Last Updated on 2025-02-20 18:12 by admin
80年代のレトロフューチャーな筐体に、次世代AIの野心が宿る。スタートアップRabbitが放つ199ドルのデバイスは、高価なAIアシスタントの常識を覆そうとしている。大手テック企業が見落としていた、人とAIの新しい関係性がそこにある。
製品概要
- 価格:199ドル(約30,000円)
- サイズ:2.88インチディスプレイ搭載
- 重量:115g
- プロセッサ:MediaTek Helio P35
- メモリ:4GB RAM、128GB ストレージ
- バッテリー:持続時間約24時間
販売実績
- 2024年1月9日:予約開始
- 2024年1月16日:初回ロット40,000台完売
- 2024年3月:出荷開始予定
主要機能
- Large Action Model(LAM)によるアプリ操作の自動化
- 音声コマンド対応
- 360度回転カメラ(8MP)搭載
- 対応サービス:Spotify、Uber、Amazon他(順次拡大予定)
また、最近では大型アップデートが多数あった
2025年の主要アップデート
- 1月27日の多言語対応拡張
- 新たに12言語が追加(ブルガリア語、チェコ語、デンマーク語、オランダ語など)
- 英語の地域別対応(米国、英国、オーストラリア)を実装
- 天気情報の単位表示を地域設定に応じて自動変更
- 2月12日のバレンタインアップデート
- バレンタイン限定の3種類の新しいRabbitキャラクターが追加
- Generative UIの読み込み速度が2倍以上に向上
- 天気情報の地域設定と単位表示の不具合を修正
その他の変更点
- バッテリー性能が向上し、通常使用で1日持続可能になった
- LAM Playgroundの導入により、より複雑なタスクへの対応が可能になった
- 質問応答の精度と速度が大幅に向上した
これまでに15回以上のOTAアップデートが実施され、デバイスの性能と使用感が継続的に改善されている。
from The Rabbit R1: all the latest news about this hare-raising AI gadget
【編集部解説】
Rabbit R1が切り拓く、AIアシスタントの新時代
2024年1月のCESで発表されたRabbit R1は、1年以上の進化を経て、AIガジェットの新たな可能性を示しています。初期の課題を乗り越え、現在では魅力的な機能と独自の価値を提供するデバイスへと成長しました。
最大の特徴は、Large Action Model(LAM)の採用です。従来のLLMとは異なり、LAMはユーザーの行動パターンを学習し、アプリケーションを直接操作できます。例えば、音楽再生やライドシェアの予約、食事の注文など、日常的なタスクをシンプルな音声指示で実行可能です。
2025年1月には、ElevenLabsとの提携によるカスタムボイス機能や、複数言語対応、独自のAIエージェントを作成できる「Teach Mode」など、革新的な機能が追加されました。特に注目すべきは「Magic Camera」機能で、AIによる画像生成と組み合わせることで、ユニークな写真体験を提供します。
ハードウェア面では、Teenage Engineeringとのコラボレーションによる80年代風レトロフューチャーなデザインが高い評価を得ています。コンパクトなボディに2.88インチのタッチスクリーン、スクロールホイール、回転式カメラを搭載し、携帯性と操作性を両立しています。
基本的なAI質問応答では、699ドルのHumane Ai Pinと比較しても、より高速で正確な応答を実現。Wolfram|Alphaとの連携により、科学技術や文化に関する深い知識へのアクセスも可能になりました。
「beta rabbit mode」の導入により、より複雑な質問への対応や、視覚認識との連携も強化されています。また、Generative UIにより、ユーザーは好みのインターフェースをカスタマイズすることができます。
199ドルという価格設定は、高機能AIデバイスの民主化を促進する可能性を秘めています。サブスクリプション料金が不要な点も、ユーザーにとって大きなメリットとなっています。
クラウドベースの設計により、多くの更新が自動的に行われ、ユーザーは朝起きると新しい機能が追加されているという体験が可能です。この継続的な進化により、Rabbit R1は単なるガジェットを超えて、私たちのデジタルライフを豊かにする trusted companion となりつつあります。
今後も対応サービスの拡大や機能の追加が予定されており、AIアシスタント市場における新たな標準となる可能性を秘めています。Rabbit R1は、テクノロジーの未来を垣間見せる興味深いデバイスとして、多くのユーザーの期待を集めています。
【用語解説】
Large Action Model (LAM)
従来のLLMが「言葉を理解して返答する」のに対し、LAMは「人間の行動を理解して実行する」AIモデル
Teenage Engineering
スウェーデンの電子楽器メーカー。デザイン性の高い製品で知られ、Nothing社製品なども手がける
【参考リンク】
Rabbit公式サイト(外部)LAMを搭載したAIデバイスR1の製品紹介と購入ページ。詳細な仕様と予約情報を確認できます
Teenage Engineering公式サイト(外部)R1のデザインを手がけた企業のウェブサイト。独特のデザイン哲学を垣間見ることができます