Last Updated on 2025-04-27 07:07 by admin
OpenAIは2025年4月30日をもってGPT-4の提供を終了すると発表した。GPT-4は同社の最も人気があり長く運用されてきた大規模言語モデルの一つだったが、近月では推論モデルシリーズなど他の技術へと焦点をシフトさせている。
同社は開発者向けAPIとして新しいGPT-4.1モデルファミリー（GPT-4.1、GPT-4.1 mini、GPT-4.1 nano）を導入する一方、2025年2月末に発表したばかりのGPT-4.5モデルも2025年7月14日までにAPIを含めて完全に廃止する計画を示している。
GPT-4.5は、UCサンディエゴ校の研究でチューリングテストにおいて「インターネット文化に詳しいオタク気質の19歳」のプロフィールを与えられた場合に73%の確率で人間と判定されるという成果を上げていたが、OpenAIは同モデルが目標としていた「フロンティアレベル」に達していないと判断した。
また、OpenAIは2025年4月に新しい推論モデル「o3」と「o4-mini」をリリースした。これらはコーディング、数学、科学タスクのパフォーマンスが向上している。o4-miniモデルはChatGPTの無料ティア内にも含まれている。
これらの一連の動きは、OpenAIが次期モデル「GPT-5」のリリースに向けた準備を進めていることを示唆している。GPT-5は2025年中にリリースされる見込みで、自律型AIエージェントやクエリに基づいて最適なモデルを選択する機能を備えると予想されている。
from:OpenAI’s GPT-4 might be coming to an end. Here’s why that’s actually good news
【編集部解説】
OpenAIがGPT-4の提供を2025年4月30日に終了すると発表したことは、同社のAI戦略における重要な転換点を示しています。この決定は単なるモデルの入れ替えにとどまらず、AIの開発・提供方法に関する同社の根本的な考え方の変化を反映しています。
まず注目すべきは、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏がSNS上で示唆しているように、同社がAIモデルの命名規則を変更する可能性があることです。これまでGPT-3.5、GPT-4、GPT-4.5と数字を上げていく方式でしたが、今後は異なるアプローチを採用するかもしれません。
GPT-4.5の早期廃止決定は特に興味深い動きです。2025年2月末にリリースされたばかりのGPT-4.5は、UCサンディエゴ校の研究でチューリングテストに73%の確率で合格するという成果を上げました。しかし、OpenAIはこのモデルが目指していた「フロンティアレベル」に達していないと判断し、わずか数ヶ月で提供終了を決定しました。
この決定からは、OpenAIが「良いものでも目標に達していなければ迅速に切り替える」という俊敏な経営判断を行っていることがわかります。テクノロジー企業としては珍しく、過去の投資や既存ユーザーへの配慮よりも、技術的進歩を優先する姿勢を示しています。
また、OpenAIのモデル戦略は「推論モデル」と「生成モデル」の二軸で展開されつつあります。2024年12月に導入されたo1推論モデルを皮切りに、最近ではo3とo4-miniが追加され、これらは従来のLLMとは異なり、論理的思考プロセスを示す能力に特化しています。
推論モデルの強化は、AIの「ブラックボックス問題」に対する一つの解決策と見ることができます。AIがどのように結論に至ったのかを説明できることは、医療や法律など高い説明責任が求められる分野での応用を広げる可能性があります。
一方で、GPT-4.1ファミリーの導入は、OpenAIがコスト効率と性能のバランスを重視していることを示しています。GPT-4.5と同等の機能を持ちながらコストを抑えたこのモデルは、AI技術の民主化に寄与するでしょう。
これらの動きの背景には、2025年中に予定されているGPT-5のリリースに向けた準備があると考えられます。アルトマンCEOによれば、GPT-5は自律型AIエージェントやクエリに基づいて最適なモデルを選択する機能を備える予定です。
こうした機能は、AIの使い勝手を大きく向上させるだけでなく、AIと人間の協働方法を根本から変える可能性を秘めています。特に自律型エージェントは、ユーザーの指示に基づいて独立してタスクを実行できるため、プログラミングやデータ分析、コンテンツ作成などの分野で生産性を飛躍的に高める可能性があります。
しかし、こうした高度な自律性は新たな倫理的・法的課題も生み出します。AIが自律的に行動することで生じる責任の所在や、意図しない結果への対処方法など、社会的な議論が必要になるでしょう。
OpenAIのこうした戦略転換は、AI業界全体にも影響を与えると予想されます。GoogleのGeminiやAnthropicのClaudeなど競合モデルも、単なる数字の競争ではなく、実用性と特化型能力の向上に焦点を当てた開発にシフトする可能性があります。
私たちユーザーにとっては、AIモデルの進化が加速することで、より高度で使いやすいAIツールが手に入るというメリットがあります。一方で、モデルの頻繁な変更に対応するための学習コストや、APIの変更に伴うシステム改修なども必要になるでしょう。
テクノロジーの早い進化に対応するためには、特定のモデルに依存するのではなく、AIの基本的な使い方や可能性を理解することが重要になります。innovaTopiaでは今後も、こうしたAI技術の進化とその影響について、最新情報をお届けしていきます。
【用語解説】
大規模言語モデル（LLM）：
膨大なテキストデータで学習し、人間のような文章を生成できるAIモデル。GPTシリーズはこれに該当する。
推論モデル（Reasoning Model）：
論理的思考プロセスを示すことに特化したAIモデル。OpenAIのoシリーズ（o1、o3、o4-mini）がこれにあたる。大規模言語モデルが「何を言うか」に焦点を当てるのに対し、推論モデルは「どのように考えるか」を重視している。
チューリングテスト：
AIが人間と区別できないほど知的かどうかを判定するテスト。人間の判定者がAIと人間のどちらと会話しているか区別できなければ、そのAIは「知的」と見なされる。
フロンティアレベル：
現在の技術水準を超える革新的なAIモデルを指す言葉。OpenAIはGPT-4.5がこの水準に達していないと判断した。
コンテキストウィンドウ：
AIが一度に処理できる情報量。トークン数で表され、大きいほど長文や複雑な指示を理解できる。
トークン：
AIが処理する言語の最小単位。英語では約0.75単語、日本語では約0.5〜1.5文字に相当する。
ハルシネーション（Hallucination）：
AIが事実に基づかない情報を生成してしまう現象。「幻覚」「作り話」とも呼ばれる。
【参考リンク】
ChatGPT（外部）
OpenAIが提供する対話型AIサービス。無料版と有料版（Plus、Pro）がある。
Microsoft Azure OpenAI Service（外部）
MicrosoftのクラウドプラットフォームAzure上でOpenAIのモデルを利用できるサービス。
【参考動画】
AIモデルの進化が加速する中、皆さんは日常でどのようにAIを活用していますか？ GPT-4の終了とGPT-5の登場が近づく今、私たち自身のAIとの関わり方も変わっていくかもしれません。特に推論モデルの登場により、AIがどのように考えたのかを知ることができるようになりました。皆さんがAIに期待する機能や、「こんなことができたら便利」というアイデアがあれば、ぜひコメント欄でシェアしてください。テクノロジーの未来を一緒に考えていきましょう。
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