanced Puzzle Platformer

【編集部解説】

VRならではの視点転換がもたらす新しい物語体験として、カフカの『変身』をVRゲーム化した本作は、単なる原作の再現を超えて、VRメディアの可能性を探求する意欲的な作品となっています。虫となって巨大化した日常空間を探索するという設定は、VRならではの没入感と視点の転換を見事に活用している点が特徴です。Black Sun Productionsは、2020年にPC向けにリリースされた原作を完全に再構築し、VR専用タイトルとして開発しました。100種類以上の昆虫キャラクターや、複数のエンディングを用意するなど、VRならではの特徴を活かした意欲的な試みが見られます。

しかし、Quest 2/3のモバイルチップの制限により、テクスチャの解像度低下やポップイン、フレームレートの低下など、技術的な課題も残されており、開発チームは積極的なアップデートを約束していますが、プラットフォームの制限をどこまで克服できるかが今後の課題となっています。本作の試みは、文学作品のVR化という新しいジャンルの可能性を示唆しており、特に、スケール感の劇的な変化や視点の転換といったVRならではの特徴を活かした演出は、今後の他作品にも大きな影響を与える可能性があります。

開発チームは積極的なバグ修正とアップデートを約束しており、より快適な体験の実現を目指しています。6-8時間のプレイ時間と複数のエンディングを用意するなど、コンテンツボリュームも十分で、技術的な課題が解決されれば、VRならではの魅力を存分に味わえる作品となるでしょう。

【編集部追記】

このレビューの元記事でライターのJames Tocchio氏は、2度もunpolished(洗練されていない)と言っています。そして、最後には it’s a bit hard to love.(好きになれない)とも。
私はこれを“巧妙なレコメンド”だと感じました。
ディスっているようで「好きな人は超ハマるかもよ」という意図なのかな、と。
もしかしたら、自分でも気づかず踏みつぶしてしまっているかもしれない「虫」という小さな存在になる気分。。

【用語解説】

パズルプラットフォーマー:障害物の回避や謎解きを組み合わせたゲームジャンル。本作では虫となって環境を探索しながら進んでいきます。

    【参考動画】

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