Last Updated on 2024-12-18 15:18 by admin
スマホで撮影した風景がVR空間で蘇る。そんなSF映画のような体験が、今や無料アプリで実現できるようになった。NianticのScaniverseが実現したのは、誰でも気軽に始められる”現実世界のバーチャル化”だ。Quest 3のブラウザさえあれば、世界中のユーザーが切り取った3D空間を、まるでそこにいるかのように体験できる。
NianticのScaniverseは、Quest 3のウェブブラウザでガウシアンスプラッティングを閲覧できるWebXRアプリ「Into The Scaniverse」を公開した。
現在のサービス概要
- 対応端末:iOS/iPadOS、Android端末
- スキャン所要時間:数分(高性能スマートフォンの場合)
- 利用料金:無料
- 対応VRヘッドセット:Meta Quest 3、Quest 3S
- ユーザー規模:100カ国以上のコミュニティが利用
- 特徴:3Dグローブインターフェースでスキャン位置を世界地図上で確認可能
from Niantic’s WebXR Scaniverse Lets You View Gaussian Splats In Quest 3’s Web Browser
【編集部解説】
3Dスキャン技術の民主化において、Scaniverseの登場は大きな転換点となっています。これまでの3Dスキャンは、高価な専用機材と専門的な知識が必要でしたが、スマートフォン1台で誰もが手軽に3D空間を記録できる時代が始まったのです。
特筆すべきは、採用されているガウシアンスプラッティング技術です。従来の3Dメッシュ方式と比べ、より自然な光の反射や透明度の表現が可能になりました。さらに、背景を含めた空間全体をキャプチャできる点は、VR体験において重要な進歩といえます。
また、3Dグローブインターフェースを通じて世界中のスキャンデータを地理的に閲覧できる機能は、ユーザー同士の空間共有を促進する可能性を秘めています。例えば、世界各地の観光スポットや文化遺産のデジタルアーカイブ化、不動産の内見、商品のバーチャルショールームなど、様々な産業での活用が期待できます。
現状のWebXR版には、背景の詳細度が低いという技術的な制約はありますが、これは将来的なアップデートで改善される可能性が高いでしょう。より重要なのは、このサービスが無料で提供されている点です。これにより、個人や小規模事業者でも3D空間の共有・活用が可能となり、メタバースやデジタルツイン技術の普及を加速させる可能性があります。
一方で、プライバシーやデータセキュリティの観点からの検討も必要です。個人の所有物や私的空間のスキャンデータが公開される可能性があるため、適切なガイドラインの整備が求められるでしょう。
将来的には、Apple Vision ProなどのMRデバイスとの連携も期待できます。実世界のスキャンデータをリアルタイムで共有・閲覧できる環境が整備されれば、遠隔コミュニケーションや協働の形も大きく変わる可能性があります。Scaniverseは、そうした未来への重要な一歩を示していると言えるでしょう。
【用語解説】
ガウシアンスプラッティング:
3D空間を表現する新技術で、点群をガウス分布で表現します。写真のような質感と自然な光の表現が特徴で、従来の3Dメッシュより効率的にリアルな空間を再現できます。(用語クリックで詳細解説記事へ)
WebXR:
ウェブブラウザ上でVR/AR体験を提供する技術規格。アプリのインストールなしでVR体験が可能です。