Triangle Factory社は、2025年3月11日に開催されたVR Games Showcaseにて、最大32人対戦可能な新作VRシューティングゲーム「Forefront」を発表した。このゲームは、同社の過去作「Hyper Dash」と「Breachers」に続く新作タイトルとなる。
Forefrontは2035年を舞台にした近未来の戦争ゲームで、「レッドオーピメント」と呼ばれる希少鉱物をめぐる紛争が描かれる。プレイヤーは、この鉱物から無限のクリーンエネルギーを生成する技術を持つOrpiment Renewable Energy(O.R.E.)社の傭兵か、その資源の支配権を争う地元軍や政府軍のいずれかの陣営を選んで戦うことになる。
ゲームの特徴は以下の通り:
- 最大32人(16対16)の大規模オンライン対戦
- 陸・海・空を網羅する多様な乗り物
- 広大な半破壊可能なマップ
- 4つのクラス(アサルト、エンジニア、メディック、スナイパー)
- 各クラス固有の武器とガジェット
- 「Rush」と「Conquest」の2つのゲームモード
Triangle Factory社のCOOであるXavier De Coster氏は、「Forefrontは、Triangle Factoryチームにとって大きな進化です。私たちが知られるようになった銃撃戦のレベル、洗練さ、品質を維持しながら、ハードウェアとマルチプレイヤー機能を最大限に押し上げています」とコメントしている。
Forefrontは2025年末にアーリーアクセス版がリリースされる予定で、Meta Quest 2以降、SteamVR、Picoヘッドセットに対応する。今夏からプレイテストが開始される予定で、詳細は公式Discordサーバーで発表される。現在、Meta Horizonストアでウィッシュリスト登録が可能となっている。
【編集部解説】
VRゲーム市場に新たな風を吹き込む大型タイトルの登場です。ベルギーのゲント市に拠点を置くVRゲーム開発スタジオTriangle Factoryが、2025年3月11日に開催されたVR Games Showcaseにて新作VRシューター「Forefront」を発表しました。
この発表は、VR業界では大きな注目を集めています。というのも、Forefrontは最大32人(16対16)という、VRゲームとしては過去最大規模のマルチプレイヤー対戦を実現するからです。これまでのVRシューターゲームは、技術的制約から比較的少人数での対戦が主流でした。
Triangle Factoryは「Hyper Dash」や「Breachers」といった人気VRシューターの開発元として知られており、特に「Breachers」は5対5の戦術的シューターとして高い評価を得ています。同スタジオのCOOであるXavier De Coster氏は「ハードウェアとマルチプレイヤー機能を最大限に押し上げながら、当社が知られるようになった銃撃戦のレベル、洗練さ、品質を維持している」と述べており、技術的な挑戦に取り組んでいることがうかがえます。
Forefrontの世界観は2035年の近未来を舞台にしています。「レッドオーピメント」と呼ばれる希少鉱物から無限のクリーンエネルギーを生成する技術を持つOrpiment Renewable Energy(O.R.E.)社と、その資源の支配権を争う地元軍や政府軍との間の紛争が描かれます。プレイヤーはどちらかの陣営を選んで戦うことになります。
特筆すべきは、ゲームプレイの規模と多様性です。陸・海・空を網羅する様々な乗り物(ヘリコプター、ハンビー、戦車、ボート、ジェットスキーなど)を操作できるだけでなく、半破壊可能な環境も実装されています。これにより、戦場の様相が試合の進行とともに変化していくダイナミックな体験が可能になります。
ゲームモードは「Rush」と「Conquest」の2種類が用意されています。「Rush」はより直線的で歩兵戦に焦点を当てたモードで、「Conquest」は乗り物を多用する広範囲な戦闘が特徴です。また、プレイヤーは4つのクラス(アサルト、エンジニア、メディック、スナイパー)から選択でき、それぞれ専用の武器とガジェットを使用できます。
VR技術の観点から見ると、このような大規模なマルチプレイヤーゲームの実現は、ハードウェアの性能向上と開発技術の進化を示しています。特に、Meta Quest 2(2020年発売の比較的古いデバイス)でも動作するよう最適化されている点は注目に値します。Triangle Factoryのプロデューサーによれば、「VRエコシステムのプレイヤーの50%以上がまだQuest 2を使用している」ため、このプラットフォームのサポートは重要だと考えているようです。
VRゲームにおける大規模マルチプレイヤー体験の実現は、この技術の新たな可能性を示すものです。従来のフラットスクリーンゲームでは当たり前だった大規模戦場体験がVRで実現することで、没入感と臨場感が格段に向上することが期待されます。
一方で、このような大規模マルチプレイヤーゲームの課題として、プレイヤー人口の確保があります。VR市場はまだ比較的小さく、32人のプレイヤーを常時集めることは容易ではありません。Triangle Factoryはこの問題に対応するため、クロスプラットフォームマルチプレイヤーを実装し、必要に応じてAIボットで不足プレイヤーを補完する計画です。
Forefrontの発表は、VR技術の成熟と可能性の拡大を示す重要な一歩と言えるでしょう。
【用語解説】
VRシューター: バーチャルリアリティ環境で楽しむ一人称視点の射撃ゲーム。通常のFPSと違い、プレイヤーは実際に体を動かして照準を合わせたり、カバーに隠れたりする必要があります。
オーピメント(Orpiment): 実在する鉱物で、黄色〜オレンジ色の硫化ヒ素鉱物です。ゲーム内では「レッドオーピメント」という架空のバリエーションが無限エネルギー源として描かれています。
アーリーアクセス: 正式リリース前に一般ユーザーが開発中のゲームをプレイできる販売形態。開発者はフィードバックを得ながら改良を続けることができます。
【参考リンク】
Triangle Factory公式サイト(外部)ベルギーのVRゲーム開発スタジオTriangle Factoryの公式サイト。開発タイトルや企業情報を掲載。
Breachers公式サイト(外部)Triangle Factoryが開発した5対5の戦術的VR FPS「Breachers」の公式サイト。
VR Games Showcase(外部)VRゲームの新作発表イベント「VR Games Showcase」の公式サイト。
Meta Horizonストア(外部)Meta Quest向けVRアプリケーションの公式ストア。Forefrontの配信先プラットフォーム。