Last Updated on 2025-01-02 19:02 by admin
OpenAIの元研究員で内部告発者のスチル・バラジ氏（26歳）が、2024年11月26日（感謝祭の日）、サンフランシスコのブキャナン通りのアパートで死亡しているのが発見された。
バラジ氏は2018年夏にインターンとしてOpenAIに参加し、その後2020年にカリフォルニア大学バークレー校のコンピュータサイエンス学部を卒業後、正社員として入社。WebGPTプロジェクトに携わり、ChatGPTの開発につながる基盤を築いた。
2024年8月にOpenAIを退社し、10月のニューヨークタイムズのインタビューでOpenAIによる著作権法違反とChatGPTのインターネットへの悪影響について告発。サンフランシスコ警察と検視官事務所は死因を自殺と判断したが、両親は独自の調査官を雇い、第二の検視を要求している。
from:Family of OpenAI whistleblower Suchir Balaji demand FBI investigate death
【編集部解説】
バラジ氏は2018年に同社でインターンを経験し、その後2020年11月から正社員として入社しました。
WebGPTプロジェクトでの功績は特筆すべきもので、OpenAIの共同創設者ジョン・シュルマン氏は「プロジェクトの成功に不可欠な存在だった」と評価しています。
AI開発における著作権問題
バラジ氏が提起した著作権問題は、AI業界全体が直面している重要な課題です。特にGPT-4の学習データセットの収集に携わった経験から、現在のAI開発手法に対して具体的な懸念を示していました。
著作権侵害に関する訴訟において、バラジ氏の証言は重要な役割を果たす可能性があったとされています。特にニューヨークタイムズによる訴訟では、同氏が「独自の関連文書」を持っている可能性のある人物として11月18日の法廷文書で言及されていました。
AI開発の倫理的課題
バラジ氏は「人々のデータを学習に使用し、その後市場で彼らと競合することは適切ではない」という見解を示していました。この指摘は、AI開発における倫理的な課題を浮き彫りにしています。
特に注目すべきは、バラジ氏がAGI（人間を超える人工知能）の実現が「すぐそこにある」という会社の見解に同意していなかった点です。これは、AI開発の方向性に関する重要な示唆を含んでいます。
今後の影響
この事案は、AI開発企業における内部告発者保護の重要性を改めて浮き彫りにしています。2024年7月には、OpenAIの従業員らがSECに対して、AI技術のリスクに関する発言を制限する非開示契約の調査を求める申立てを行っています。
バラジ氏の指摘した問題は、今後のAI開発における著作権の取り扱いや、データ収集の方法に大きな影響を与える可能性があります。特に、「フェアユース」の解釈や、AI学習におけるデータ使用の法的枠組みについて、業界全体での再考が求められる可能性があります。
テクノロジーの未来への示唆
AI開発における倫理的な問題提起は、技術の進歩と人権保護のバランスをどのように取るべきかという根本的な問いを投げかけています。この課題は、今後のAI開発の方向性を大きく左右する可能性があります。