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Adobe、Blueskyでの投稿に批判殺到で削除 – AI時代のクリエイターコミュニティとの断絶が浮き彫りに

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-04-14 14:57 by admin

2025年4月8日、Adobe社のBluesky参入とその直後の撤退は、AI時代におけるテクノロジー企業とクリエイターコミュニティの複雑な関係を浮き彫りにした。この出来事は、AI生成アートに関する議論が再燃している今、極めて重要な意味を持つ。日本経済新聞が4月11日に報じた「AI製のジブリ風画像、「作風」保護の議論再燃」という記事とも密接に関連し、クリエイティブ産業全体が直面する課題を象徴している。

Adobeは「こんにちは、Adobeです!私たちはアイデアを形にするアーティスト、デザイナー、ストーリーテラーとつながりたいと思っています」という最初の投稿を行った。しかし、この投稿はユーザーの怒りを買い、1,600件以上の批判的なコメントが寄せられた。

批判の主な内容は以下の通りである:

  1. Adobeのサブスクリプションモデル
  2. 製品の品質低下
  3. 価格の継続的な値上げ
  4. AI技術の導入

批判を受けて、Adobeは4月10日に最初の投稿を削除した。フォトショップ用のアカウントも同様の批判を受け、投稿を削除している。

この事態は、Adobeが10年以上前に永続的なソフトウェアライセンスからサブスクリプション価格モデルに移行したことに端を発している。それ以来、価格の引き上げとAI技術の採用が、多くのクリエイターの不満を増幅させてきた。

Blueskyは、2024年9月から2025年4月までの間に、ユーザー数が1,000万人から2,000万人以上に倍増している。同プラットフォームはAIコンテンツに対して慎重な姿勢を示しており、ユーザーコミュニティの価値観とAdobeの方針の不一致が今回の反発につながったと考えられる。

from: Adobe Deletes Bluesky Posts After Furious Backlash

【編集部解説】

今回のAdobeのBlueskyでの出来事は、単なるSNSでの炎上事例を超えた、テクノロジー企業とクリエイティブコミュニティの関係性の変化を象徴しています。複数のメディアが報じているように、Adobeは2025年4月8日にBlueskyに参入し、わずか数時間で1,600件以上の批判コメントを受け、4月10日に投稿を削除する事態となりました。

この反応の背景には、Adobeが約10年前に永続ライセンスからサブスクリプションモデルへ移行した決断があります。当時は革新的なビジネスモデルとして評価された面もありましたが、長期的には多くのクリエイターにとって経済的負担となっていました。

特に注目すべきは、Adobeに対する批判がAI技術の導入と密接に関連している点です。Futurismの記事が指摘するように、Blueskyユーザーの間ではAIに対する懸念が強く、AdobeのAI機能の拡充はこの傾向と真っ向から対立しています。2024年6月には、AdobeがFAQの文言を変更し、ユーザーのコンテンツを「アクセス」「閲覧」し、AIツールで「分析」する権利を得たことで大きな批判を浴びました。

Blueskyの運営チームは、「HIVEが自社のAIモデルを微調整するためにBlueskyのコンテンツを利用することはない」と明言しており、AI生成コンテンツに対する姿勢がユーザーコミュニティの価値観と一致しています。この価値観とAdobeの方針の不一致が、今回の激しい反発につながったと考えられます。

クリエイティブ業界におけるAIの影響については、マーケティング会社Empowerの調査によると、デザイン、コミュニケーション、マーケティング、制作分野のクリエイティブの3分の2以上がAIの影響を懸念しているとのことです。主な不安は、AIによる仕事の代替と、アーティストの作品が同意なくAIモデルのトレーニングに使用される可能性です。

多くのクリエイティブプラットフォームがAI生成コンテンツに対する方針を明確化している流れの中で(pictBLand、Skeb、pixivなどが既に対応を発表)、Adobeの事例は企業がユーザーコミュニティの価値観を無視した場合の結果を示す重要な事例となっています。

今後、Adobeのようなクリエイティブツールを提供する企業は、AIの導入とユーザーの信頼維持のバランスをどう取るかという難題に直面します。透明性の高いコミュニケーションと、ユーザーの懸念に対する真摯な対応が、デジタル時代の企業成功の鍵となるでしょう。

【編集部追記】

クリエイターとAI、Adobeへの様々な不満について、最近少し落ち着いてきたと思っていたのですが全然そんなことないみたいで少し驚きました。
自分はAdobeを使用したことがないのですが、“永続ライセンスからサブスクリプションモデルへ移行した” ことについてはなんとな~く知っていて、それ関連で批判を浴びているのも知っていました…..が、まさかAdobeがそれ以外で批判を受けていることは全く知らなかったのでビックリでございます……。
Blueskyユーザーの間ではAIに対する懸念が強く、AdobeのAI機能の拡充はこの傾向と真っ向から対立しているなか、Adobeが「AI技術導入しましたよ~!!」なんて言いながら参入してきたら確かにウワー!となりますよね…..。
それに、AIはもちろん便利ですが、クリエイターとしてはとても複雑ですよねえ…。自分も趣味で絵を描くのでこのニュースはとても衝撃を受けました。
“AIの導入とユーザーの信頼維持のバランスをどう取るか” これですよね。
まだまだすぐには改善できる問題ではないと個人的には感じているのですが、ほどよい距離感で見守っていきたいです。

【用語解説】

Adobe
1982年にジョン・ワーノックとチャールズ・ゲシキによって設立された米国カリフォルニア州サンノゼ市に本社を置くグローバルテクノロジー企業。Photoshop、Illustrator、Premiere Proなどのクリエイティブソフトウェアを提供し、「世界を変えるデジタル体験を」というミッションのもと、現在は約30,000人の従業員を擁している。

Bluesky
Twitterの代替となる分散型ソーシャルメディアプラットフォーム。2025年4月時点で2000万人以上のユーザーを持つ。AIコンテンツに対して慎重な姿勢を示していることが特徴である。

サブスクリプションモデル
ソフトウェアを一度購入するのではなく、定期的に料金を支払って利用する方式。アドビが2012年頃から採用し、ユーザーの不満の一因となっている。

AI生成アート
人工知能を使って作成される芸術作品。アドビのFireflyなどのツールが登場し、著作権や作風の保護に関する議論を呼んでいる。

【参考リンク】

Adobe(外部)
アドビの公式サイト。クリエイティブソフトウェアの最新情報や購入方法を提供している。

Bluesky(外部)
ブルースカイの公式サイト。新しい分散型ソーシャルメディアプラットフォームの概要や登録方法を説明している。

PetaPixel(外部)
写真とカメラに関する最新ニュースやレビューを提供する人気のウェブサイト。

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アリス
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