Last Updated on 2024-10-09 12:20 by admin
Adobeは2024年10月8日、Content Credentials(コンテンツ認証情報)を確認できるウェブアプリケーションの発表をした。このアプリは、画像や動画がAIによって生成または編集されたかどうかを確認できるツールだ。
このツールは、Adobeが主導するContent Authenticity Initiative(CAI)の一環として開発された。CAIには、マイクロソフト、インテル、ニコン、ソニーなど800以上の企業や組織が参加している。
AdobeのChief Trust Officer(最高信頼責任者)であるアンディ・パーソンズ氏は、このツールがクリエイターの権利を守り、メディアの信頼性を高めることを期待している。
from Adobe has a new tool to protect artists’ work from AI
【編集部解説】
Adobeが発表したContent Authenticity(コンテンツ認証)ウェブアプリは、クリエイターの権利保護とデジタルコンテンツの透明性向上を目指す画期的な取り組みです。この無料ツールは、デジタル作品に「栄養成分表示」のような情報を付加することで、作品の出所や編集履歴を明確にします。
Content Credentialsと呼ばれるこのメタデータは、画像、音声、動画など様々なファイル形式に適用可能で、作成者の名前やウェブサイト、SNSアカウントなどの情報を含めることができます。これにより、オンライン上で作品が共有された際に、元の作者に遡って確認することが容易になります。
特筆すべきは、AIによる作品の無断利用に対する対策機能です。クリエイターは自身の作品をAIモデルのトレーニングデータとして使用されることを拒否する設定を行うことができます。ただし、現時点でこの設定を尊重すると表明しているのはSpawningというAIオプトアウト集約サービスのみであり、業界全体での採用にはまだ時間がかかりそうです。
このツールの導入は、デジタルコンテンツの信頼性向上に大きく貢献する可能性があります。特に、ディープフェイクやAI生成コンテンツが増加する中で、オリジナル作品の価値を守り、クリエイターの権利を保護する重要な役割を果たすでしょう。
長期的には、この取り組みがデジタルコンテンツの著作権管理や、AIと人間の創作物の区別に関する法的枠組みの形成に影響を与える可能性があります。クリエイターの権利保護とAI技術の発展のバランスをどう取るか、社会全体で議論を重ねていく必要があります。
【参考情報】
用語解説:
1. Content Credentials(コンテンツ認証情報):
デジタルコンテンツの「栄養成分表示」のようなもの。作成者、編集履歴、AIの使用有無などの情報を含む。
2. Content Authenticity Initiative (CAI):
アドビが2019年に設立したデジタルコンテンツの透明性を高めるための団体。
3. C2PA (Coalition for Content Provenance and Authenticity):
デジタルコンテンツの出所と真正性を証明する技術標準を開発する団体。