Last Updated on 2025-05-29 12:32 by admin
Saber Interactiveが『ワールド・ウォー Z VR』を8月12日(現地時間、日本時間8月13日)にMeta QuestとSteamVRでリリースすると発表した。
ゲーム開発会社Saber Interactiveは5月28日(現地時間、日本時間5月29日)、VRゾンビシューティングゲーム『ワールド・ウォー Z VR』を2025年8月12日(現地時間、日本時間8月13日)にリリースすると発表した。同作は既存のフラットスクリーン版『ワールド・ウォー Z』をVR向けに完全再構築したタイトルで、一人称視点のシングルプレイヤー体験として提供される。
対応プラットフォームはMeta Quest 3、Meta Quest 2、Meta Quest Pro、およびSteamVRで、価格は19.99ドル(14.99ポンド、19.99ユーロ)に設定されている。予約注文者には4つのゴールド武器スキンを含む「ゴールデンスキンパック」が特典として付与される。Steam版では既存の『ワールド・ウォー Z』とVR版をセットにした20%割引バンドルも用意されている。
ゲームの技術的特徴として、画面上に同時に最大200体のゾンビを表示可能で、これはVR技術における驚異的な技術的偉業とされている。プレイヤーはニューヨーク、東京、マルセイユの3つの都市を舞台とした広大な環境でゾンビの大群と戦闘を行う。
キャラクター選択では7体のユニークなキャラクターから選択でき、それぞれ異なる武器と特典を持つ。難易度設定も3つのモードが用意されており、ゾンビが環境やプレイヤーのプレイスタイルに適応する特別なチャレンジも含まれている。
原作は2013年公開のブラッド・ピット主演映画『ワールド・ウォー Z』とSaber Interactiveの既存ゲームフランチャイズに基づいており、同フランチャイズは世界中で2,500万人以上のプレイヤーに楽しまれている実績を持つ。
from:World War Z VR Prepares For The Fight Of Your Life Later This Year | UploadVR
【編集部解説】
Saber Interactiveによる『ワールド・ウォー Z VR』の発表は、VRゲーム業界において技術的な転換点を示す重要な出来事です。同時に200体のゾンビを画面上に表示するという技術的偉業は、従来のVRハードウェアの処理能力の限界を押し上げる挑戦的な試みといえるでしょう。
この技術革新が実現した背景には、Meta Quest 3の高性能化とSteamVRプラットフォームの成熟があります。特に注目すべきは、モバイルVRプロセッサでありながら大規模なゾンビホードを処理できる最適化技術の進歩です。これまでVRゲームは比較的小規模な敵キャラクター数に制限されていましたが、本作の成功は他のVRアクションゲームにも影響を与える可能性があります。
ゲーム業界への影響という観点では、マルチプレイヤー要素を排除してシングルプレイヤー体験に特化した判断が興味深い点です。これは開発リソースの集中によるクオリティ向上を狙った戦略的決定と考えられます。VR市場ではまだプレイヤーベースが限定的であるため、安定したシングルプレイヤー体験を提供することで、より多くのユーザーにアクセスしやすいゲーム設計を実現しています。
価格設定の19.99ドルという戦略も注目に値します。これは従来のAAAタイトルよりも低価格帯に設定されており、VRゲームの普及促進を意図した価格戦略といえるでしょう。Steam版でのバンドル販売により、既存のフラットスクリーン版プレイヤーをVR市場に誘導する狙いも見て取れます。
技術的な課題として、VRにおけるモーションシックネス対策が重要になります。激しいアクションと大量の動くオブジェクトは、一部のユーザーにとって不快感を引き起こす可能性があります。Saber Interactiveがこの問題にどのような解決策を提示するかが、ゲームの成功を左右する要因となるでしょう。
長期的な視点では、本作の成功がVRゾンビゲームジャンルの確立につながる可能性があります。映画『ワールド・ウォー Z』の世界観を活用したIPビジネスの展開も、エンターテインメント業界におけるVR活用の新たなモデルケースとなるかもしれません。
【用語解説】
フラットスクリーン版:従来の平面ディスプレイ(テレビやモニター)でプレイするゲームの形式。VR版と区別するために使用される用語で、三次元空間での体験ではなく二次元画面上でのゲーム体験を指す。
ハイオクタン:元々は高性能ガソリンを指す用語だが、ゲーム業界では「高強度」「激しいアクション」「スリリング」といった意味で使用される。連続的で激しいアクションシーンが続くゲーム体験を表現する際に用いられる。
ホード:大群や群れを意味する英語「horde」から派生したゲーム用語。特にゾンビゲームにおいて、大量の敵キャラクターが一斉に襲いかかってくるゲームモードや状況を指す。
【参考リンク】
Saber Interactive公式サイト(外部)アメリカのゲーム開発・パブリッシング企業。2001年設立で13のスタジオを世界各地に展開。『ワールド・ウォー Z』『SnowRunner』などの人気タイトルを手がける。
World War Z公式サイト(外部)『ワールド・ウォー Z』フランチャイズの公式サイト。最新ニュース、ゲーム情報、コミュニティ情報などを提供している。
【編集部後記】
『ワールド・ウォー Z VR』の発表を受けて、VRゲーマーとしては非常に興味深い展開だと感じています。画面上に同時に200体以上のゾンビを表示するという技術的挑戦は、これまでのVRゲームの常識を覆すものです。個人的に注目しているのは、マルチプレイヤーを排除してシングルプレイヤー体験に特化した判断で、通信遅延やプレイヤー間の技術格差を気にせず、より洗練されたゲーム体験を楽しめそうです。価格設定の19.99ドルも絶妙なバランスで、多くのVRユーザーが手を出しやすく、結果的にVR市場全体の活性化につながるのではないでしょうか。8月のリリースが今から楽しみです。
【参考記事】
Saber Interactive公式ブログ – World War Z VR発表記事 | Saber Interactive
World War Z VR発表記事 | GameReactor