Meta HorizonとHorizon Worldsの現状と課題
Metaは2025年を「メタバースの決定的な年」と位置づけ、Horizon WorldsやMeta Horizonプラットフォームの成功に全力を注ぐ。2024年にはReality Labs部門が49.7億ドルの損失を計上したが、Quest 3SやRay-Ban Smart Glassesなどの製品が売上を支えている。
特筆すべきは、Quest 3Sの販売動向だ。2024年10月の発売以来、128GB版(299ドル)と256GB版(399ドル)の両モデルで展開されているが、2024年11月の販売台数は前年比16%減を記録。全体の66%をQuest 3Sが占め、残りをQuest 3が占める状況となっている。
開発者エコシステムにも大きな変化が起きている。2024年8月のApp Lab廃止とメインストアへの統合により、検索可能なアプリ数は660から2,860へと急増。この変更により、多くの開発者が売上の50-80%減を報告している。
一方で、Quest+サブスクリプションプログラムを通じた収益は一部の開発者にとって安定した収入源となっている。新規Quest 3S購入者には3ヶ月間のQuest+が付属することから、サブスクリプションモデルへの移行が進んでいる。
しかし、Horizon Worldsのモバイル版が市場での地位を確立できなければ、メタバース戦略全体が大きな岐路に立たされる可能性がある。Meta CTOのアンドリュー・ボズワース氏は、「Horizon Worldsのモバイル版の成功が、長期的な計画の成否を左右する」と明言している。
さらに、Reality Labs部門への投資は2020年第4四半期以降、総額690億ドルに達し、収入は91.9億ドルにとどまっている。この massive な投資と収益のギャップは、株主からの圧力を高める要因となっている。
From Quest To Horizon: How Meta’s Shifting Priorities Are Affecting Developers
【編集部解説】
Meta HorizonとHorizon Worldsは、Metaのメタバース戦略の中核を担うプラットフォームです。しかし、これらが直面している課題は技術的な問題だけではありません。ユーザーエンゲージメントの低下や収益モデルの不安定さ、そして競争激化による市場シェアの減少など、多岐にわたります。
特に注目すべきは、Horizon Worldsが「無料コンテンツ」を強調することで、有料アプリケーションとの競争を激化させている点です。これは開発者エコシステムに混乱をもたらし、小規模なスタジオにとって持続可能な収益モデルを構築することが困難になっています。
一方で、Metaは2025年にAIとAR技術への投資を加速させています。Ray-Banとの提携によるスマートグラスや、AI駆動型ウェアラブルデバイスの開発は、次世代プラットフォームとしての可能性を広げています。このような技術革新が成功すれば、Horizon WorldsやMeta Horizonも新たなユーザー層を取り込む可能性があります。
しかし、これらの取り組みが成功するかどうかはまだ未知数です。Meta CTOのアンドリュー・ボズワース氏も「2025年はメタバース戦略が成功か失敗かを決定づける年」と述べており、この1年が極めて重要であることを強調しています。
【参考用語】
Horizon Worlds
Metaが提供するソーシャルVRプラットフォーム。ユーザーは仮想空間内で交流し、自分だけの世界を作成できる。
Meta Horizon
Meta社が開発するメタバースエコシステム全体を指す名称。Horizon WorldsやQuestデバイスなどが含まれる。