innovaTopia

ーTech for Human Evolutionー

Meta、超軽量VRヘッドセット「Puffin」を2027年優先発売へ Quest 4は延期、Pismo計画も中止

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Metaは2026年にテザー接続されたコンピュートパックを持つ超軽量Horizon OSヘッドセット「Puffin」の出荷を優先し、従来のQuest 4の発売を2027年まで延期することを複数の情報源がUploadVRに明かした。
Quest 4シリーズの有力候補だった「Pismo Low」と「Pismo High」の2つのプロジェクトはキャンセルされた。Puffinは大きめのメガネほどのサイズで重量は110グラム未満、バッテリーとコンピューティングハードウェアを外部のテザー接続パックにオフロードすることで軽量化を実現する。

コントローラーは含まれず、Apple Vision Proが導入した視線とピンチの入力方式を採用する。The InformationがPuffinの存在を2024年8月に最初に報じ、Connect 2024の数週間後にMetaのCTOアンドリュー・ボズワースがThe VergeのAlex Heathにその報告を確認した。同時にApple Vision Pro競合のハイエンドMRヘッドセット「La Jolla」の開発も中止された。

From:
 - innovaTopia - (イノベトピア)Meta Prioritizing Ultra-Light Headset With Puck Over Traditional Quest 4 Until 2027

【編集部解説】

今回のMetaの戦略転換は、VR・AR業界における大きなパラダイムシフトを示しています。従来のオールインワン型ヘッドセットから、軽量化を極限まで追求した分離型デバイスへの移行はなされます。

特に注目すべきは、MetaがApple Vision Pro対抗のハイエンドモデル「La Jolla」を中止してまで、軽量化に舵を切った点です。これは3,500ドルという高価格で苦戦するApple Vision Proの市場反応を受けた戦略的判断と考えられます。

Puffinの最大の革新性は、110グラム未満という驚異的な軽量化にあります。現行のMeta Quest 3が515グラムであることを考えると、約5分の1という劇的な軽量化です。これは長時間の装着における疲労を大幅に軽減し、VRの日常利用への道筋を開くものです。

技術的な観点から見ると、バッテリーと処理装置を外部パックに分離する設計は、熱管理の面でも大きなメリットがあります。従来のヘッドセットでは、高性能プロセッサーの発熱が装着感の悪化や性能制限の要因となっていました。この分離により、より高性能な処理が可能になる一方で、ヘッドセット本体の温度上昇を抑制できます。

Apple Vision Proが導入した視線追跡とハンドトラッキングの採用も注目すべき点です。コントローラーレスの操作体系は、より直感的なインタラクションを可能にし、VRの敷居を下げる効果が期待されます。特にビジネス用途や生産性向上のツールとしての活用において、この操作方式は大きなアドバンテージとなるでしょう。

しかし、テザー接続による制約も無視できません。ポケットサイズとはいえ外部パックとの有線接続は、移動の自由度を制限し、ケーブルの絡まりや断線リスクを生み出します。この点は、完全ワイヤレスを求めるユーザーにとって妥協点となる可能性があります。

Quest 4の2027年への延期は、Metaの長期戦略における重要な判断です。Pismo LowとPismo Highの両プロジェクトキャンセルは、同社がプレミアム市場よりも軽量化と利便性を重視する方向に舵を切ったことを示しています。これは、Reality Labsに対する20%のコスト削減指示とも連動した戦略的判断と言えるでしょう。

業界全体への影響も計り知れません。Metaがこの方向性を打ち出すことで、他のVRメーカーも軽量化競争に参入する可能性が高まります。結果として、VR技術の民主化が加速し、より多くの人々がこの技術にアクセスできるようになることが期待されます。

【用語解説】

Horizon OS
Metaが開発したVR・MR専用のオペレーティングシステム。従来のOculus Quest OSから発展し、現在はQuest 3などのMetaヘッドセットで使用されている。2024年4月にはMicrosoft、ASUS、Lenovoなどの他社製品への提供も開始された。

パンケーキレンズ
従来のフレネルレンズよりも薄型で軽量なVR用光学レンズ。複数の薄いレンズを重ねることで、ヘッドセットの厚みを大幅に削減しながら高画質を実現する技術。

視線追跡(アイトラッキング)
ユーザーの視線の動きを検出し、見ている方向や対象を認識する技術。VRでは操作の入力手段として活用され、より直感的なインタラクションを可能にする。

ハンドトラッキング
手の動きや指の位置を認識する技術。コントローラーを使わずに手の動きだけでVR空間を操作できる。

テザー接続
ヘッドセット本体と外部機器をケーブルで物理的に接続する方式。無線接続と比較して安定した高速データ転送が可能だが、移動の自由度は制限される。

コンピュートパック
処理装置やバッテリーを収納した外部ユニット。ヘッドセット本体から重い部品を分離することで軽量化を実現する。

Reality Labs
Metaのバーチャルリアリティ・拡張現実技術開発部門。年間約100億ドル規模の投資を行っているが、2026年までに20%のコスト削減が指示されている。

【参考リンク】

Meta公式サイト(外部)Metaの企業情報、製品情報、最新ニュースを提供する公式サイト。VR・ARヘッドセットのQuest シリーズやHorizon OSに関する詳細情報も掲載されている。

【参考記事】

GIGAZINE – Metaの軽量MRグラス「Puffin」開発計画にゴーサイン(外部)2024年8月の報道で、Puffinの基本仕様と開発背景について詳細に解説。110グラム未満の軽量化技術と外部パックによる設計思想を紹介している。

Reinforz – Meta、「Puffin」発表:大きめの眼鏡サイズで実現する次世代(外部)Puffinの技術的詳細と市場投入時期について分析。コントローラーレス操作と外部プロセッサ依存の設計について詳しく解説している。

【編集部後記】

VRヘッドセットの軽量化競争が新たな局面を迎えています。110グラム未満という驚異的な軽さを実現するPuffinは、私たちの日常にVRが溶け込む転換点になるかもしれません。皆さんはVRデバイスを選ぶ際、性能と軽さのどちらを重視されますか?また、コントローラーレスの操作体験に魅力を感じる一方で、テザー接続による制約をどう捉えるでしょうか?

VR/ARニュースをinnovaTopiaでもっと読む

投稿者アバター
乗杉 海
新しいものが大好きなゲーマー系ライターです!
ホーム » VR/AR » VR/ARニュース » Meta、超軽量VRヘッドセット「Puffin」を2027年優先発売へ Quest 4は延期、Pismo計画も中止