Last Updated on 2025-07-10 16:23 by admin
Aomni、AIは人間を置き換えるのではなく営業を後押しできることを証明するため400万ドルを調達
企業名:Aomni(アオムニ)
本社:サンフランシスコ
創業者:David Zhang(デイビッド・チャン)CEO
【資金調達】
- 調達額:400万ドル(約6億円)のシード資金調達
- 発表日:2025年2月18日
- 主要投資家:
- 主導:Decibel
- 参加:Sancus Ventures、Ride Home Fund
【主要顧客】
- Nvidia
- AMD
【製品概要】
- AIを活用した営業支援プラットフォーム
- リアルタイムのウェブ調査を行うAIエージェントを活用
- 複数のAIプロバイダー(OpenAI、Anthropic、AI21 Labs)と連携
- オープンソース版は8,000以上のGitHubスターを獲得
【実績】
- 導入企業の営業チームの成約率が最大40%向上
- 営業担当者の業務時間配分の改善(顧客対応時間を30-40%から向上)
【創業者経歴】
- David Zhang氏
- JPL(ジェット推進研究所)でマーズローバー「Curiosity」の開発に携わる
- NockNock(イベント会場予約プラットフォーム)の共同創業者兼CTO
- Amity(デジタルソリューション企業)の共同創業者兼CTO
- 2023年3月よりAomni CEO
from:Aomni just raised $4M to prove AI can boost sales without replacing humans
【編集部解説】
AIが営業の仕事を奪うのではないかという懸念が広がる中、Aomniは「人間中心」のアプローチで異彩を放っています。
まず注目すべきは、創業者のDavid Zhang氏の経歴です。中国の小さな村から、JPLでマーズローバーの開発に携わり、複数のスタートアップを成功させてきた実績を持つ方です。その経験から、テクノロジーは人間の能力を拡張するものであるべきという強い信念を持っています。
Aomniの特徴的なのは、AIエージェントによるリアルタイムの情報収集アプローチです。従来の営業支援ツールが静的なデータベースに依存していたのに対し、Aomniは複数のChromeブラウザを同時に起動し、最新の企業情報をダイナミックに収集・分析します。
具体的には、1つの企業に対して1000以上のデータポイントを20以上のソースから収集し、それを営業担当者が実際に使える洞察に変換します。通常5時間以上かかるこの作業を数分で完了できる点が画期的です。
特筆すべきは、OpenAI、Anthropic、AI21 Labsなど複数のAIプロバイダーを組み合わせている点です。これにより、単一のAIモデルの限界を超えた柔軟な分析が可能になっています。
実際の導入効果も注目に値します。NvidiaやAMDといった大手テック企業での導入実績があり、最大40%の成約率向上を実現しています。
しかし、課題もあります。複雑な調査シナリオでの精度の限界や、ニッチな市場セグメントでの情報収集の困難さが指摘されています。また、業界特有のニュアンスを理解させるには継続的なトレーニングが必要です。
今後の展望として、音声やイメージを活用したマルチモーダルな機能の追加が計画されています。AIモデルの性能向上とコスト低下を見据えた開発戦略は、長期的な競争力の維持に寄与するでしょう。
このような動きは、AIと人間の協調による新しい働き方のモデルケースとなる可能性を秘めています。特に日本企業において、営業活動のデジタルトランスフォーメーションを進める上で、参考になる事例といえるでしょう。
【用語解説】
【参考リンク】
Aomni公式サイト(外部)
AIを活用した営業支援プラットフォーム