Last Updated on 2025-04-24 18:12 by admin
Googleは2025年4月23日にWorkspaceの生産性アプリに新たなAI機能を追加した。
主な新機能は「Audio Overviews」と「Canvas」である。
Audio Overviewsは、ユーザーがアップロードした文書やスライドに基づき、会話形式のポッドキャストスタイルの音声ファイルを生成し、ダウンロードも可能である。この機能は2025年3月18日にGeminiアプリに導入され、英語を中心に提供されている。
CanvasはGeminiモデルを活用し、テキストやコードの下書き作成・編集を支援する対話型ワークスペースである。作成したドキュメントはGoogle Docsで共有可能で、2025年4月時点でBusinessプランやEnterpriseプランのユーザーが利用できる。
また、カレンダー機能も強化され、Geminiがメール内のイベント情報を自動検出し、カレンダーへの追加を促す機能が実装された。これによりユーザーは見逃した予定も把握しやすくなっている。
これらの機能はGoogleが2025年1月からWorkspaceのBusinessプランとEnterpriseプランにGeminiを標準搭載した取り組みの一環であり、MicrosoftのCopilotとの競争が激化している。
さらに、Googleは2025年4月9日のGoogle Cloud Nextイベントで、コードを書かずにワークフローを自動化できる「Workspace Flows」も発表しており、日常業務の効率化を支援している。
from:Google adds more AI tools to its Workspace productivity apps
【編集部解説】
GoogleがWorkspaceの生産性アプリに新たなAI機能を追加したというニュースですが、この発表は2025年4月23日に行われました。これは、4月9日に開催されたGoogle Cloud Next 2025イベントで発表された一連のWorkspace更新の延長線上にあるものです。
まず、今回の発表の中心となる「Audio Overviews」機能についてご説明します。この機能は、もともとGoogleのNotebookLMで2024年に導入されたもので、文書やスライドをポッドキャストスタイルの音声に変換するものです。ビジネスパーソンにとって、移動中や作業中に情報をインプットできる新しい方法として注目されています。
特に興味深いのは、この機能が単なる文書の読み上げではなく、提供された文書に基づいて会話形式の音声を生成する点です。これにより、長文の報告書や研究資料を短時間で理解することが可能になります。
また、「Canvas」機能はテキストやコードの作成・編集を支援するもので、特にコード開発においては「生成、最適化、プレビュー」の一連の流れをサポートします。プログラミングの知識が十分でない方でも、AIの支援を受けながらコード開発ができるようになるでしょう。
カレンダー機能の改善も見逃せません。Geminiがメール内のイベント情報を自動検出し、カレンダーへの追加を促す機能は、日々の予定管理を効率化します。これまでにもBoomerangなどのサードパーティ製プラグインで類似機能が提供されていましたが、Googleが公式に取り入れたことで、より多くのユーザーがこの便利な機能を利用できるようになります。
これらの機能追加は、GoogleがMicrosoftのCopilotに対抗する動きの一環と見ることができます。MicrosoftはOffice製品群にAI機能を積極的に統合しており、GoogleもWorkspaceにGeminiを統合することで競争力を高めようとしています。
特筆すべきは、2025年1月からGoogleがWorkspaceのBusinessプランとEnterpriseプランに生成AI機能を標準搭載し始めたことです。これにより、追加料金なしでGeminiの機能を利用できるようになりました。これは企業におけるAI活用の敷居を下げる重要な一歩と言えるでしょう。
さらに、4月9日に発表された「Workspace Flows」も注目に値します。これはコードを書かずにワークフローを自動化できるツールで、Gmail、Google Drive、Calendar、Spreadsheetsなどのアプリを組み合わせて日常業務を効率化できます。例えば、特定の条件のメールを受信したときに自動的にファイルをDriveに保存し、Chatでチームに通知するといった一連の流れを設定できます。
これらの機能追加により、企業はより効率的に情報を処理し、意思決定を行うことができるようになるでしょう。特に、Audio Overviewsのような機能は、情報過多の時代において、重要な情報を効率的に吸収するための強力なツールとなります。
一方で、AIによる自動化が進むことで、プライバシーやデータセキュリティの懸念も高まります。Googleは、Geminiとの対話データは組織内に留まり、許可なく外部と共有されないこと、既存のGoogle Workspaceの保護措置が自動的に適用されること、顧客のコンテンツは他の顧客へのサービス提供に使用されないことを約束しています。
これらの機能は、ビジネスの効率化だけでなく、働き方そのものを変える可能性を秘めています。特に、AIが日常的なタスクを自動化することで、人間はより創造的で戦略的な業務に集中できるようになるでしょう。
今後も、GoogleとMicrosoftを中心としたAIを活用した生産性向上ツールの競争は激化することが予想されます。この競争がより使いやすく、より強力なツールの開発につながることを期待したいものです。
【用語解説】
Audio Overviews(音声概要)
NotebookLMで最初に導入され、2025年3月18日にGeminiアプリに拡張された機能。アップロードした文書やスライドに基づき、ポッドキャストスタイルの会話形式の音声を生成する。
Canvas
Geminiに追加された対話型ワークスペース。テキストやコードの作成・編集をリアルタイムで支援し、Google Docsで共有可能。
Gemini
Googleの最新AIモデルファミリー。テキスト生成、画像認識、コード作成など多様なタスクに対応する。
Workspace Flows
コードを書かずにワークフローを自動化できるツール。Gmail、Drive、Calendarなどのアプリを連携し、複雑な業務を効率化する。
【参考リンク】
Google Workspace
(外部)Googleが提供する生産性向上とコラボレーションのためのクラウドベースツールスイート
Google Gemini(外部)
Googleの最新AIアシスタント。テキスト生成から画像認識まで多様なタスクに対応
NotebookLM(外部)
Googleの研究支援ツール。アップロードした文書に基づいて質問応答や要約を生成
【参考動画】
【編集部後記】
皆さんは普段、大量の情報をどのように処理されていますか?GoogleのAudio Overviewsのような機能が日常に入ってきたとき、情報の消費方法はどう変わるでしょうか。また、AIが会議の要約やカレンダー管理をサポートすることで、どんな時間が新たに生まれるでしょう?ぜひ、これらの新機能を実際に試してみて、ご自身の働き方にどのような変化をもたらすか体験してみてください。皆さんの声をSNSでお待ちしています。