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WhatsApp・Metaが「Private Processing」発表 -クラウドAIとプライバシー保護を両立する新機能

WhatsApp・Metaが「Private Processing」発表――クラウドAIとプライバシー保護を両立する新機能 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-01 08:05 by admin

Meta Platforms(本社:アメリカ・カリフォルニア州)は2025年4月29日、メッセージングサービス「WhatsApp」に新機能「Private Processing」を発表した。

この機能はクラウド上でMeta AIとプライベートにやり取りできるもので、今後数週間以内に提供開始予定だ。

Private Processingは、ユーザーがAIによるチャット要約などのリクエストを安全に処理できるオプション機能であり、Meta、WhatsApp、第三者企業がやり取りの内容を閲覧できない設計となっている。

セッション終了後はユーザーメッセージへのアクセス権がシステム上から消去されるため、攻撃者が後からデータにアクセスすることもできない。

Metaは、システム全体が侵害されない限り、個別ユーザーが標的になるリスクを排除するとしている。また、独立した第三者による監査やバグ報奨金プログラムへの追加、詳細なセキュリティ設計書の公開も予定している。

この仕組みはAppleの「Private Cloud Compute(PCC)」と類似しており、OHTTPプロトコルを用いてユーザーのIPアドレスを秘匿しつつ、リクエストを第三者プロバイダー経由で中継する。

ただし、WhatsAppのAIリクエストはすべてMetaのサーバーで処理され、ユーザーが明示的に機能を開始する必要がある点がAppleとの違いだ。WhatsAppの月間アクティブユーザー数は約30億人に達している。

from:WhatsApp is working on private AI chats in the cloud

【編集部解説】

Metaが発表した「Private Processing」は、AIの利便性とプライバシー保護の両立を目指す先進的な取り組みです。従来、クラウドAIは利便性の代償としてプライバシーの懸念がつきものでしたが、本機能はTrusted Execution Environment(TEE)やConfidential Virtual Machine(CVM)といった最新技術を活用し、やり取りの内容がMetaや第三者にも見えない仕組みを実現しています。

また、OHTTPプロトコルを使ってユーザーのIPアドレスを隠し、匿名性を高めている点も特徴的です。セッション終了後にデータが残らない「stateless processing」設計や、第三者監査・バグ報奨金・設計書公開など、透明性と安全性への配慮が随所に見られます。

一方、AppleのPrivate Cloud Computeは端末内処理を優先し、クラウド利用は補助的ですが、Metaはクラウド処理を前提としています。WhatsAppのように世界30億人規模の多様な端末環境でAI機能を提供するには、クラウド側での柔軟な処理が不可欠という事情もあるでしょう。

この技術により、未読メッセージの要約や文章生成など、AIによる新たな体験がより安全に広がる可能性があります。一方で、TEEやCVMの脆弱性リスク、法規制や国家によるアクセス要求への対応など、今後も注視すべき課題が残ります。ユーザー自身がプライバシーと利便性のバランスを選択できる時代が到来しつつあると言えます。

【用語解説】

Meta(メタ)
アメリカ・カリフォルニア州に本社を置くIT大手。Facebook、Instagram、WhatsAppなどを運営する。

WhatsApp(ワッツアップ)
Metaが運営する世界最大級のメッセージングアプリ。エンドツーエンド暗号化が特徴で、月間利用者数は約30億人。

Private Processing
MetaがWhatsApp向けに開発中の新機能。AIによるメッセージ要約や生成などをクラウド上で行う際、Metaや第三者が内容を見られないようにする仕組み。

TEE(Trusted Execution Environment/信頼実行環境)
CPUや専用チップ上の隔離領域。機密データや処理を他のアプリやOSから分離し、安全に実行できる。

OHTTP(Oblivious HTTP)
ユーザーのIPアドレスや個人情報をサービス提供者から隠す通信プロトコル。差出人不明の郵便のような仕組み。

Apple Private Cloud Compute(PCC)
AppleのAIプライバシー保護技術。基本はiPhoneなど端末内でAI処理を行い、必要な場合のみクラウド上のPCCサーバーで安全に処理する。

【参考リンク】

Meta公式サイト(外部)
FacebookやInstagram、WhatsAppなどを運営する米国IT大手Metaの公式サイト。60文字から70文字以内

WhatsApp公式サイト(外部)
世界最大級の無料メッセージアプリWhatsAppの公式サイト。60文字から70文字以内

Apple公式サイト(外部)
iPhoneやMacなどApple製品の公式販売・情報サイト。60文字から70文字以内

【編集部後記】

AIとプライバシー、どちらも大切にしたい――そんな時代に、あなたはどんな技術やサービスを選びますか?
新しい仕組みや考え方について、ぜひ皆さんのご意見や体験も聞かせてください。
innovaTopiaでは、これからも「未来を知りたい、触りたい、関わりたい」気持ちを一緒に探求していきます。

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TaTsu
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