Last Updated on 2024-06-20 07:10 by TaTsu
Ultraleapは、Augmented World Expoで、低消費電力で終日使用可能なジェスチャー認識技術をデモンストレーションしている。
この技術は、3Dプリントされた筐体に収められた下向きのイベントセンサーが、Raspberry Pi Zeroとバッテリーパックによって接続されている。
プラットフォームと直接統合することで、手のジェスチャーを追跡する(ハンドトラッキング技術)ためにはイベントセンサーのみ必要である。
UltraleapのXR担当副社長であるMatt Tullisは、この技術の目的は「終日着用可能なARグラス、スマートグラス、スマートフレームでのジェスチャー入力を可能にすること」だと説明している。
また、Ultraleapは5月に、Hyperionと呼ばれる手追跡技術のアップグレードを発表し、高電力モードと低電力モードが提供されることが明らかにされた。Hyperion、Leap Motion 2のアドオンコントローラー、およびOpenXRサポートを通じて、Ultraleapはジェスチャー入力と手追跡を備えた新世代のヘッドマウントデバイスをサポートする準備を進めている。
最新の資金調達ラウンドには、Varsity Capital、EIC Fund、Verve Venturesなどが投資し、360 Capital、BpifranceのDigital Venture Fund、BNP Paribas Développementなどの既存投資家も参加している。C12には18か国から45人の従業員がおり、そのうち22人が博士号を持っている。
【編集者追記】用語解説
- ジェスチャー認識技術:手や体の動きを認識し、コンピューターやデバイスを操作する技術のこと。
- ハンドトラッキング技術:手の動きを高精度で追跡する技術のこと。Ultraleapの「Leap Motion Controller」は、この技術を使用している。
- Augmented World Expo (AWE):拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、混合現実(MR)などのテクノロジーに関する世界最大級のカンファレンスおよび展示会。
- Raspberry Pi Zero:シングルボードコンピューターの一種で、小型・低価格・低消費電力が特徴。IoTプロジェクトなどで使用される。
- OpenXR:ARやVRアプリケーションの開発を容易にするためのオープンスタンダード。
【参考リンク】
Ultraleap社オフィシャルサイト(外部)
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【ニュース解説】
UltraleapがAugmented World Expoで披露した技術は、低消費電力で終日使用可能なジェスチャー認識システムです。このシステムは、3Dプリントされた筐体に収められた下向きのイベントセンサーを中心に構築されており、Raspberry Pi Zeroとバッテリーパックに接続されています。この技術の最大の特徴は、プラットフォームと直接統合されることで、手のジェスチャーを追跡するためにイベントセンサーのみが必要となる点です。これにより、ARグラスやスマートグラス、スマートフレームなどのデバイスで、終日快適にジェスチャー入力を利用できるようになります。
この技術の開発は、日常生活におけるAR(拡張現実)技術の利用をより身近なものにすることを目指しています。例えば、手の動きだけでメッセージを送ったり、アプリケーションを操作したりすることが可能になります。これにより、物理的なインターフェースに依存することなく、より直感的で自然なユーザー体験を提供できるようになると期待されています。
しかし、この技術の導入にはいくつかの課題も存在します。例えば、正確なジェスチャー認識のためには、センサーの感度や認識アルゴリズムの最適化が重要です。また、デモンストレーション中に見られたように、一部のジェスチャーが認識されない場合があり、これを改善するためにはさらなる研究開発が必要です。
この技術の社会への影響は大きく、特に障害を持つ人々や高齢者など、従来のインターフェースを使いにくいユーザーにとって、新たなコミュニケーション手段や操作方法を提供する可能性があります。また、ジェスチャー認識技術の進化は、ゲームや教育、医療など、多岐にわたる分野での応用が期待されています。
一方で、この技術の普及に伴い、プライバシーやセキュリティに関する懸念も生じます。ジェスチャー情報の収集と処理には、ユーザーの同意と透明性が確保される必要があります。また、誤認識による操作ミスや、意図しない情報の共有など、新たなリスクも考慮する必要があります。
将来的には、この技術のさらなる発展により、より複雑なジェスチャーの認識や、さらに低消費電力での運用が可能になることが期待されます。また、この技術が様々なデバイスやプラットフォームに統合されることで、より豊かで多様なデジタル体験が実現するでしょう。
from Ultraleap Demos Meta’s Ray-Ban Glasses With All-Day Hand Tracking Sensor Added.